浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百五十二話

「俺達に何の用だ」

 

 やはり嫌そうな声が、扉の奥から聞こえる。

 

「話がある。中に入っても良いか」

「……好きにしろ」

 

 そう言われてから、遥は恐る恐る扉を開けた。

 そうするや否や、生徒達全員が遥に視線を向ける。

 

「……」

「そんで、話ってのはなんだよ」

 生徒の一人が睨みつけながら問いかけた。

 他の生徒達の顔を見て、許しを乞い辛いとやはり思ってしまうが、それではダメだと自分にもう一度言い聞かせてから言う。

「お前達には、すまない事をした」

「あ?」

「謝って済む事でないのは、私も十分わかっている。だが……」

「だから、要らねえって言っただろう? 俺達は絶対お前を許したりしねえってよ」

 

 剣の怪人のベルトを引き取った生徒がそう問い返す。

 

「……ああ、そうだな。だがせめて、私の事は許さなくても良い。ヴィーダは私の命令に従っただけだ。彼女の事は責めないでやって欲しい。私の事なら好きにしても良い。気が済むまで殴るなり、罵声を浴びせても良い。彼女だけは許してやって欲しい」

「……」

「俺はそれなら良いと思うぜ」

 

 奥の方にいた生徒の一人が言う。

 

「あいつは、ヴィーダはこの女に命令された事であっても、皆に迷惑かけた事を謝ろうとした。それに自分だけじゃなくて、狩野遥の事だってちゃんと許して貰おうと頭を下げていた。俺はあいつを認めてる。だから……ヴィーダだけは許してやる」

「……!」

 

 遥が顔を上げる。

 

「しかしな、アンタを許すかどうかは別の問題なんだ。アンタは自分の幼馴染の為に俺達を巻き込んだわけだが、それは自分の命を懸けられるだけの目的か?」

「ああ……当たり前だ。例えどんな罰を受けてでも、やらなければならないと思った。だから非情に徹した」

「そうか……」

「おい、何が言いてえんだ」

「決まってるだろ。明人さんも言ってたけど、俺達は蘇我高校の生徒なんだ。もし気に入らない事があれば拳で語り合うのが筋ってもんだろ」

「……けどよ、それでこいつを許しても良いのか?」

「謝罪で足りないのなら、それでもいいのではないか?」

 

 遥の後ろで見ていた明人が言う。

 

「明人さん……」

「話し合いで納得が出来ないと言うなら、力を見せる事で証明する。それなら言い訳は出来ない」

「……」

 

 遥はベルトを着ける。

 

「誰が行く? 俺はやっても良いぜ」

「……」

 

 剣の怪人のベルトを持つ生徒が手を挙げる。

 

「俺がやる」

「……」

「俺は絶対負けない。明人さんを傷付けたり、俺らをあんな目に遭わせたりしたこいつは、俺が必ず倒す」

 

 そう告げてから、剣の怪人のベルトを着ける。

 


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