浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第四十二話

 

 数分後、ヴィーダと山内……成音が病室から出てくる。

 成音とヴィーダは友達というよりかは、姉妹のように手を繋いでいた。

 

「じゃあ、あたしはヴィーダ連れて帰るから」

「頼むよ、成音」「頼みますわ、成音さん」

「き、聞いてたの?」

「いやほらだって、この小説始まって一章終わっても下の名前分かんなかったわけだから、ついな……」

「私も知りませんでしたわ」

「はあ……本当は知られたくなかったんだけどね」

 

 成音が諦め気味に嘆息する。

 

「ヴィーダ、ナリネ、トモダチ!」

 

 嬉しそうにぴょんぴょん跳ねるヴィーダ。

 

「友達……私も友達になれますの?」

「ミサキ、トモダチカナ?」

「何で疑問形ですの!?」

「イツカ、ヴィーダ、タオス!」

「わ、私も今度こそ正攻法で倒しますわよ!」

「テメエらうるせえぞここどこだと思ってんだ!」

 

 先生に怒られてしまった。

 てか……前美咲が入院した時も思ったけどここの先生口悪すぎだろ。

 

「ねえねえヴィーダっち、ウチは?」

「ユウカ、ビッチ!」

「ヴィーダっち……割と増せてる系?」

「?」

 

 ヴィーダが目を丸くして首を傾げる。

 恐らく遥が何らかの方法で、言葉とかを教えたのだろうと推測するが、だとすると……何教えてんだろう……。

 それはまあさておき。

 

「ヴィーダ、俺は?」

「ユウタ!」

 

 最初は嬉しそうに飛び跳ねていたが、少しばかり俺を見てから、何故か成音の後ろに隠れてしまう。

 

「ど、どうしたのヴィーダ」

「ヴィーダ、ユウタ、キライ……」

「ゑ!?」

 

 なんでなんで!

 

「ど、どうして?」

 

 近付こうとするが、拒否されてしまう。

 

「うーん……」

「あれですわ、裕太さんの本性がロリコンだとバレたのですわ」

「それは断じてないだろ」

 

 ヴィーダがマセテいるとしてもだ。

 

「す、好かれるように頑張るよ! 俺は怖くないからね!」

「……」

「信用されてませんの」

「酷いよぉ!」

 

※※※

 

 成音、ヴィーダ、優香と別れ、俺と美咲は帰り道を車で進む。

 

「取り敢えず、ヴィーダさんの引き取り手が見つかって良かったですわね」

「そうだな……」

「元気がありませんわね。ヴィーダさんに嫌われた事を気にしてるんですの?」

「それもある。でもそれよりは……」

 

 美咲から聞いた話によれば、怪人化した蘇我高校の生徒達は倒しても怪人化が解けなかったらしい。

 今の俺に、蘇我高校の生徒に対する情などないつもりだが、人間に戻れないのは少し可哀想だと思う自分がいる。

 

「怪人化した生徒達、どうすれば良いんだろうな……」

 

 美咲がいつものように、俺に考えを告げた。

 

「こうなった以上、戻す方法が見つかるまで戦うしかありませんわ」

「確かに、遥先生が起きるまではそうするしかないか」

「ええ」

 

 そういえば、まだ皆に対し『あのこと』を告げてないと思い、美咲にバレない程度に言ってみる。

 

「そういえば美咲」

「なんですの?」

「これからはもしかしたら、俺もお前の力になれるかも知れない。だから、もしピンチだったら俺を頼っていいぞ」

「……何の話かさっぱりですわ。どういう事か教えなさいな」

「その時まで内緒だな」

 

 もししくったら恥ずかしいし。

 

「私に隠し事とは良い度胸ですわね。取り敢えずボコボコにしますわよ」

「おい今運転ち

「変身ですわ」

「やめろッ!」

 

 取り敢えず変身だけは阻止した。

 

 




次回予告

初「うるうる……」
美咲「どうしましたの?」
初「いやあ、私は感動してるぞ。お前にまともかどうかはさておきこんなに友達が増えて」
美咲「貴女が人を褒めるなんて珍しいですわね。何かありますの?」
初「勿論。これを機に二度と私に関わるな。以上」
美咲「貴女を倒すまでは無理ですわ! 今から勝負しても良いんですのよ!」
初「ここで何の勝負するんだよ」
美咲「……」
初「五秒以内に思いつかねえと帰るぞ。五、四三二」
美咲「こうなったらやけくそですわ!」
チュドーン!
初「……私に関わるとそうなるからやめた方が良いんじゃねえか?」

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