浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百七十八話

 疲れ果て、荒い息を吐いて仰向けに倒れる秀奈に、美咲は手を伸ばす。

 

「秀奈さん」

「……」

 

 秀奈は、何も言わずにその手をとる。

 

「やっと、話してくれましたわね。貴女の弱さ、貴女が何故戦うのか」

「出来る事なら、そんな話せずに死にたかったぜ」

 

 そう言いながらも、秀奈は笑う。

 

「元々この勝負はお前の勝ちだ。裕太を殺した償いに、お前に俺を殺してもらうつもりだったが、なんつーかつい……熱くなっちまった。なんでかな、お前と話してると変な気持ちになる。なんかこう、つい気持ちをぶつけたくなっちまう」

「……秀奈さん」

「ふぅ……にしても、最後まで俺を殺さなかったみてえだな。あんだけお前の彼氏を馬鹿にした俺をよ」

「言った筈ですわ。誰が道具と言おうと、私が裕太さんを愛する気持ちは……って彼氏じゃありませんわ!」

「ふん……」

 

 秀奈は軽く笑ってから言う。

 

「悪かったな、決着がつく前にお前の相棒を殺しちまって」

「……」

 

 美咲はまだ、涙を堪える。

 自分の中には裕太が残っている。

 まだ泣く時ではない。

 

「俺がこいつごと全て終わらせる。だから」

 

 どこかへ向かおうとする秀奈を止める。

 

「そう思うのなら、死ぬ選択肢を取らないで欲しいですわ」

「お前……」

「貴女は強い人。だから、私一人の力でいつか貴女を倒せるくらい強くなりたいんですの」

「……」

 

 秀奈は俯いてから、もう一度笑う。

 

「お前、やっぱ馬鹿だな」

「馬鹿で結構ですわよ」

 

 美咲も意地を張りながら笑う。

 そうして全てが終わる……そう思っていたが。

 

「くっ……」

「秀奈さん?」

「どうやら、菫の野郎はそうもいかねえみてえだ」

 

 秀奈の人格から、菫の人格に入れ替わる。

 

「僕をのけ者にして話を進めるとは良い度胸だ。殺す……こいつの人格も消してこの場にいる君達全員!」

 

 最早冷静な判断が出来ない菫が、美咲に掴みかかろうとする。

 しかし。

 

『待てよ』

 

 秀奈が何とか菫を止めた。

 

「秀奈……また僕の邪魔を」

『六角美咲、残念だったな。どうやらお前の願いはどう足掻いても叶えられそうにねえ。この場で俺と菫が死ぬくらいしか方法がねえぞ』

 

 秀奈はそう言いながら、菫の首に手をやる。

 

「こ、これは……!」

『へっ……俺と一緒に死んでもらうぜ。お袋』

「な、何を言う! やめろ! やめるんだ! 僕はまだ死にたくない! 僕は絶対に歴史に名を残して

『テメエ一人の力で何も出来ねえ奴がほざくんじゃねえ。歴史に名を刻む? テメエの名なんざせいぜい墓石に刻むくらいがちょうどいいぜ』

「やめろ……やめろやめろ! そうだ! 君に新しい身体をやる! それで良いだろ……だから、かはっ……やめろ!」

『あと、もう少しだ……くっ……』

 

 異様な光景だ。

 自分の首を絞めながら、嫌だ嫌だと叫び続ける菫を……美咲達は止められずに見ていた。

 

「うっ……けほっ……こほっ……」

 

 やがて、菫が嗚咽し……そのまま窒息して命を絶った。

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