浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
ハイドロフォームへと姿を変えたアトミックは、やはり次元が違う。
動いただけで衝撃波を起こし、オールウェポンですらも追いつく事が出来ない。
「お前が俺に勝つのは無理だ」
ボマーだけを集中狙いして攻撃を当てながら、アトミックがそう告げる。
「そんなの……分かりませんわ! 私は、貴方に……!」
「そういうセリフはよ……敵に攻撃を当ててから言うんだよ!」
「ぐあッ!」
アトミックの放った拳がボマーに突き刺さる。
ボマーは地面へと叩きつけられ、無残にも転がっていく。
「私には、無理……ですの? この人に勝つ事は、やはり……」
※※※
その様子を、俺と健斗は見ていた。
美咲はああして戦っているのに、強くなった筈の俺は彼女の為に何もしてやれない。
しかも、美咲ですらあいつを倒す事は……。
『やるのか? あれを』
――……!
俺は精神世界で、健斗と話す。
『こうなる事は分かってた。例え強くなったとしても、あれは次元を超えているんだから。だから、もう良い。俺を犠牲にしてくれ』
「けど……」
『まだ躊躇うのか! お前を取り囲む状況を見ろ!』
健斗がそう叫ぶ。
美咲のオールウェポンは、数分しか持たない。
けどそんな状況なのに、ハイドロフォームのアトミックには歯が立たない。
明人とグングニルは、大ダメージを受けて満身創痍。
戦おうにも、動けない。
今動けて、美咲を助けられるのは……。
『裕太忘れるな、お前は美咲が一番大事にしたい人だ。あいつはお前を愛している! 人殺しの俺なんかの為に、あいつを見殺しにするなど……俺が許さん!』
「健斗……!」
『裕太、俺と違って……お前は愛されたんだ。だから、愛されたお前と、愛してくれる奴を……死なせてはダメなんだ』
健斗がそう言って、交代する。
※※※
「これでやっと……俺の求めた世界が手に入る! ハハハハッ!! 俺が永遠に最強であり続けられる世界! 誰もが弱いと言わない世界! 心が、痛まない世界!」
アトミックが端末を操作して、ベルトに取り付ける。
『FINAL DRIVE!』
ボムビットがアトミックを囲い、そしてアトミックの周囲が光に包まれる。
アトミックを中心に、ドーム状に爆風が広がっていく。
ボマーは、それに飲み込まれてようとしていた。
「諦めたく、ありませんの。私は、絶対に勝利を諦めたく……」
そう言ったボマーの前に、一つの黒い影が立ち塞がる。
「……!」
ムラマサだ。
「逃げろ、美咲!」
「裕太さん!」
「お前が出て来たところで、無駄なんだよ! 纏めて消し飛ばしてやる!」
美咲は眩しさで、眼を閉じてしまう。
それが……彼との別れになるとも、知らずに。