浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
二人が頭を抱えるのも無理はない。
この学校で言う怪物は、比喩表現の場合が多いのだ。
何故なら喧嘩が強い生徒も多いし、それに去年の卒業生に美咲ですら恐れるぶっちぎりのヤバい奴が一人在籍していたらしいし。
「これ誰の事っすかね?」
「さあ……」
「でももしかしたら、これマジの怪物って可能性もあるっすよ」
「そんな事あるわけ……いや」
あり得ない事はない。
この学校は一度、人工脳波で操られた生徒と美咲達が戦う場所にも使われた。
その時に生徒が使っていたドライバーを回収し損ねて落としたという可能性もある。
落とした奴を拾って誰かが使っているのかも……。
「とにかく探してみるしかないわね」
「そうっすね。折角依頼が来たみたいだし」
「あ、でも会長。ドライバーはどうする気?」
「そういえば、そちらに返した筈っすね」
蒲生は笑みを浮かべて、返してくれとジェスチャーをする。
「分かったわよ。遥さんが了承するか分かんないけど」
成音が電話を掛けた。
「遥さん、ちょっと良い?」
※※※
そのまま学校を出て、成音達は遥の研究所へと向かった。
かつて蒲生が使っていたガスドライバーを回収しに来たのだ。
「成音、いらっしゃい」
遥がそう出迎える。
「私もいるっす」
「……蒲生か。会うのは久しぶりか」
「その節はどーも、それより」
蒲生は遥に手を伸ばす。
「早くドライバー返して欲しいっす」
「そう焦るな。今の今まで調整をしていた所だ」
そう言いながら、ガスドライバーを渡す遥。
蒲生は笑みを浮かべながら受け取る。
「久しぶりっすね」
「何に使う気だ?」
「まっ、怪物退治ってとこっすよ。今から成音ちゃん家で作戦会議」
「ま、待ってよ。家にはヴィーダがいるのよ。ヴィーダに聞かれたら……」
「むしろ良いじゃないっすか。彼女、美咲や足利明人の次に強いんすよね? なら彼女がいてくれれば、最悪の事態が起こる可能性が低いっすよね?」
「それはそうだけど……」
正直あまりヴィーダをこの件に巻き込みたくない。
何故なら……。
※※※
数日前の朝。
二人分の朝ごはんを用意した成音に、ヴィーダが声を掛けてきた。
「ナリネ」
「どうしたのよ?」
「ヴィーダ、オテツダイ……ッテイウノヲシテミタイ」
「ん? お手伝い? 急になんで?」
成音が首を傾げて問う。
「アノタタカイ、オワッテカラ……ヴィーダハママノヤクニタテナクナッタ。ドライバーモッテルケド、ママヲタオシタイヒトハイナイ。ダカラ、マエニママニイワレタミタイニ、ミンナノヤクニタテルコトシテミタイ」
「うーん、なるほどねえ……」
少しばかり頭を悩ませる。
確かにあの戦いの後で、これからヴィーダをどうしていくかは少し悩んだ。
彼女の存在は、色々複雑だ。
人工生命体である為戸籍もなく、戸籍を習得しようとすれば、違法な実験で生み出した狩野遥が捕まってしまう。
だが戸籍が習得できなければ、彼女は成音が養う必要が出てくる。
そもそも戸籍が無ければ就職どころか学校教育すらも厳しい……。
「そうねえ、じゃあ……」
成音は辺りを見回して、何かヴィーダにも出来そうな事を探してみる。
まだ食器を準備出来ていない事に気付き、ヴィーダに頼む。
「食器をテーブルに並べてくれる?」
「ウン!」
元気にそう告げたヴィーダ。
棚の位置的にヴィーダでも取れる筈だ。
まず棚を開き、二人分の食器を取り出す。
二枚お皿を重ねて右手に乗せ、次に左手でコップを……。
「ま、待ってそんなに一気には
「ワアアアッ!」
案の定、ガチャガチャと音を立てて皿が割れてしまう。
「ヴィーダ!」
「イテテ……アッ……」
皿を見てヴィーダが目を見開く。
「大丈夫?」
「ウー……ゴメン……」
頭を掻くヴィーダ。