浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第六十話

 

「貴方の実力は覚えてますわ。だから最初から飛ばしていきますわよ」

『SCAN DRIVE』

 

 端末を使い、そのカードを読み取る。

 

『COMPLETE HYDRO DRIVE READY?』

 

 両腕を腰の高さまで広げ、全身に力を込めて叫ぶ。

 

「超変身ですわ!」

 

 ボマーがハイドロフォームへと変わる。

 

「……」

 

 サック怪人も拳を構えなおしてから、ボマー目掛けて勢いよく駆け出す。

 姿が見えなくなる程の加速。

 

『HYDRO ACCELERATOR DRIVE』

 

 ハイドロボマーも、サック怪人と同じく超加速。

 二人が互いに攻撃を放った所で、現れては消え、現れては消え、を繰り返す。

 再び二人が止まって構えなおした所で、サック怪人が息を切らした。

 

「もう息切れですの? なら終わらせますわ!」

『FINAL DRIVE!』

 

 ボマーのバットに、ボムビットが集まる。

 

「ハイドロインパクト!」

 

 ライダーインパクトの強化版、ハイドロインパクト。

 水色のボムビットを、サック怪人の腹に向かって叩きつける。

 

「はあッ!」

「ぐおっ!」

 

 自身すら巻き込みかねない大爆発の中から、サック怪人だけが吹き飛ばされる。

 サック怪人の変身が解け、人間体の黒フードへ。

 ボマーは……。

 

「こっちですわ」

 

 自身の能力で復活した後、変身解除。

 

「さあ、黒フードさん……正体を現しなさいな」

 

 ゆっくりと歩いて近付く美咲。

 しかし。

 

「美咲気をつけろ!」

「え?」

 

 俺が叫んだ後、黒フードが再変身して立ち上がる。

 美咲も変身しようと端末を取り出すが、妨害されてしまう。

 

「排除する……!」

 

 そして首を掴んで地面へと叩きつけ、絞める。

 

「くっ……かはっ……」

「美咲! ……ッ!」

 

 痛みと共に、俺の頭にイメージが浮かぶ。

 俺が河原で、美咲の首を絞めつけようとしていた光景。

 紛れもなく、蘇我高校との決戦前の特訓時のものだ。

 あの時俺は意識が途切れて知らなかった……だが。

 

「今はこんな事考えてる場合じゃ……!」

 

 頭を振って、自分が背負っていたバッグを開く。

 俺は美咲達に内緒にしていたそれを取り出した。

 

「……」

 

 サック怪人が、美咲の首を絞めながら俺を見る。

 俺は取り出したもの……赤紫の刀身に黒い柄の刀の形をした端末が取り付けられたベルトを装着して言う。

 

「お前に……美咲は殺させないぜ」

「裕太さん……それは……」

 

 端末を取り出して操作し、眼を閉じた。

 

『ムラマサ!』

 

 息を吸い、腹から声を出す。

 

「変身!」

『御意……出陣! ムラマサ……仮面ライダームラマサ!』

 

 上から刀の形をした光が降り注ぎ、腰の辺りで制止する。

 柄を掴んで抜刀すると実体化し、そこから身体が変化していく。

 俺の姿はそのまま、仮面ライダームラマサへ。

 

「うおおッ!」

 

 変身するや否や、手にした刀でサック怪人に斬りかかる。

 サック怪人は咄嗟に美咲の首から手を離し、拳のサックで防御。

 

「……」

 

 サック怪人が無言で弾く。

 

「けほっ……こほっ……裕太さん……」

「あとは俺に任せておけよ。美咲」

 

 俺は刀を構えて、サック怪人を睨む。

 

 




次回予告

美咲「ついに裕太さんも仮面ライダーに……」
初「第二章になってやっとか」
美咲「加賀美さんだって副主人公ですが、ガタックになるのは遅かったですわよ」
初「な、なるほど? てか変身前と変身後で性格ちょっと違くないか?」
美咲「言われてみればそんな気がしなくもないですわね。バグスターにでも乗っ取られてるんですかね?」
初「よく分からねえけど、吹〇とア〇ヤみたいな感じか?」
美咲「それだと私が分かりませんわ……」 

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