浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百六十七話

 ハイドロフォームへと姿を変えたアトミックは、やはり次元が違う。

 動いただけで衝撃波を起こし、オールウェポンですらも追いつく事が出来ない。

 

「お前が俺に勝つのは無理だ」

 

 ボマーだけを集中狙いして攻撃を当てながら、アトミックがそう告げる。

 

「そんなの……分かりませんわ! 私は、貴方に……!」

「そういうセリフはよ……敵に攻撃を当ててから言うんだよ!」

「ぐあッ!」

 

 アトミックの放った拳がボマーに突き刺さる。

 ボマーは地面へと叩きつけられ、無残にも転がっていく。

 

「私には、無理……ですの? この人に勝つ事は、やはり……」

 

※※※

 

 その様子を、俺と健斗は見ていた。

 美咲はああして戦っているのに、強くなった筈の俺は彼女の為に何もしてやれない。

 しかも、美咲ですらあいつを倒す事は……。

 

『やるのか? あれを』

 

 ――……!

 

 俺は精神世界で、健斗と話す。

 

『こうなる事は分かってた。例え強くなったとしても、あれは次元を超えているんだから。だから、もう良い。俺を犠牲にしてくれ』

「けど……」

『まだ躊躇うのか! お前を取り囲む状況を見ろ!』

 

 健斗がそう叫ぶ。

 美咲のオールウェポンは、数分しか持たない。

 けどそんな状況なのに、ハイドロフォームのアトミックには歯が立たない。

 明人とグングニルは、大ダメージを受けて満身創痍。

 戦おうにも、動けない。

 今動けて、美咲を助けられるのは……。

 

『裕太忘れるな、お前は美咲が一番大事にしたい人だ。あいつはお前を愛している! 人殺しの俺なんかの為に、あいつを見殺しにするなど……俺が許さん!』

「健斗……!」

『裕太、俺と違って……お前は愛されたんだ。だから、愛されたお前と、愛してくれる奴を……死なせてはダメなんだ』

 

 健斗がそう言って、交代する。

 

※※※

 

「これでやっと……俺の求めた世界が手に入る! ハハハハッ!! 俺が永遠に最強であり続けられる世界! 誰もが弱いと言わない世界! 心が、痛まない世界!」

 

 アトミックが端末を操作して、ベルトに取り付ける。

 

『FINAL DRIVE!』

 

 ボムビットがアトミックを囲い、そしてアトミックの周囲が光に包まれる。

 アトミックを中心に、ドーム状に爆風が広がっていく。

 ボマーは、それに飲み込まれてようとしていた。

 

「諦めたく、ありませんの。私は、絶対に勝利を諦めたく……」

 

 そう言ったボマーの前に、一つの黒い影が立ち塞がる。

 

「……!」

 

 ムラマサだ。

 

「逃げろ、美咲!」

「裕太さん!」

「お前が出て来たところで、無駄なんだよ! 纏めて消し飛ばしてやる!」

 

 美咲は眩しさで、眼を閉じてしまう。

 それが……彼との別れになるとも、知らずに。

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