浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百七十四話

『秀奈って……という事は二号さんですの?』

 

 美咲が驚いた声でそう問いかける。

 

「……ああ。このベルトのせいで、この忌々しい姿に逆戻りしたみてえだがな」

「……お前がそこにいるなら、話は早い。もうこの戦いを」

「終わりにしよう、とでも言うんだろ?」

「……」

 

 秀奈が言う。

 

「六角美咲を出せ」

 

 健斗はその言葉に対して、やや不服そうな振る舞いをしながらも交代する。

 

「二号さん……」

「まだ困るんだよ、こいつに負けてもらっちゃよ。俺まで死んじまうからな」

『お前……! そこにいたのか! 邪魔だ! すぐ出ていけ!』

「テメエ一人で何も出来ねえ奴がほざいてんじゃねえよ」

 

 秀奈が何とかして菫を抑えこむ。

 

「私達は菫さんを殺すつもりはありませんの。ですから別に……」

「おいおい正気かよ。こいつを殺さねえとか頭湧いてんのか」

 

 笑いながら言う。

 

「こいつは大人しくお前らの言う事を聞くようなタマじゃねえ。だから、今ここで決めなきゃいけねえ。俺とこいつが死ぬか、お前達が死ぬか」

「……私に、貴方達を殺せと言うんですの?」

「そうするしかねえだろ? 大体お前も、こいつのせいで一回死んでんだよ。それくらいするべきだと思わねえか?」

「……」

「やれねえってか? なら……」

 

 秀奈が素早く移動して、美咲との距離を詰める。

 

「俺がお前を殺す」

 

 そう告げた秀奈の拳が、ムラマサの腹に深々と突き刺さった。

 

※※※

 

 宙を回転しながら大きく吹き飛ばされるムラマサ。

 地面に叩きつけられてから何とか立ち上がり、秀奈の姿を捉える。

 

「おい、早く戦えよ。俺はお前を殺すって言ったんだ。戦えよ……」

『美咲……!』

 

 裕太の残留思念が交代して、拳を握って秀奈に振るう。

 

「その拳、福沢裕太か」

 

 秀奈が笑みを浮かべて拳を掴む。

 

「この命を代えて守った奴を、みすみす殺させるわけねえだろ!」

「……そうだなぁ、お前こいつの為に死んだんだよなぁ?」

「……!」

「どうだよ、二回目の死を迎えた気分は。痛かったか? 爆風に飲み込まれて死ぬのは」

「……!」

「もう一回その状態で殺してやるよ。美咲も、健斗も纏めてな」

 

 そう告げて、ムラマサの脇腹に蹴りを入れる。

 そしてブレインドライバーの能力で剣の怪人・改の剣を生み出し、視認出来ない剣捌きでムラマサを圧倒していく。

 連続攻撃の最後の一撃は、顔面に向かって振り下ろされる一撃。

 何とかそれを、咄嗟に交代した美咲が防ぐ。

 

「……!」

『美咲!』

「もう誰も殺させないし、私も死にませんわ! 貴方達だって……」

「殺さなきゃ、俺が死ぬまで何度でも殺しにかかるだけだ」

 

 ムラマサと距離を取った秀奈が、また笑みを浮かべる。

 


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