浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第三十一話

 

 戦いの後……。

 流石に前田一人に夜道を歩かせるのも難なので、俺は彼女の家まで車で送る事になった。

 

「……」

「なんかぁ、ごめんねぇ?」

「あ……うん。大丈夫だから」

 

 そういえばこいつは気付いてるんだろうか。

 俺が蘇我高校を突然辞めた、あの福沢裕太だって事を。

 

「そういえばさぁ……キミフクだよねぇ?」

「うぐっ……」

 

 その渾名は……。

 

「うわぁっ! あぶなぁい……」

「すまん、急にお腹が……」

「えへへ……やっぱりおもしろぉい」

「これだから蘇我高校の生徒は……」

 

 俺みたいな新米をすぐからかうし嫌いだ……。

 

「私はもうちょっとフクと一緒にいたかったのになぁ……。顔もそこそこ良いんだし……。高校に戻ってきたら付き合わなぁい?」

「いえ戻る気ないんで結構です。それにガキに興味ない」

「たってるぅ」

「たってない」

「嘘だよぉ!」

「……」

 

 なんで俺に関わる女は皆股間をいじってくるんだか……。

 

「そんな事より、なんで美咲と戦おうと思ったんだ? 他の奴みたいに果たし状とかもないみたいだし、何か理由があるのか?」

「ないよぉ」

「え?」

「私も喧嘩好きだけどぉ、支配とかそぉいうの別にどうでも良いしぃ。それに友達の優香ちんに止められたらぁ、戦うのやめちゃうよぉ」

「とどのつまり……」

 

「暇を持て余したぁ」

「お前の」

「遊びぃ」

 

 ……こいつ以外にもこんな奴がいるのだろうか。

 

「でもぉ、いくら何でも生徒会長は堅すぎる気がするのよねぇ」

「足利明人だっけか?」

 

 俺も話した事はないが、蘇我高校の生徒の中でも……統率や喧嘩相手に対する礼儀を兼ね備え、彼に憧れて蘇我高校に入るヤンキーも多いと聞く。

 実際あの戦いの時に、彼を間近で見てそう感じた。

 

「あの人ぉ、他の人が喧嘩する時にも、やたらそういうのに厳しくてぇ……嫌になっちゃうのよぉ……」

「……」

 

 俺的には少しでもそういうのがいないとキツイんだけどなあ……。

 明人がいなかったらどうなってたんだろ。

 

「そんなの好きで良いじゃんねぇ」

「少なくともそれに俺を巻き込まないでくれ……」

 

 俺の胃腸に負荷が掛かる。

 

「そういえばぁ、なんでフクは美咲ちんと一緒なのぉ? もしかして付き合ってるぅ?」

「な、んなわけねえだろ! 俺はガキに興奮しないっつっただろ!」

「ゑ? ヤリモク? 美咲ちん可愛いそぉ……」

「こいつ……」

 

 やっぱり蘇我高校の生徒は嫌いだ……。

 

「ん……?」

 

 飲酒検問だ。

 俺は車を止める。

 

「ちょっとお兄さん良いかな?」

「はい」

「こんな真夜中に女子高生なんか連れてどこ行くの? ちょっと君怪しいから署まで来てくれない?」

「……丁重にお断りする」

 

 もうやだ。

 

※※※

 

 あ~た~らしい朝が来た。

 

「邪魔者もいなくなった事ですし、今日からまた張り切りますわよ!」

「だね」「おっす!」

 

 三人とも気合十分だな。

 

「裕太さん、何かいい修行方法ありませんの?」

「俺に質問するな」

 

 どうせ竜の玉関連の修行しか頭に浮かばないし。

 

「あ、なら裕太さんも一緒にやれる特訓がありますわよ」

「なにそれ」

「私も淀子さんに勝つ為に、たまにやってる奴ですわ」

「美咲っち、まだ淀っちに勝つ気だった系?」

「当たり前ですわ。いつか倒しますわ」

「淀子って……あの浅井淀子? それに勝つ為の特訓って……」

「多分アレ系でしょ。分かる分かる」

 

 優香は分かったらしい。

 

「それは」

「「それは?」」

「それは……」

 

 美咲は間をおいてから。

 

「次の話に入ってから言いますわ」

 

 メタいな。

 

 




次回予告

初「しくしく……」
美咲「何故泣いてますの!?」
初「いや、お前達にからかわれたり、蘇我高校の生徒達にボコボコにされてきた裕太を見てると可哀想でつい」
美咲「私のお供なんですから、もう少し鍛えて貰わなければ困りますわ」
初「やめろ裕太のライフはもうゼロに近いぞ」
美咲「限界突破しなければいつまで経っても弱いままですわ!」
初「お前管理職に向いてるな」
美咲「当たり前ですわ」
初「悪い意味で」
美咲「どういう意味だゴラ!」
初「久しぶりに口調が荒れたな……ってまた予告出来てねえし」

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