浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

251 / 311
第二百五十話

「今の自分のまま……? 馬鹿を言うな。私はお前に変わったと言われた人間性でさえ受け入れて貰えない。今のままを突き通した所で、相手に受け入れてもらう事など……」

「すぐには無理かも知れませんわ。この特訓と同じですの。この特訓の趣旨は私の戦い方を変える事かも知れませんけど、戦い方をいくら変えた所で、癖や性格はいくらでも出ますの。だから、私は何度負けても戦い方を変えなかった。自分のやり方だけで、私は貴女を倒そうとしたんですわ」

 

 美咲は飲み物を空にしてから告げる。

 

「誰かの為に変わっても、それは相手に自分を認めてもらえた事にはなりませんの。貴女が今の貴女のままで、どうやって相手に認めてもらえるか。それを考えなさいな」

「……」

 

 遥は少し俯く。

 美咲はそれを確認しながらも、遥に告げた。

 

「そろそろ続きを始めますわよ。まだまだ、自分のやり方を極められてませんもの」

「ああ、そうだな」

 

 遥はそう言いながらも、美咲に言われた事を考え続けた。

 

※※※

 

 その頃、逆にヴィーダ達が休憩に。

 成音と女子生徒数名が料理をしに向かってから、ヴィーダが自分と戦った相手である男子生徒に話しかける。

 

「アノ……ハナシイイ?」

「な、なんだ?」

 

 嫌そうな顔はしていない……が、ちょっと意外そうな顔で反応された。

 

「ヴィーダハ、ソガコウコウノミンナニアヤマラナクチャイケナイコトガアル。ソウデショ?」

「……」

「ン? ドウシタノ?」

「い、いや。ド直球で聞かれたから、少し反応に困ってな。まあ確かに……俺達は狩野遥やお前に思う事は沢山ある。今だってあんまりよくは思っていないしな」

「ソ、ソウダヨネ……」

「お、おい……あんまり目をうるうるさせるな。誤解されそうだろその見た目じゃ」

「ゴ、ゴメン」

「ところで、なんで急にそんな事聞くんだ?」

「ヴィーダ、アノトキハママノタメニイッショウケンメイタタカワナキャッテバッカリデ、ミンナノコトカンガエテナカッタ。ダケドイマハイッショニトックンスルナカマ。ダカラ、モシミンナガヴィーダヲキニイラナイナラ、ワルイコトゼンブアヤマラナキャッテ」

「お、お前なあ……それが昨日やついさっき俺達に吠えてた奴の態度かよ。ちょっと調子狂うぜ……」

「ン?」

「あーいや、分かんねえなら良いや。んで、そうだな。謝りたいねえ……。少なくとも俺はお前が謝る必要はあんまねえって思うけどな」

「ドウシテ?」

「あくまで俺の感想だけど、お前は遥の命令で戦わされてただけに過ぎない。逆らったら痛い目に遭ったのかも知れないし、責めるに責められないってのもあるな。けど、他の奴はどうか分からない。謝っても許してくれないかも知れないけど、お前はそうしないと気が済まないのか?」

「ウン……。ヴィーダハミンナトナカヨクシタイ」

「なるほどな……お前、そんなに小さいのに凄い心がでっかいんだな」

「ソ、ソウカナ?」

「ああ。俺は狩野遥を認めるのは難しくても、お前は割と好きになれそうだ」

「ホント? イツカママモイッショニミトメテモラエルヨウニガンバル!」

「お、おう。お、そろそろ飯出来るみたいだぞ」

「お待たせ!」

 

 その声と共に、成音達が飯を運んでくる。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。