浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百五十一話

 夜になり、特訓が終了。

 遥はあの後何度も美咲と特訓を行いながら、支障が出ない範囲で色々考えていた。

 自分の性格を無理に変えるのではなく、本来の自分のまま……彼らにどう接するべきか。

 だが……。

 

「本来私は、あまり感情を表に出す事が少ないな……」

 

 元々の性格が近寄りがたい雰囲気を生んでいる事に、今気付いてしまった。

 遥自身、そもそも子供の頃から友人が少ない。

 菫と幼馴染くらいだろう、自分とよく話をしていた存在は。

 逆に幼馴染は自分以外にも友達が沢山いて、かなり羨ましかった。

 こんな状態の自分と関わる彼がよく分からないと思うくらいには。

 

「どうすれば……」

 

 遥はそう考えながら、取り敢えず彼らの控え室に向かってみる事にする。

 足が竦むが、それでも美咲ならこんな時でも堂々と自分の気持ちを押し通すと奮い立たせて歩く。

 

「ふぅ~はぁ」

 

 深呼吸して、ノックをしようとする。

 その時。

 

「そこで何をしている」

 

 偶然見ていた明人に声を掛けられた。

 

「足利明人……」

「何か用があって来た、という顔だな」

「……ああ。その通りだ」

 

 嘘を吐かず正直に答える。

 

「……足利明人、お前は私を恨んでいるか? 私は一度、蘇我高校の生徒に卑怯な手口を使わせる事をお前に反対され、止めようとしたお前を倒した。一番恨んでいるのは、お前だと思っている」

「……愚問だな。恨み辛みで戦う事を決めたりはせん。俺が気に入らないからお前を倒そうとし負けた。そして今は、自分の好敵手である六角美咲に協力している。それ以上でもそれ以下でもない」

「……」

「お前のしたい事を当ててやる。謝罪し許されに来た。そんな所か」

「ああ、そうだ。六角美咲に勧められてな。私はそもそも意味がないのだからする必要はないと言ったが、自分のしたい事であるというのまでは否定出来なかった。今の自分のまま謝罪しろとは言われたが、どうすれば良いかと思って中々な……」

「……そうか。あいつに背中を押されて」

「教えてくれ足利明人、私はどう謝るべきだ。私には、どうしたら良いか分からん」

「六角美咲が教えなかった……いや教えられなかったものを、俺が教えられる道理などない。もし本当に謝りたいと思うなら、彼らの顔を見れば自然と言葉が出る筈だ。気持ちを伝えるとはそういう事だ。そこで立っているようでは、その迷いの気持ちは晴れんぞ。その扉を開けるのが、迷いを晴らす第一歩だ」

 

 厳しい言葉をぶつける明人。

 

「……」

 

 遥は意を決して、ノックする。

 

「誰だ?」

 

 蘇我高校の生徒にそう言われ、少しばかり心臓が跳ねる。

 遥は何とか自分に大丈夫だと言い聞かせて名乗った。 

 

「狩野……遥だ」


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