浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第三十五話

 

「グングニル……いい名ですの。私は仮面ライダーボマー。戦わせて貰いますわよ!」

 

 互いに名乗り終えた後、審判が開始の合図を出す。

 

「始め!」

 

 グングニルが開始と同時に動き出した。

 それも消えるように。

 

「ぐおッ……」

 

 何と火炎放射器怪人を、手持ちの槍も使わずに素手……それも左拳でダウンさせた。

 

「山内さん!」

『ACCELERATOR DRIVE』

 

 ボマーは奥の手の筈のアクセルドライブまで使用し、グングニルに相対する。

 グングニルも超加速でそれと互角にやり合う。

 どちらの動きも、俺達の眼には止まらない。

 

「コレデ、オワリ」

『GUNGNIR FINAL DRIVE』

 

 姿を現したグングニルが、魔法陣を上空へ。

 そこから無数の槍が放たれる。

 

「させませんの!」

 

 ボムビットで迎え撃つ。

 だが数本が残り、ボマーの身体を霞めた。

 

「くっ……」

 

 腕を押さえるボマー。

 

「スゴイネ」

「馬鹿にされては困りますわ……」

 

 バットを構え直す。

 さあ来いと言わんばかりに、予告ホームランの構えを取る。

 

「オモシロイ……ショウブ!」

 

 グングニルが再び超加速。

 ボマーはグングニルの動きに視線を集中する。

 

「集中……集中ですわ!」

 

 ボマーの近くで、空気が震えた。

 

「はあッ!」

 

 攻撃を見切り、ボマーは大きく吹き飛ばす。

 超加速で姿を消していたグングニルが、ごろごろとフィールドを転がる。

 

「特訓の成果ですの!」

 

 なのかな?

 反射神経を鍛える訓練をした覚えはないんだけど……。

 

「ナカナカ……ヤルネ」

 

 グングニルが立ち上がる。

 見た感じ、まだまだ余裕そうだ。

 

「デモ、ヴィーダ、マダホンキチガウ」

「良いですわよ。本気とやらを見せなさいの」

 

 ボマーがバットを構えつつ挑発する。

 

「イイヨ……」

 

 そう告げたグングニル。

 すると……その身体が五つに分裂。

 高速移動で分身を作ったのだろうか。

 

「これは……」

『GUNGNIR FINAL DRIVE』

 

 上空にグングニルの数だけ魔法陣が出現。

 先の攻撃と同じように、そこから無数の槍がボマー目掛けて射出される。

 

「流石に無理ですわ!」

 

 ボマーが呟く。

 咄嗟にボムビットを出現させ、爆発させる。

 爆発に巻き込まれたボマーが、爆風から少し離れた場所で出現した。

 突然変異体としての能力。

 

「ソレガ……ノウリョク……」

「私に攻撃を回避させるなんて、貴女中々やりますわね」

 

 ボマーの戦闘スタイルは、相手の攻撃を回避せず、全て受け止めて弾き、その上で倒す事で相手に強さを認めさせるというもの。

 実際火炎放射器怪人との戦いでは、そのやり方もあって、山内との和解に成功した。

 確かに初めてだ。

 その戦い方を決して曲げなかったボマーに、回避行動をとらせた人物は。

 

「認めますわ。今の貴女は私より強いと……でもだからこそ、私は今ここで貴女を超えてみせますわ!」

「?」

 

 グングニルは首を傾げる。

 ボマーは武器を構え直し、今度は自ら駆け出す。

 

「今度はこっちから行きますわよ!」

「ショウブ……」

「はあッ!」

 

 頭上に向かって、バットを振り下ろすボマー。

 

「オソイ……」

 

 超高速で……グングニルがその攻撃を回避する。

 

『ACCELERATOR DRIVE』

 

 そこで咄嗟に、ボマーは端末を操作した。

 

「これなら!」

 

 人間の常識を超えた速度で移動し、グングニルの脇腹に一撃を浴びせる。

 

「ウワッ!」

 

 グングニルが吹き飛ばされた。

 

「これで二撃目……ですわ」

 

 バットを構えなおし、ボマーはもう一度立ち上がるグングニルに向き直る。

 

「もう一度分身でもしてみなさいな」

「……ッ!」

 

 高速移動で分身するグングニル。

 先と同じように、ボマーへと必殺技を放つ。

 

『GUNGNIR FINAL DRIVE』

 

 ボマーは一歩も動かない。

 意識を集中させ、バットを構える。

 

「全て受け止めて弾きますわ」

 

 あの無茶な槍の弾幕に対し、そう宣言。

 槍が魔法陣から一斉射出される。

 

「はあッ!」

 

 今度のボマーは全て見切り、バットを高速で動かして受け止めた。

 意地でも回避しようとしないボマーは、気合だけであの攻撃を耐えてみせる。

 

「これで……どうですの?」

 

 ボマーは構え直す。

 どんどん来いと言わんばかりの気合を感じる。

 

「ナカナカヤルネ……ナラ、コレハドウ?」

 

 グングニルが取り出したのは、玩具の銃だ。

 

「そんな玩具の銃で、私を倒す気ですの?」

「……」

 

 構わず胸に向かって発砲するグングニル。

 ボマーは避けずに立っていたが……。

 

「あ……れ?」

 

 ボマーの胸には、実際の銃で撃たれたのと同じ穴が空き……そこから血が流れた。

 

 




次回予告

初「死亡フラグ立てたなお前」
美咲「面目ありませんの」
初「お前次回どうする気だよ」
美咲「浅井三姉妹のバカな日常の次回予告はやらせませんわよ」
初「お前が死んだらそうして良いか?」
美咲「まだ終わらせませんわよ! 出来ればあと数か月くらい続けたいですわ!」
初「ゑ? てことはお前との茶番をあと数か月分も考えなきゃいけねえのか!?」
美咲「茶番じゃなくて次回予告ですわ!」
初「お前がそう思うんならそうなんだろ。お前の中では」
美咲「とにかくまだ終わらせませんわ! 次回、美咲死す……って誰ですのこれ書いたの!」

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