浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第四十三話

 

 身体に重みがある。

 まるで数日間、身体をピクリとも動かさなかったかのような倦怠感。

 足利明人はそれを感じながら、見知らぬ場所で目を覚ます。

 

「ここは……?」

 

 何かの研究所……のようだ。

 自分が眠っていたのはカプセルのような狭い空間。

 そして、その周りに無数の配線……。

 いや……違う。

 

「教室?」

 

 そう、蘇我高校の科学部のような……何かの教室のようにも思える。

 だが蘇我高校ではない……はずだ。

 

「目が覚めたようだね」

 

 青い髪に赤い瞳の……白衣を纏った女性に声を掛けられる。

 

「アンタは誰だ?」

「そうだね……君の知らない誰かと答えておくよ」

 

 そう言いながら、青髪の女はソードドライバーを明人に手渡す。

 

「これは君のだろ? 返すよ」

「……」

 

 明人は何かを疑いながらも受け取る。

 

「ここに連れて来たのはアンタか?」

「そうだよ。君と、君のそのベルトを調べていたのさ。気絶している所を誘拐して悪かったとは思ってるけど、君は多分……僕が誘ってもついてこなかっただろうからさ」

 

 今のところ身体に、何かおかしな点があるというのはない。

 だが本当に調べただけなら、このまま返して貰える筈だ。

 

「どこに行く気だい?」

「俺は帰る。生徒会長が長い間席を開けるわけにはいかない。それに、俺には約束がある」

「六角美咲と戦う事か?」

「……! それも知っているのか?」

「狩野遥に関わる人物は、ほぼ全て調べさせて貰ったよ。仮面ライダーボマー……だっけか。それと戦う約束をしているんだろう?」

「ああ……」

「心配はいらない、戦えるさ。ただし……僕の配下としてね」

 

 それを聞いて、明人は女に襲い掛かろうとする。

 

「プライド故に言う事を聞く気になれない。僕と同じか……やれ」

 

 掃除用具入れのロッカーから、怪人が飛び出す。

 拳にサックを付けた、サック怪人とでも言うべきだろうか。

 

『SWORD DRIVE READY?』

 

 明人は剣の柄を取り、剣の怪人へ。

 サック怪人の拳を剣で受け止め、弾き返す。

 

「お前を、止める……」

 

 サック怪人が、今度は蹴りを繰り出す。

 それを腕で受け止め、剣で薙ぎ吹き飛ばした。

 

「ぐあッ……」

「その程度か!」

 

 残像が出来る程に加速し、サック怪人へと斬撃を叩き込む。

 

「これで終わりだ」

『FINAL DRIVE!』

 

 トップスピードまで加速し、もう一度光の速さで斬りつけようとする明人。

 しかし。

 

「……ぐっ……」

『悪いが、俺のお袋の仲間を殺そうってんなら止めるぜ……』

 

 頭の中に声が聞こえ、手足が固まる。

 まるで他人に操られているかのように、自分で制御が出来ない。

 

「誰だ……」

『お前の知らない誰かで、目の前の女の息子みたいなもん……って答えておくぜ』

 

 サック怪人が嘆息して、変身を解く。

 サック怪人の中身は、暑苦しそうな黒フードを被った男。

 

「お前が……俺の弟……」

「ふざけるな……誰がお前などと……」

『おっと、お喋りの時間は終わりだぜ?』

 

 明人の意識が閉じる。

 代わりに明人の中にある、もう一つの人格が表へ。

 

「そうだな兄貴……俺はお袋の願いを叶える為に生まれた。力になるぜ」

 

 ニヤリと笑って、変身を解く。

 

「遥……。僕は必ず君を超えてみせる。君の大切なものを手に掛けた以上、僕は君以上の存在になってみせる……」

 

 




今回は美咲が出ていない為、次回予告は無しです。
初「ネタ尽きたのか」
いいえ違います。
初「尽きたんだろ?」
……はい。
初「次までに考えとけボケ」
てか次回予告にネタもクソもない筈なんだけどな。
初「言わせてるお前が言うなよ」
それを言うなよ。

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