浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
『秀奈って……という事は二号さんですの?』
美咲が驚いた声でそう問いかける。
「……ああ。このベルトのせいで、この忌々しい姿に逆戻りしたみてえだがな」
「……お前がそこにいるなら、話は早い。もうこの戦いを」
「終わりにしよう、とでも言うんだろ?」
「……」
秀奈が言う。
「六角美咲を出せ」
健斗はその言葉に対して、やや不服そうな振る舞いをしながらも交代する。
「二号さん……」
「まだ困るんだよ、こいつに負けてもらっちゃよ。俺まで死んじまうからな」
『お前……! そこにいたのか! 邪魔だ! すぐ出ていけ!』
「テメエ一人で何も出来ねえ奴がほざいてんじゃねえよ」
秀奈が何とかして菫を抑えこむ。
「私達は菫さんを殺すつもりはありませんの。ですから別に……」
「おいおい正気かよ。こいつを殺さねえとか頭湧いてんのか」
笑いながら言う。
「こいつは大人しくお前らの言う事を聞くようなタマじゃねえ。だから、今ここで決めなきゃいけねえ。俺とこいつが死ぬか、お前達が死ぬか」
「……私に、貴方達を殺せと言うんですの?」
「そうするしかねえだろ? 大体お前も、こいつのせいで一回死んでんだよ。それくらいするべきだと思わねえか?」
「……」
「やれねえってか? なら……」
秀奈が素早く移動して、美咲との距離を詰める。
「俺がお前を殺す」
そう告げた秀奈の拳が、ムラマサの腹に深々と突き刺さった。
※※※
宙を回転しながら大きく吹き飛ばされるムラマサ。
地面に叩きつけられてから何とか立ち上がり、秀奈の姿を捉える。
「おい、早く戦えよ。俺はお前を殺すって言ったんだ。戦えよ……」
『美咲……!』
裕太の残留思念が交代して、拳を握って秀奈に振るう。
「その拳、福沢裕太か」
秀奈が笑みを浮かべて拳を掴む。
「この命を代えて守った奴を、みすみす殺させるわけねえだろ!」
「……そうだなぁ、お前こいつの為に死んだんだよなぁ?」
「……!」
「どうだよ、二回目の死を迎えた気分は。痛かったか? 爆風に飲み込まれて死ぬのは」
「……!」
「もう一回その状態で殺してやるよ。美咲も、健斗も纏めてな」
そう告げて、ムラマサの脇腹に蹴りを入れる。
そしてブレインドライバーの能力で剣の怪人・改の剣を生み出し、視認出来ない剣捌きでムラマサを圧倒していく。
連続攻撃の最後の一撃は、顔面に向かって振り下ろされる一撃。
何とかそれを、咄嗟に交代した美咲が防ぐ。
「……!」
『美咲!』
「もう誰も殺させないし、私も死にませんわ! 貴方達だって……」
「殺さなきゃ、俺が死ぬまで何度でも殺しにかかるだけだ」
ムラマサと距離を取った秀奈が、また笑みを浮かべる。