浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百六十六話

 あの激しい戦いをしながらも、砂の異形は更に数を増やし、成音達を追いつめる。

 同じように追い詰められている美咲達と同じように……。

 

「キリがない、こんなの……!」

 

 成音がそう呟く……が。

 

「諦めんじゃねえよ!」

 

 剣の怪人に変身している生徒が叫ぶ。

 

「お前にとって、あいつらはこの程度の事で諦めていい奴だったんかよ……嫌がる俺達を煽ってでも、お前はヴィーダを助けようとしたんだろ! だったら、お前が諦めてんじゃねえよ! 俺達にデカい口叩けんなら、こんな所で諦めてんじゃねえぞ!」

「アンタ……」

『FINAL DRIVE!』

 

 剣の怪人が剣を構えてから姿を消し、多数の砂の異形に剣を振るう。

 最後の一撃は、その全てを両断する回転斬り。

 砂の異形は爆散し、そのまま元の砂へと戻っていく。

 

「あたしも……!」

『FINAL DRIVE!』

 

 成音も諦めずに立ち向かう。

 いつもより頼りない、弱い火炎放射器から勢いよく炎をまき散らす。

 砂の異形を焼き尽くし、爆散させる。

 

「はあッ!」

 

 成音達は叫びながら、砂の異形を倒しつつ前へ進む。

 

※※※

 

 オールウェポンに姿を変えてから、十秒も経たないうちに。

 ボマーとアトミックは、光すらも置き去って二人だけで戦いを繰り広げていた。

 

「誰も自分を弱いと言ってくれない世界、それが貴方の欲する世界なんですの!?」

「そうだぜ。俺はそんな世界に行きてえ。六角美咲……お前は俺の知る中で一番強い敵だ。自分の身体一つで、今こうして俺と剣を交えている。他の奴らを置き去りにしてな!」

「置き去りになんてしませんの! 私は私に挑戦するものを拒まない! 弱いと言われたら、強いと言って貰えるまで戦う。私が勝っても負けを認めないなら、認めてもらうまで戦う! 私が満足しないなら、私が満足するまで戦う! 誰も弱いと言ってくれない世界では、進化することなんて出来ませんわ!」

「もう十分なんだよそんな世界。第一印象で全てが決まっちまう世界なら、俺より強い奴なんていなくなれば良いんだよ!」

 

 アトミックの光剣がボマーに振り下ろされる。

 ボマーは何とか受け止めて、回し蹴りをお見舞いした。

 

「そんな人間ばかりなら、何度だって証明すれば良い。証明して証明して、出来ないならもう一度強くなって証明して! 私は……そうして今ここに立ってますの!」

 

 ボマーの渾身の突きを受け止めるアトミック。

 アトミックの手から炎が放たれ、ボマーが勢いよく吹き飛ばされた。

 

「そんな人生、ここで終わらせてやる。もう二度と証明出来ねえようにしてやるよ」

 

 ハイドロフォームカードを取り出すアトミック。

 

『UPDATE DRIVE』

『COMPLETE HYDRO DRIVE READY?』

「はあッ!」

 

 ハイドロフォームカードを使ったアトミック。

 姿を変えてから、光剣を構えて呟く。

 

「もう無駄話は終わりだ。お前と話してたら、余計に行きたくなっちまったぜ」


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