浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
両者の実力はほぼ互角。
両者一歩も譲らない戦いを繰り広げ、既に十分ほど経過している。
まだお互いの手の内を晒す様子はない。
「まだまだねぇ……それじゃあ明人ちんには勝てないんじゃな~い?」
騎兵怪人は勢いよく剣を振るい、ボマーを吹き飛ばす。
「私は確かに無事だけどぉ、明人ちんはあの状態で私を倒したのよぉ?」
まだ続ける騎兵怪人。
「でも美咲ちんはぁ、まだ私に一撃しか当てられてないじゃん? それで勝てるのぉ?」
ボマーの動揺を誘う気だろう。
だが……ボマーにそれは通用しない。
「私は確かに、一度彼に負けましたわ。ですが……あの人は私を一目置いていた。恐らく私なら明人さんに勝てるかも知れないと、彼自身が信じているからですわ」
「へぇ? だからぁ?」
「やる前から諦めて、勝負を投げ出す程……私は弱くありませんの。今は勝てなくても、次こそは勝ってみせますわ!」
ボムビットを飛ばすボマー。
ボマーの思いが込められた、渾身の六発が勢いよく、騎兵怪人の馬へ命中。
「すごい度胸ねぇ」
爆風で吹き飛ばされた騎兵が……馬と共に立ち上がる。
「でもぉ、それはこれを受け止めてから言って欲しいなぁ」
「また来ますわね」
騎兵怪人は端末を取り出す。
『FINAL DRIVE!』
「いっくよ~!」
騎兵怪人は、馬の頭に光を纏わせて突進する。
ボマーはベルトから端末を外して操作。
「その突進、打ち破ってみせますわ」
『FINAL DRIVE!』
脚にボムビットを纏わせる。
「はぁ~っ!」
騎兵怪人がボマーへ迫る。
「ライダー……タイフーン!」
先の水の掛け合いで見せたような、鮮やかな回し蹴りが放たれた。
「きゃぁッ!」
ボマーが起こした爆発の中から、変身が解除された前田が勢いよく吹き飛ばされる。
ゴロゴロと河原を転がるが、まだ気絶までしていない。
爆炎から少し離れた位置で、相変わらず一度死んだボマーが……天を指さす構えをとった。
「へぇ……結構やるじゃん……だけど今度こそ……」
端末を取り出し、再変身しようとする。
「もうやめる系!」
優香が前田の前に立ちふさがった。
「何してんの? 優香ちん……邪魔」
「友達同士で争うとこ……見たくない系……」
「……」
前田はベルトに手を掛けてから問いかける。
端末を取り出そうとしているようにも……ベルトそのものを外そうとしているようにも見えた。
「優香ちんなら、ここで私が変身しても止める?」
「止める系……当たり前じゃん……」
少し間を置いてから、笑って……。
「……もういいよ」
ベルトを外す前田。
「ちょっとだけ楽しむつもりだったけど、はしゃぎすぎちゃったぁ。でもやっぱり、私には優香ちんの方が大切だし、そう言うならやめる!」
「前田っち……」
「え……」
遠くで聞いていたボマーがバットを落とす。
多分……再変身してもぶちのめす気満々だったのだろう。
「てか最初から優香に説得させれば邪魔されなくて済んだのか?」
「私は……こんなふざけた奴の為に力を使いましたの……?」
怒りで拳を震わせるボマー。
ボマーが変身を解除し、美咲になった彼女が前田に向かって。
「屈辱ですわ!」
爆弾投げ。
しかし運悪く、優香の背中で爆発する事なく跳ね返り……美咲の所へ転がってくる。
「ゑ……」
大爆発。
「どうしてこうなるんですのぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
それはこっちが聞きたいよ。
次回予告
美咲「……」
初「お前はいつまで経ってもそうだな」
美咲「それより私は悔しいですわ! なんでこんな初さん並みにふざけた奴の為に力を使わなければならなかったんですの!?」
初「知らねえよ! てか私はここまでふざけてねえ!」
美咲「いつも私の勝負から逃げている癖によく言いますわ」
初「だってめんどくせえんだからしょうがねえだろ!」
美咲「まったく……どいつもこいつも戦いをなめすぎですわ」
初「んで、次回の内容は? もう時間がないぞ」
美咲「ゑ!?」
初「十、九、八」
美咲「分かりましたわカウントダウンやめなさいな!」
美咲「次回仮面ライダーボマー……えーっと!」
初「はい時間切れ」