浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二十九話

 

「俺泳ぎ苦手なんだよなあ……」

「つべこべ言わずに水に入りますの」

「はい……」

 

 まだ今の季節だと少々冷たいな。

 

「大体貴方も身体を鍛えなさいな。それだから生徒達に舐められるのですわ」

「うるさいな」

 

 大体あいつら普通の不良のレベル超えてるから無理だろ……。

 でも……。

 

「……」

「まだ悩んでますの?」

「あ……ああ。まあな」

「……ライダーキック!」

「うわあっ!」

 

 美咲が急に回し蹴りで、水を飛ばしてきた。

 

「水の掛け合いなんて久々ですわ」

「やったな?」

 

 俺は全力で拳を振るって吹き飛ばす。

 

「きゃあッ! やりましたわね!」

 

 今回のは普通だ。

 ……やっぱり、あの時は偶然だったのだろう。

 

「もう考えるのはやめた。美咲、俺と勝負だ!」

「望む所ですわ!」

 

※※※

 

「てて……」

 

 明人と戦った場所よりも少し遠くで、前田は目を覚ます。

 まだ身体が痛む……それに。

 

「日付変わってるぅ……」

 

 どうやら、そこそこ長い間眠っていたらしい。

 

「まったく……女の子にも容赦ないんだからぁ……」

 

 スカートの埃を掃い、立ち上がる。

 身体は痛むが、骨折の類はしていない。

 変身すれば恐らく誤魔化せるものだろう。

 

「……」

 

 ベルトから端末を取り外す。

 

『HORSE DRIVE READY?』

 

「変~身☆」

 

『COMPLETE』

 

 背後から実体のない馬が走ってくる。

 前田はジャンプしてからその馬に乗り込む。

 

「てい☆」

 

 馬が実体化し、前田の身体が女性騎士の姿へと変わる。

 

「美咲ちんだけでも倒して帰るんだから」

 

※※※

 

 夕方。

 川から上がり、着替えようとしていたその時……。

 

「み~つけた!」

 

 川沿いの崖の上から、軽いノリの女の声。

 声の主は騎兵の姿をしている。

 

「貴女は!」

 

 まだ水着姿の美咲が遠目で彼女を見る。

 崖からなんと、そこそここちら側まで距離があるというのに河原まで飛び越え、美咲との距離を詰めた。

 

「まだ勝負ついてなかったし~、戦ってもいいよね~?」

「悪いですが、私も明人さんとの約束がありますの! 貴女の為に時間を割いてる暇などありませんわ!」

 

 さっきまで思い切り遊んでた奴の言うセリフかこれ……。

 

「へえ、そんな事言っちゃうんだぁ~。でもぉ、勝つのは私ぃ!」

 

 何かに気付いた優香が、騎兵を見て呟く。

 

「その声……前田っち?」

「そうだよ優香ちん。待っててぇ、美咲ちん倒しちゃうから」

「舐められては困りますわ!」

『BOMER DRIVE READY?』

 

 美咲は端末を閉じ、顔の左側まで移動させて構える。

 

「変身ですわ!」

 

 端末をベルトに取り付ける。

 

『COMPLETE』

 

 上空から降ってくる爆弾を掴み、爆風が起こる。

 そこから仮面ライダーボマーが現れた。

 

「行きますわよ!」

 

 バットを構え、ボマーは駆け出す。

 

 




次回予告

初「……」
美咲「どうしましたの?」
初「次回、浅井三姉妹のバカな日常……」
美咲「待ちなさいな!」
初「なんだよとっと終わらせて帰りてえんだよ」
美咲「仮面ライダーボマーですのよここは。貴女はここではモブですのよ!」
初「……」
美咲「それに何ですのそのテンションの低さは! 誰か死にでもしたんですの?」
初「いや、優香が二人増えたと思うとめんどくさそうだなって」
美咲「それは私も同感ですの……ってもう尺がありませんわよ! 前回もちゃんとできなかったんですから今回こそ」
初「次回! 浅井三姉妹のバカな日常 前田死す! デュエルスタンバイ!」
美咲「全然違いますの!」

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