浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第六十二話

 黒フードは人気のない路地に隠れてから、菫に連絡する。

 

「……俺だ」

『どうした? 息が荒いぞ』

「すまない、任務を失敗した」

『そうか』

 

 荒い息を吐く黒フード。

 

『君ならあの二人を倒せると思ったんだけど、少し期待外れだったね』

「……すまない」

 

 静かに黒フードはこう返す。

 

『君は僕に尽くす為に生まれた。僕の命令すらまともにこなせないようなら、君に存在価値がない事は分かってるよね?』

「……」

 

 黒フードは唾を飲み込む。

 

『でも安心したまえ。僕も君をすぐ殺したりはしないさ。君は僕の大事な作品だ。期待に応えてくれるなら、僕も君を見捨てたりしない』

「ああ」

 

 黒フードは少し落ち込んだ声で返事する。

 

『流石に一人で二人を相手させるのは荷が重かっただろうし、あの二人と合流したまえ』

「明人や蒲生とか?」

『ああ。それなら君でも、二人を倒せる筈だ』

 

※※※

 

 命令通り蘇我高校へ向かう。

 怪人達が守護する廊下を歩き、二人がいる場所までたどり着く。

 

「ここか」

 

 校長室の扉を開ける。

 

「また誰か来たんすか?」

「よう兄貴、来たのか」

 

 不満そうな蒲生と、歓迎する明人。

 黒フードは目深にフードを被り続けたまま、黙って入室。

 

「そのフード取れないんすか? 礼儀とかないんすか?」

 

 黒フードの態度にイラついている蒲生が、黒フードに指摘する。

 

「……お前にそれを命令する権限などない筈だ」

「ムカつくっすね。その態度」

「……」

 

 黒フードは蒲生に背を向ける。

 背を向けたまま言う。

 

「お前達二人の力を借りに来た。菫からの命令だ」

「……はあ?」

「ここの生徒達では、もうライダー達に太刀打ち出来ん。六角美咲や福沢裕太と戦ったが、二人とも俺を倒した」

「福沢裕太? 何のことだよ兄貴」

「あいつも仮面ライダーに変身した。それも一切の強化なしで、俺を圧倒した」

 

 黒フードはまだ傷になっている部分を押さえる。

 それを見た明人が言う。

 

「兄貴が弱いだけで、福沢裕太の方が強いだけなんじゃない?」

「……」

 

 弟の言葉に、黒フードは少し目を細める。

 

「俺さ、お袋から聞いたんだけど……兄貴って出来損ないなんだろ?」

「それは……」

「人工突然変異体として作られたけど、完璧に力も使いこなせない半端者。それが兄貴の正体だって聞いた」

 

 自然に生まれてくる突然変異体は、基本的に自分の能力に自覚がなくとも、制限なしで力を使用する事が出来る。

 黒フードはそんな突然変異体を人工的に生み出す研究で作られた一号機。

 突然変異体のDNAを元に生み出されたが、結果的に失敗作として生み出されてしまった。

 結果、力を自分の意思で使用出来ていない。

 

「しかもその上福沢裕太なんかに負けるなんてさ。兄貴、こいつはともかく、俺はアンタと組みたくねえよ」

「俺も別にお前と組みたいわけじゃない。菫に頼まれて仕方なくだ」

 

 黒フードが鋭い目で、明人を睨みつける。

 

「そこまで言うなら頼まん。俺は一人でも戦う」

 

 外へ向かおうとする黒フード。

 

「へえ、出来んの?」

「……」

 

 明人の挑発を無視し、黒フードは校長室をあとにする。

 

※※※

 

 出てすぐに黒フードはサックドライバーを装着する。

 

『SMASH DRIVE READY?』

「変身」

 

 サック怪人へと変わる黒フード。

 その時。

 

「……ッ!」

 

 一つの光景が見えた。

 体育館のような場所で、誰かと二人で外の廊下を歩く二人の女性を見ていた。

 片方は狩野遥、もう片方は戸間菫。

 

「俺は菫さんがいれば頑張れる。そんな気がするんだ」

 

 近くに立つ男が放ったその声と共に、光景はそこで消える。

 

「これは……」

 

 誰かの記憶だろうか。

 しかし……誰のものなのか分からない。

 自分の記憶でない事は確かだ。

 

「今は気にしている場合ではない」

 

 今は菫の為にも、戦って勝つ事だけをイメージするべきだ。

 自分にそう言い聞かせ、サック怪人は歩き出す。

 

 




次回予告は……ない。
初「まあ美咲いねえし許そう」
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