浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
グングニル 第一話
この世界にはかつて、魔法使いがいたという話がある。
その者は指輪を用いて恐ろしい怪物と戦い、絶望を希望に変えていった。
今その魔法使いがいるのかどうかは分からない。
だが実際その出来事が起きてから数年後に、噂として人々の間に広まっている。
それは滋賀県の某所にある、とある女子高でも。
「魔法使い?」
「そうそう。カッコいいよねえ」
「私も見てみたいなあ」
噂話が生徒会室の外から聞こえる。
生徒会副会長にして二年生……山内成音(やまうち なりね)がスマホを見ながら、ある者に対して問う。
「魔法使い……。ねえ会長、いると思う?」
「成音ちゃんにも、そういうのに興味を持つ心があったんすね」
「いやほら、写真とかもあるみたいだし、妙に現実味を帯びているっていうか」
「ふーん……」
成音が話す相手は生徒会長。
三年生で、名は蒲生恵(がもう けい)。
二人は生徒会のナンバー1と2……というだけではなく、ある繋がりがあった。
「その魔法使いって、あの元クソ会長とどっちが強いんすかね?」
「やめてよ会長。伝説の戦士と、うちの名誉会長比べるなんてナンセンスにも程があるわよ」
この学校を卒業した元生徒会長……そして三年間の生徒会生活で優秀な仕事ぶりで、名誉会長の二つ名を手に入れた少女『六角美咲(ろっかく みさき)』をライバル視している者達なのだ。
去年蒲生と成音は、怪人に変身して美咲と戦い、そして最終的に負けた。
いつか絶対彼女を超える事を約束し、二人は生徒会としての仕事も、身体的な強さも、そして頭脳も彼女を超えるべく努力している。
だが……彼女の仕事ぶりや戦いぶり、そして夢に対する姿勢を思い出す度に感じる。
あんな怪物にどう勝てば良いのかと。
「魔法使いに勝って欲しいわね」
「そうっすね」
二人とも意見は同じだ。
その魔法使いとやらの方が強くあって欲しい。
もし逆だったら、勝ちの目はないし何より……。
((もしあいつの方が強かったら腹立つ))
これ以上奴の強さを見せつけられたら腹も立ってきてしまう。
だから絶対に魔法使いに勝って欲しい。
もし会えれば、あの名誉会長を引きずりだして戦わせたい。
そして日頃の恨みを晴らしてやる。
「あ、そういえば会長……目安箱になんか来てない?」
「そういや一か月も確認するの忘れてたっすね」
「いや置いたばかりなのにもう忘れたの?」
「うるさいっすね。こっちも受験勉強が忙しいんすよ」
この人じゃ美咲に勝つの無理かも知れない。
そう成音は心で呟く。
「仕方ないわね」
成音は目安箱内を確認……すると。
「ん?」
「どうしたっすか?」
「これ……見てよ」
「なんすか?」
成音の絶望顔に、蒲生も箱の中を確認。
成音が見たもの……それは。
「全然入ってない……」
「そんな……」
成音と二人して、しょげる蒲生。
だが一件もないわけではない。
というか、一件入ってた。
「まともな意見だと良いけど」
「うちの学校にそんなの望めないっす」
恐る恐る開く。
すると……。
「なんすか……これ……」
「ん?」
目安箱の紙に書かれていた言葉は一つ。
『最近午後五時以降の学校に、人を攫う怪物が現れる。退治して欲しい』
二人はそれを見て頭を抱える。
「「怪物?」」
ライダーファンならお察しの方もいると思いますが、今回はアレの十周年も兼ねてます。