浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百六十八話

 砂の異形を倒し終え、成音達はそろそろ空き地に近付いていた。

 近付く前に、かなり大きな爆風の音が聞こえた事から間違いない。

 そう確信して、成音達が現場について見たものは。

 

「……!」

 

 既にハイドロフォームへと姿を変えたアトミック。

 満身創痍で戦えない明人とグングニル。

 オールウェポンに変身しているボマー。

 そして、消えたムラマサ。

 

「うそ……裕太っち、健斗っち……」

 

※※※

 

 ボマーが目を開ける。

 何より先に、ボマーが見たものが一つある。

 ムラマサの姿。

 

「裕太さん……! 嘘……ですわよね? そんなはず……」

 

 ムラマサがいたところに、彼の姿はない。

 それどころか、肉体も残っていない。 

 あったのは、爆風でボロボロになったムラマサドライバーのみ。

 

「そんな……そんな!」

 

 美咲は、守れなかったのだ。

 死なせないと約束した彼を、死なせてしまった。

 一号も……。

 

「美咲……ここだ! 俺はここにいる!」

 

 聞こえたのは、一号の声。

 アトミックの中からだ。

 

「お前……俺の中に……!」

「もう好きにはさせんぞ」

「この……!」

 

 身動きが取れないアトミック。

 

「美咲……すまない。俺、裕太だけは死なせないつもりだった。なのに、なのに……」

「私には、そんな力は無かったって事ですの? 裕太さんを守れるだけの力さえも……」

「……!」

 

 一号は悔しそうに唸る。

 

「早く、俺の身体から出ていけ! 邪魔だ!」

「ベルトを破壊しろ美咲! あいつの為に!」

「ぬぅっ!」

 

 ボマーは今は涙を堪えた。

 自分の弱さに泣くのは、今じゃない。

 裕太が守ってくれた命、それを守る為に。

 今は……一号の望みを。

 

『SUMMON DRIVE SMASH』

 

 一号が変身していた怪人、サック怪人が美咲の隣に現れる。

 

「……!」

「くっ……俺が負ける!」

「やれ、美咲!」

 

 ボマーは黙して、ベルトをもう一度操作する。

 サック怪人もエアで同じような動作。

 

『FINAL DRIVE!』

 

 ボマーとサック怪人の拳に、水色の気功が溜まっていく。

 二人の拳から勢いよく放たれ、重なり……大きな気弾となってアトミックのベルト目掛けて飛ぶ。

 

「こんなもの!」

 

 アトミックが動こうとするが、一号が何とか気合で身体を止める。

 ベルトに気弾が激突し、アトミックの身体が大きく吹き飛ばされた。

 そのまま強制的に、変身が解けていく。

 彼は……白い髪の裕太の姿へ戻っていった。

 

「馬鹿な……」

「やったぞ……裕太!」

 

 ボマーもそのまま、強制的に変身が解けていく。

 六角美咲の姿へと戻り、吹き飛ばした二号の所へ……疲れているのも忘れて駆けていく。


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