浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「……」
明人は無言で剣を構える。
菫はそれを見て、笑みを浮かべた。
「そういえば……自分の計画に君の肉体を選んだのも、僕の汚点の一つになってしまったね。まあ尤も、一部は秀奈の自分勝手ではあるがね」
「御託は良い。そんなのは戦いの場において無意味だ。お前が勝てばどれだけ汚れた事をしていようがお前が正義だ」
「……」
「自分のしてきた事を無駄にしたくないなら、戦って勝てば良い。あとは俺を倒せば終わりのようなものだ」
「潔いじゃないか。そこまで言うって事は余程の自信があるって事なんだろう?」
「自信……違うな。俺は一度望まぬ形でお前の手下になった。この戦いでその過去を振り切る、それが俺のするべき事だと分かっているからそう言ったまでだ」
「良いね、もし僕が勝ったら……君の肉体を今度こそ有効活用させてもらうよ」
菫は次に剣の怪人・改の使う剣を生み出す。
見ていた遥が呟く。
「知っている武器を……自分の脳波から取り出して使えるのか」
「美咲にも見せた事が無かったけど、その通りさ。オールウェポンのようにはいかないが、元の威力を再現する事なら出来る」
「……」
二人は視線を合わせてから、消えるような速度で移動し、剣を振るう。
明人の方がやはり上手で、剣と剣がぶつかり合った時も菫の剣の方が弾かれ、怯まされる。
「やはり君の剣相手ではそうなるか……なら!」
今度は剣の怪人・改の武器を火炎放射器に変えて空かさず放つ。
明人は手にしている剣でそれを防ぎながら、火炎放射器を一刀両断。
頭突きで菫を大きく吹き飛ばし、剣をもう一度構える。
「やるね……今度はこれだ」
背後にグングニルが振るう武器……オーディンランスを何本か出現させ、そのまま真っ直ぐ明人へと飛ばす。
明人はそれを全て剣で防いでから駆け出す。
何度か剣を振るうが、今度は何度か防ぐ菫。
「次は……」
ガス銃を召喚し、空気弾で動きを止め、隙を作る。
「やっと君にも隙が出来たね」
「……ッ!」
「これでトドメだ」
剣の怪人・改の武器に持ち替えてからそれを逆手に構え、超高速で明人を斬りつけた。
同時に空気が拡散し、明人が解放される。
明人の身体に大きな傷が入った後、大ダメージで変身が解けてしまう。
「ぐあッ!」
「もう終わりか……まったくつまらないな」
菫が呆れた顔でそう呟く。
「じゃあ、君を殺させてもらうとするよ」
剣を遥の喉元に向けた菫が、笑みを浮かべてそう告げる。
遥は覚悟を決めて、ロードドライバーを取り出す。