浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第六十六話

「兄貴よぉ……何で殺すべき相手と仲良く飯なんて食ってんだ?」

「それは……」

「私が無理矢理連れて来た」

「お嬢ちゃんには聞いてねえ。俺は兄貴と話をしてんだよ」

 

 黒いボマーに軽くあしらわれる美咲。

 

「兄貴、俺達はお袋の命令通り動けばいい。兄貴の意思なんて、お袋にとっちゃどうでも良いもんなんだ」

「……」

「俺達はお袋に作られたんだよ。だからそれ以上になる事は出来ない」

「……ッ」

「お袋の意思だけあれば良いんだ。ましてや人を殺したアンタに、自分の意思で生きる事が許されているとでも?」

 

 黒フードは黙って俯く。

 

「まあでも……そんな兄貴の苦しみもそろそろ終わりだ。俺が完成すれば、蒲生も明人の中のあいつも、アンタも廃棄だ」

「俺が……廃棄」

 

 黒フードは手を震わせている。

 美咲は拳を握って、黒いボマーに言う。

 

「蒲生さんに明人さんの中の奴? 貴方達、二人に何をしたんですの!?」

 

 美咲の怒りに対し、黒いボマーが笑う。

 両腕を広げて、挑発するように。

 

「俺が教えずともすぐ分かる事だし、それに俺が完成すれば二人とも消されるんだ。無駄な事を俺にさせるなよ」

「貴方の態度ムカつきますわね。ちょっとボコボコにさせてくださいな!」

「やめろ美咲、お前の敵う相手じゃない」

「私がやると言ったらやりますの。勝てるか勝てないかじゃありませんわ。私の仲間とライバルに手を出した罪は重いですわ」

 

 ボマードライバーを装着し、端末を取り出す。

 

「アンタも来いよ兄貴。どうせボマー一人じゃ俺に勝てない」

「……」

 

 黒フードもドライバーを装着。

 

「「変身(ですわ)!」」

『『COMPLETE』』

 

 美咲は仮面ライダーボマーへ、黒フードはサック怪人へと変身する。

 

「表に出なさいな」

「そうしよう」

 

※※※

 

 ボマー達は外へ。

 

「はあ、兄貴を脅すのが目的だったのに……まさか兄貴と戦う羽目になるとはなあ」

 

 サック怪人に指さす黒いボマー。

 

「貴方が戦う必要はありませんの。こいつは私の仲間とライバルを侮辱した……それだけで私が戦う理由は十分ですわ」

「言うねえ……なら望み通り一対一にしてやるよ」

 

 黒いボマーがその場から消え、ボマーの背後へ。

 

「ぐあッ!」

 

 サック怪人の腹に向かって拳を叩き込み、変身を解除させた。

 

「なんですって……」

「見えなかっただろ? これが俺の実力さ」

「けほっ……」

「アンタも思い知っただろ? 未完成の時点で、俺はアンタより上。つまりもうアンタは必要ないのさ」

 

 黒いボマーが黒フードを蹴り飛ばす。

 

「この……ッ!」

 

 ボマーはボムビットを飛ばす。

 

「へえ、ボムビットか。俺もそれ出来るって事忘れてない?」

 

 ボマーのボムビットよりも多い、十二本のボムビットがボマーのものを相殺。

 そして残りがボマーを襲う。

 

「きゃあッ!」

 

 ボマーは死亡し、美咲として復元。

 

「羨ましいねえ。俺にもその能力があれば、もっと派手にやるんだけどな……」

「な、なんて強さですの……」

「さてさて、もう少し遊びたい所だが……これ以上は命令違反になっちまう。悪いが帰らせてもらう」

「ま、待ちなさいの……」

「兄貴。せいぜい残り少ない人生を楽しむんだな」

 

 ボムビットを美咲達の方にばら撒き、爆風に紛れて黒いボマーは消えていく。

 

「……」

 

 美咲は黒いボマーが去っていった爆風の奥を見据えていた。

 

 




次回予告

初「黒いボマーの見た目の描写少ねえけど、どんななんだ?」
美咲「体は女性っぽいのに、声質は男でしたわ」
初「いやどういう状態なんだよ」
美咲「私に聞かれても分かりませんわよ……」
初「まあ、変身者の見た目が出て来ねえと分かんねえか」

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