浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
疲れ果て、荒い息を吐いて仰向けに倒れる秀奈に、美咲は手を伸ばす。
「秀奈さん」
「……」
秀奈は、何も言わずにその手をとる。
「やっと、話してくれましたわね。貴女の弱さ、貴女が何故戦うのか」
「出来る事なら、そんな話せずに死にたかったぜ」
そう言いながらも、秀奈は笑う。
「元々この勝負はお前の勝ちだ。裕太を殺した償いに、お前に俺を殺してもらうつもりだったが、なんつーかつい……熱くなっちまった。なんでかな、お前と話してると変な気持ちになる。なんかこう、つい気持ちをぶつけたくなっちまう」
「……秀奈さん」
「ふぅ……にしても、最後まで俺を殺さなかったみてえだな。あんだけお前の彼氏を馬鹿にした俺をよ」
「言った筈ですわ。誰が道具と言おうと、私が裕太さんを愛する気持ちは……って彼氏じゃありませんわ!」
「ふん……」
秀奈は軽く笑ってから言う。
「悪かったな、決着がつく前にお前の相棒を殺しちまって」
「……」
美咲はまだ、涙を堪える。
自分の中には裕太が残っている。
まだ泣く時ではない。
「俺がこいつごと全て終わらせる。だから」
どこかへ向かおうとする秀奈を止める。
「そう思うのなら、死ぬ選択肢を取らないで欲しいですわ」
「お前……」
「貴女は強い人。だから、私一人の力でいつか貴女を倒せるくらい強くなりたいんですの」
「……」
秀奈は俯いてから、もう一度笑う。
「お前、やっぱ馬鹿だな」
「馬鹿で結構ですわよ」
美咲も意地を張りながら笑う。
そうして全てが終わる……そう思っていたが。
「くっ……」
「秀奈さん?」
「どうやら、菫の野郎はそうもいかねえみてえだ」
秀奈の人格から、菫の人格に入れ替わる。
「僕をのけ者にして話を進めるとは良い度胸だ。殺す……こいつの人格も消してこの場にいる君達全員!」
最早冷静な判断が出来ない菫が、美咲に掴みかかろうとする。
しかし。
『待てよ』
秀奈が何とか菫を止めた。
「秀奈……また僕の邪魔を」
『六角美咲、残念だったな。どうやらお前の願いはどう足掻いても叶えられそうにねえ。この場で俺と菫が死ぬくらいしか方法がねえぞ』
秀奈はそう言いながら、菫の首に手をやる。
「こ、これは……!」
『へっ……俺と一緒に死んでもらうぜ。お袋』
「な、何を言う! やめろ! やめるんだ! 僕はまだ死にたくない! 僕は絶対に歴史に名を残して
『テメエ一人の力で何も出来ねえ奴がほざくんじゃねえ。歴史に名を刻む? テメエの名なんざせいぜい墓石に刻むくらいがちょうどいいぜ』
「やめろ……やめろやめろ! そうだ! 君に新しい身体をやる! それで良いだろ……だから、かはっ……やめろ!」
『あと、もう少しだ……くっ……』
異様な光景だ。
自分の首を絞めながら、嫌だ嫌だと叫び続ける菫を……美咲達は止められずに見ていた。
「うっ……けほっ……こほっ……」
やがて、菫が嗚咽し……そのまま窒息して命を絶った。