浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第四十五話

「へえ、新任教師……。どんな人?」

 

 俺は美咲の部屋で、彼女と話をしていた。

 煎餅をよく噛んでから飲み込むと、それを見て美咲が告げた。

 

「戸間菫先生。元科学者で、人間の進化の研究をしていた……と言ってましたわ」

「進化……それって突然変異体の事か?」

 

 突然変異体は、美咲やもしかしたら俺のように、その菫という教師の言葉を借りるなら、新たな可能性を秘めた者達。

 もしかすると、同じような研究をしていたという遥とも何らかの関係があるかも知れない。

 

「もしそうなら、少し調べてみる必要がありますわね」

「そうだな」

 

 美咲が思い出したように言う。

 

「しかし困りましたわね……。あの傷とはいえ、未だに目覚めないなんて」

「……」

 

 狩野遥の容態は、あの戦いの日以降変わっていない。

 悪化こそしていないが、逆に回復もしていないのだ。

 ヴィーダも成音と共に、あれから何度も見舞いに行っているが、それを聞いては辛い顔をするヴィーダを、成音が何とか慰めている状態。

 今のままでは、この戦いを終わらせる事は出来ない。

 

「今のままじゃ、動機が分からないんだよな……」

 

 美咲に伝えようとはしていたが、それは見事に阻まれてしまった。

 あの黒フードによって……。

 

「……!」

「どうしましたの?」

 

 俺の頭に、また一つのイメージが浮かぶ。

 暗い空の下、黒フードを被った男が、若い……高校生くらいの男を殺害する瞬間。

 

「何で……俺がこんな記憶を……」

 

 人が大怪我をする所や、殺されかける所なら、何度も見てきた。

 でも、本当に息の根を止めた場面なんて……。

 

「また何か思い出したんですの?」

「あ、ああ。でも大した事じゃない」

 

 虚勢を張って誤魔化す。

 

「今日はもう帰るよ。またな」

「ええ……」

 

 少し心配した顔で見る美咲に対して笑顔を見せ、俺は部屋をあとにする。

 

『お前は逃げられない』

 

 どこからか、そんな声が聞こえた。

 

※※※

 

 〇×女子高の空き教室。

 戸間菫が作業をしている最中、一人の生徒がそこにやってくる。

 

「あの、ちょっといいすか?」 

「君は……」

 

 菫が振り向くと、その生徒が答えた。

 

「蒲生(がもう)と言うっす。一応この学校の生徒会副会長っす。よろしくっす」

「副会長……、つまり生徒会のナンバー2だね?」

「うっす」

 

 何やら、その称号に不満げな様子。

 

「生徒会の仕事に不満でも?」

「それもあるっす。でも仕事というよりかは……」

「会長は確か、六角美咲……という名だったかな?」

「は、はいっす」

 

 菫はある程度の事情を何も聴かず察した上で、問いかける。

 

「君はその人をどう思うんだい?」

「私は……」

「ここには誰もいない。正直な気持ちを言うんだ。僕ならそれに応えてあげられる」

「私は……正直あの人にはついていけない。あの人は無茶苦茶っす。とてもリーダーなんかには向かないくらい。そう思うのに、私はあの人を超えられない。それが……」

「君の悩みか。よくわかった」

 

 菫は立ち上がり、蒲生に近付く。

 

「君は僕の話を聞いていたかな?」

「あの話……っすよね?」

「そうだ。進化に関する研究の面白さを伝える……それが僕のやりたい事さ」

「……」

「でも僕が本当にしたいのは、その先。君にその研究の協力者になって欲しい。もしなってくれれば、六角美咲を消せるかも知れない」

「いいっすよ……」

 

 菫は蒲生の返事に笑ってから、耳元で囁く。

 

「じゃあ……君も僕の仲間だ」

 

 




次回予告

初&美咲「作者(さん)、お誕生日おめでとう(ですわ)!」
美咲「ってケーキをもう食べきってますの?」
初「だって自分の誕生日の時にちゃんとケーキにありつける事なんて滅多にねえし、邪魔される前に食べとかねえと」
美咲「作者さんがここに来るまで待つのは出来ませんの……?」
初「あいつ今日こねえよ」
美咲「何故ですの?」
初「いや一応今日が誕生日だけど、これ書いてんの昨日だから、作者は今ワクワクさんの副反応で苦しんでる」
美咲「サラっと言いましたけど、何故これ書いてるんですの……」
初「確かにな。自分で自分の誕生日祝わせてる時点でもう頭が……っておい、美咲が消え始めてる!?」
美咲「貴女もですわよ」
初「おい筆を置くな! 祝ってやるから何でもするからあ!」

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