浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百七十一話

「……」

 

 明人は無言で剣を構える。

 菫はそれを見て、笑みを浮かべた。

 

「そういえば……自分の計画に君の肉体を選んだのも、僕の汚点の一つになってしまったね。まあ尤も、一部は秀奈の自分勝手ではあるがね」

「御託は良い。そんなのは戦いの場において無意味だ。お前が勝てばどれだけ汚れた事をしていようがお前が正義だ」

「……」

「自分のしてきた事を無駄にしたくないなら、戦って勝てば良い。あとは俺を倒せば終わりのようなものだ」

「潔いじゃないか。そこまで言うって事は余程の自信があるって事なんだろう?」

「自信……違うな。俺は一度望まぬ形でお前の手下になった。この戦いでその過去を振り切る、それが俺のするべき事だと分かっているからそう言ったまでだ」

「良いね、もし僕が勝ったら……君の肉体を今度こそ有効活用させてもらうよ」

 

 菫は次に剣の怪人・改の使う剣を生み出す。

 見ていた遥が呟く。

 

「知っている武器を……自分の脳波から取り出して使えるのか」

「美咲にも見せた事が無かったけど、その通りさ。オールウェポンのようにはいかないが、元の威力を再現する事なら出来る」

「……」

 

 二人は視線を合わせてから、消えるような速度で移動し、剣を振るう。

 明人の方がやはり上手で、剣と剣がぶつかり合った時も菫の剣の方が弾かれ、怯まされる。

 

「やはり君の剣相手ではそうなるか……なら!」

 

 今度は剣の怪人・改の武器を火炎放射器に変えて空かさず放つ。

 明人は手にしている剣でそれを防ぎながら、火炎放射器を一刀両断。

 頭突きで菫を大きく吹き飛ばし、剣をもう一度構える。

 

「やるね……今度はこれだ」

 

 背後にグングニルが振るう武器……オーディンランスを何本か出現させ、そのまま真っ直ぐ明人へと飛ばす。

 明人はそれを全て剣で防いでから駆け出す。

 何度か剣を振るうが、今度は何度か防ぐ菫。

 

「次は……」

 

 ガス銃を召喚し、空気弾で動きを止め、隙を作る。

 

「やっと君にも隙が出来たね」

「……ッ!」

「これでトドメだ」

 

 剣の怪人・改の武器に持ち替えてからそれを逆手に構え、超高速で明人を斬りつけた。

 同時に空気が拡散し、明人が解放される。

 明人の身体に大きな傷が入った後、大ダメージで変身が解けてしまう。

 

「ぐあッ!」

「もう終わりか……まったくつまらないな」

 

 菫が呆れた顔でそう呟く。

 

「じゃあ、君を殺させてもらうとするよ」

 

 剣を遥の喉元に向けた菫が、笑みを浮かべてそう告げる。

 遥は覚悟を決めて、ロードドライバーを取り出す。


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