浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
あの激しい戦いをしながらも、砂の異形は更に数を増やし、成音達を追いつめる。
同じように追い詰められている美咲達と同じように……。
「キリがない、こんなの……!」
成音がそう呟く……が。
「諦めんじゃねえよ!」
剣の怪人に変身している生徒が叫ぶ。
「お前にとって、あいつらはこの程度の事で諦めていい奴だったんかよ……嫌がる俺達を煽ってでも、お前はヴィーダを助けようとしたんだろ! だったら、お前が諦めてんじゃねえよ! 俺達にデカい口叩けんなら、こんな所で諦めてんじゃねえぞ!」
「アンタ……」
『FINAL DRIVE!』
剣の怪人が剣を構えてから姿を消し、多数の砂の異形に剣を振るう。
最後の一撃は、その全てを両断する回転斬り。
砂の異形は爆散し、そのまま元の砂へと戻っていく。
「あたしも……!」
『FINAL DRIVE!』
成音も諦めずに立ち向かう。
いつもより頼りない、弱い火炎放射器から勢いよく炎をまき散らす。
砂の異形を焼き尽くし、爆散させる。
「はあッ!」
成音達は叫びながら、砂の異形を倒しつつ前へ進む。
※※※
オールウェポンに姿を変えてから、十秒も経たないうちに。
ボマーとアトミックは、光すらも置き去って二人だけで戦いを繰り広げていた。
「誰も自分を弱いと言ってくれない世界、それが貴方の欲する世界なんですの!?」
「そうだぜ。俺はそんな世界に行きてえ。六角美咲……お前は俺の知る中で一番強い敵だ。自分の身体一つで、今こうして俺と剣を交えている。他の奴らを置き去りにしてな!」
「置き去りになんてしませんの! 私は私に挑戦するものを拒まない! 弱いと言われたら、強いと言って貰えるまで戦う。私が勝っても負けを認めないなら、認めてもらうまで戦う! 私が満足しないなら、私が満足するまで戦う! 誰も弱いと言ってくれない世界では、進化することなんて出来ませんわ!」
「もう十分なんだよそんな世界。第一印象で全てが決まっちまう世界なら、俺より強い奴なんていなくなれば良いんだよ!」
アトミックの光剣がボマーに振り下ろされる。
ボマーは何とか受け止めて、回し蹴りをお見舞いした。
「そんな人間ばかりなら、何度だって証明すれば良い。証明して証明して、出来ないならもう一度強くなって証明して! 私は……そうして今ここに立ってますの!」
ボマーの渾身の突きを受け止めるアトミック。
アトミックの手から炎が放たれ、ボマーが勢いよく吹き飛ばされた。
「そんな人生、ここで終わらせてやる。もう二度と証明出来ねえようにしてやるよ」
ハイドロフォームカードを取り出すアトミック。
『UPDATE DRIVE』
『COMPLETE HYDRO DRIVE READY?』
「はあッ!」
ハイドロフォームカードを使ったアトミック。
姿を変えてから、光剣を構えて呟く。
「もう無駄話は終わりだ。お前と話してたら、余計に行きたくなっちまったぜ」