浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
その数日後。
滋賀県立〇×女子高。
滋賀の公立高校にしてはかなり、いや全国的に見てもかなり異色な、ヤンキー女やギャルが多く集う女子高。
蘇我高校程ではないが、そこそこ強者がいる。
「……」
そんな学校の三年三組に、生徒の代表たる生徒会長の姿がある。
六角美咲。
一見真面目にも見えるが、そんな事はない。
中学時代は元ヤンで、爆弾をよく作っては自分に当たって爆死していた。
ただ喧嘩は割と強い……それは今でも健在だ。
「皆からの信頼を得て、私は頂点に立ちますわよ……ソウジ」
ソウジは中学時代に付き合っていた彼氏の名前だ。
卒業を機に別れたが、今でも美咲の心の支えである。
生徒会長になったのも、彼との約束からだ。
約束を果たして、再び会う為に。
「失礼しますわよ」
美咲は生徒会室の扉を開ける。
新生徒会役員と、新副会長等が既に集まっている。
美咲は最後だった。
そもそも今日は本来……生徒会で集まる行事というものは無かった。
その証拠に顧問の姿もそこにいない。
そんな今回の議題は……。
「んじゃ……前置きは無しにして始めるっすよ。今回生徒会役員に集まって貰ったのは、この果たし状を全員で読んでもらう為っす」
軽いノリの副会長が、ブレザーの内ポケットから果たし状を取り出す。
ひと昔前の不良漫画とかでありそうなそれだ。
外の文字も中身も、筆で書かれている感じの字だ。
「私が読みますわよ」
そこにはこう書いてある。
『〇×女子高生徒会……お前達に五対五での決闘を申し込む。明後日に河川敷に来い。負けたり逃げたりすれば、学校を支配させてもらう。蘇我高校生徒』
「至ってシンプルですわね……って貴女方、何を狼狽えていますの?」
「だ……だって、こんな勝負……無理っすよ」
副会長が言う。
「はい?」
「蘇我高校……あいつらと喧嘩して無事で帰れる奴なんていない……こんなの無視して警察に……」
「させませんわよ」
美咲は止める。
「挑まれた勝負から逃げるなんて……弱い人のする事ですわよ」
「でも!」
「会長……」
近くにいた書記の一人が呟く。
まだ入って間もない一年生だ。
「この一か月間……アンタの仕事ぶりは見てたんだけどさ、自分がやれるからって下に対して強引過ぎない?」
「なんですって?」
「あたしは中学ん時会長やってたけどさ、アンタのやり方は何かと雑なんだよ。アンタに人の上に立つ資格はない」
その言葉に……美咲は拳を震わす。
「アンタらもそうだろ? 副会長も……」
「そうだそうだ」
「言う通りだ」
「皆さん……」
「もうアンタにはついてかない。一人で蘇我高校の連中とでも喧嘩して、勝手に一人で怪我でもしてなよ。さよなら」
その書記を筆頭に、美咲以外の生徒会役員が出ていく。
「……良いですわ。一人でもやれますわ、私は」
美咲は果たし状を握りしめ、一人そう呟く。