浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百六十三話

 次の日の朝。

 朝食を済ませてから、美咲達四人は校門の前に立っていた。

 成音や優香も後から行こうと準備を進めている。

 恐らく相手の方が、自分の近くまで転移させるか美咲達の前に現れるだろう。

 それを待っているのだ。

 

「……」

 

 美咲は震える拳を抑える。

 大丈夫だ……絶対に勝てる。

 自分にそう言い聞かせた。

 そしていよいよ、その時が。

 

『待っていたぜ、お前ら。頼りの努力はちゃんとしてきたか?』

「ええ。完璧ですわ」

 

 他の皆は分からない。

 だが美咲だけは、きちんとそう告げた。

 

『ふん……そう言えるのはやっぱりお前だけか。六角美咲』

「……」

『まあ良いか。どっちにしても、もう俺が定めた時間は終わったんだ。遊んでもらうぜ』

 

 そう言って、二号は美咲達を転移させた。

 自分がいる……空き地へ。

 

「最終決戦がこんな場所じゃ、物足りないか?」

 

 二号が笑みを浮かべて美咲に問う。

 

「いえ。特撮とかではこういう場所で撮影する事がありますもの。まあ、もう少し砂漠っぽい場所が良かったと言いたいですがね」

「この場でそんなん言えるって事は、よっぽど自信があるみてえだな」

 

 美咲は何とかして笑った。

 

「四人同時に相手をしてやる。それで俺は……誰にも負けない強さを手に入れた証明をしてやる」

 

 二号が黒い爆弾型の端末を操作する。

 

『BOMER DRIVE READY?』

 

 左拳を握りしめ、笑みを浮かべてから呟く。

 

「変身……」

 

 ベルトに端末を取り付けた。

 

『COMPLETE』

 

 空から黒い爆弾が降り……二号はそれを握り潰す。

 美咲達すら吹き飛ばすような爆炎。

 何とか衝撃に耐えながら、目を開けて相手の姿を捉える。

 黒い爆弾型の頭、そして二号が変身しているのかと疑いたくなるくらい女性的な体つきをした黒い長ランの下にライダースーツの身体。

 そして、手にしている二本のリボルケインを模したようなオレンジの光剣。

 二号は……仮面ライダーアトミックへとその姿を変えた。

 

「ふっ……」

 

 美咲が合図を出す。

 

「いきますわよ、皆さん」

「ああ」

「ウン」

「……」

 

 美咲、裕太、明人は端末を操作し、ヴィーダはまずバックルを腰につける。

 バックルからベルトが伸びて、ヴィーダの腰を覆う。

 

『BOMER DRIVE READY?』『GUNGNIR ON』『ムラマサ!』『ARC SWORD DRIVE READY?』

 

 美咲は顔に左側で構える。

 ヴィーダは投げた槍型のガジェットを掴み。

 裕太は左腕を斜め上に伸ばす。

 明人はそのまま端末を取り付ける。

 

「変身ですわ!」「ダイヘンシン!」「変身!」

 

 ヴィーダがフレイムシャワードライバーを取り付ける。

 

『COMPLETE』『CHANGE FLAME SHOWER』『御意! 出陣! 仮面ライダームラマサ!』『ARC COMPLETE』

 

 美咲が爆弾を握り潰し、ヴィーダは光に包まれて姿を変える。

 裕太と明人は剣を手に、そこから段々と姿が変わった。

 赤と黒の禍々しい見た目の、ライダーを模したような剣士……剣の怪人・改。

 白い槍を模した紋章がついた頭に、青い槍を携えた戦士……仮面ライダーグングニル。

 緑と赤の身体に、紫の刀を持つ戦士……仮面ライダームラマサ。

 そして紫の爆弾頭に、紫の長ランとライダースーツの戦士……仮面ライダーボマー。

 その四人がアトミックに向き合う。

 

「戦いの結末は、私達が決めますわ!」

 

 バットを構えて、ボマーはそう言い放つ。

 


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