浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百五十五話

 遥はあの後、一人控え室に戻り。

 そこで待っていた美咲に声を掛けられる。

 

「上手くいったみたいですわね」

「……そうみたいだな」

 

 遥自身もあまり実感がないままだった。

 彼ら自身の信念が無ければ、恐らく絶対許される事は無かっただろう。

 

「しかし……少し私にしては珍しく勢い任せな事を言ってしまったな」

「大丈夫ですの。私は貴女が強くしてますし、私が勝てれば実質貴女が倒したようなものですわ」

「いや、まだハイドロフォームのあいつを倒せると決まったわけではない。残念ながらその油断は捨てた方が良い」

 

 美咲はその話を聞いて問いかける。

 

「そういえば、この特訓ではハイドロフォームのアトミックではなくボマーと戦ってますけど理由がありますの?」

「単純な話だ。アトミックの戦闘データは存在しない。そもそも変身出来る人物などいないからな」

「いない……そうなんですの?」

「ああ。菫があそこまで精巧な肉体を作れたと知って驚いたが、アトミックへの変身には突然変異体であると同時に、通常の突然変異体よりも強固な肉体を持つ必要がある。勿論……適合出来るのはほぼ人工物に限られるがな」

「ヴィーダさんではダメでしたの?」

「あいつにも一度試したが、肉体が負荷に耐え切れなかった。アトミック変身時にはオールウェポン使用時と同等の負荷が掛かる。お前がハイドロフォームやオールウェポン時に平気なのは、リミッターのおかげだ」

「なるほどですの……」

「だがまさか、自分達に使えないものに苦しめられる事になるとはな。いや……使えたか」

 

 遥が目を閉じてそう告げた。

 ヴィーダに負荷を掛ければ、いや新しく命を生み出せば出来ただろう。

 出来もしない事なのは分かる。

 それを見透かした美咲が、遥に言う。

 

「使えなかったですわ。使えていれば、ヴィーダさんはあんな風に貴女を守ったりしませんの」

「……だな」

「けど、あれが使える人がもう一人いれば……もう少し倒すのも現実的になりそうなものですわね」

「……」

 

 遥はその言葉の意味を察して言う。

 

「まさか、お前が使おうなどとは考えていないよな?」

「ば、バレましたわ……ちょっと興味がありますのよ」

「やめておけ。あれは今から作るのはほぼ不可能に近い上に、お前が使えばヴィーダ以上に負荷が掛かる。それにお前らしくもない」

「そ、そうでしたわね。けど、あの黒いライダーのデザイン好きなんですわよね」

「まったく……こんな時にオタク心をさらけ出している場合か……」

「えへへ。それじゃあ、そろそろ寝ますわね。おやすみなさいな」

「ああ。また明日な」

 

 美咲がそう告げて、部屋から立ち去る。


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