浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第五十三話

「わザわザ、先に死にニ来たノか」

 

 アーミーの一人が、グングニルに切っ先を向けた。

 

「シナナイ。ヴィーダハ、オマエタチヲタオシテナリネトカエルノ!」

「ほウ……面白イ」

 

 グングニルは消えるような速さで、移動する。

 

「ぐあッ!」

 

 次に現れた瞬間、近くにいたアーミーを吹き飛ばした。

 

「ヴィーダ……」

 

 成音はヴィーダの姿を見て、もう一度立ち上がる。

 

「……」

 

 端末を取り出して、ボタンを押す。

 

『FLAME THROWER DRIVE READY?』

 

 端末を閉じる。

 

「変身!」

 

 ベルトに装着した。

 

『COMPLETE』

 

 天から降り注いだ火柱が、成音の身体を火炎放射器怪人へと変える。

 もう一度アーミーへ相対した。

 

「はあッ!」

 

 火柱で焼き尽くし、動きを止める。

 ステップしてから距離を詰め、怯むアーミーへと拳を叩きつけた。

 

「テイッ!」

 

 グングニルも負けず劣らず、槍を回す。

 グングニルに襲い掛かるアーミーはバタバタとなぎ倒されていく。

 

「これナら……」

『FINAL DRIVE!』

 

 もう一度剣を高く掲げる。

 

「マケナイ!」

『GUNGNIR FINAL DRIVE!』

 

 上空に魔法陣を出現させ、アーミー目掛けて槍を放つ。

 

「グアッ!」

 

 大きく怪人を吹き飛ばし、気絶させる。

 

「ナリネ!」

「分かった!」

 

 グングニルが火炎放射器怪人へ呼びかけた。

 ベルトから端末を取り出して操作し、構える。

 

『FINAL DRIVE!』

 

 全身から炎を迸る火炎放射器怪人。

 そのままジェット機の要領で、残りのアーミーへと飛び出す。

 

「はああああああッ!!」

 

 火だるまと化した火炎放射器怪人が、アーミーへと激突。

 

「グアアアアッ!」

 

 爆発を起こして、アーミー達を大きく吹き飛ばして気絶させる。

 

※※※

 

 怪人達をその場で寝かせ、成音とヴィーダはその場から離れた。

 

「あれで良かったのかな」

 

 実を言うと、その場を離れるまでに少し悩んだ。

 警察に通報すべきか、それとも蘇我高校まで運ぶべきか。

 数秒くらいでどっちも危険と判断し、元に戻す方法が分かるまで戦い続けるしかないという結論に至った。

 

「次こそあたし一人でもやれるように……」

「ナリネ」

 

 頑張らないと、と呟こうとした口をヴィーダが成音の腕を掴んで止める。

 

「ヴィーダ?」

「ナリネ、ムリハメッ!」

「でも……」

 

 あの時、殺されそうになった時は凄く怖かった。

 美咲なら、あの場でも何とかして乗り切る筈だ。

 でも自分は怯えるだけで、ヴィーダに助けられてしまった。

 ヴィーダは、そんな成音の気持ちを受け止めて言う。

 

「ヴィーダ、ナリネスキ。ナリネイナクナルノヤダ。ダカラ、ムリハメッ!」

「ヴィーダ……ごめん」

 

 俯いて、ヴィーダに謝罪する。

 母親に値する人物を傷付けられ、失うかも知れなかったヴィーダには軽率な発言だった。

 申し訳ない気持ちにもなったが、同時に嬉しかった。

 こんなに自分の事を心配してくれる人は、彼女が初めてだったから。

 

「あたしはあたしのペースで強くなる。それで良いんだよね?」

 

 ヴィーダの目を見て言う。

 ヴィーダは笑顔で「ウン!」と頷く。

 

「ヴィーダ、ナリネ、トモダチ!」

 

 嬉しそうに跳ねて、成音に言うヴィーダ。

 成音も微笑んでから、

 

「あたしも、ヴィーダと友達!」

 

 そう返す。

 二人で手を繋ぎ、会話しながらマンションへと帰る。

 

 




次回予告

初「……」
成音「……」
初「よう」
成音「あ、どうもこんにちは」
……。
初「何話せばいいんだよ」
成音「知らないわよ」
初「お前に聞いてねえよ」
成音「誰に聞いたのよ」
初「作者に聞いたんだよ」
成音「ナニソレイミワカンナイ」
初「どこの西木野真〇だよ」

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