浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「兄貴よぉ……何で殺すべき相手と仲良く飯なんて食ってんだ?」
「それは……」
「私が無理矢理連れて来た」
「お嬢ちゃんには聞いてねえ。俺は兄貴と話をしてんだよ」
黒いボマーに軽くあしらわれる美咲。
「兄貴、俺達はお袋の命令通り動けばいい。兄貴の意思なんて、お袋にとっちゃどうでも良いもんなんだ」
「……」
「俺達はお袋に作られたんだよ。だからそれ以上になる事は出来ない」
「……ッ」
「お袋の意思だけあれば良いんだ。ましてや人を殺したアンタに、自分の意思で生きる事が許されているとでも?」
黒フードは黙って俯く。
「まあでも……そんな兄貴の苦しみもそろそろ終わりだ。俺が完成すれば、蒲生も明人の中のあいつも、アンタも廃棄だ」
「俺が……廃棄」
黒フードは手を震わせている。
美咲は拳を握って、黒いボマーに言う。
「蒲生さんに明人さんの中の奴? 貴方達、二人に何をしたんですの!?」
美咲の怒りに対し、黒いボマーが笑う。
両腕を広げて、挑発するように。
「俺が教えずともすぐ分かる事だし、それに俺が完成すれば二人とも消されるんだ。無駄な事を俺にさせるなよ」
「貴方の態度ムカつきますわね。ちょっとボコボコにさせてくださいな!」
「やめろ美咲、お前の敵う相手じゃない」
「私がやると言ったらやりますの。勝てるか勝てないかじゃありませんわ。私の仲間とライバルに手を出した罪は重いですわ」
ボマードライバーを装着し、端末を取り出す。
「アンタも来いよ兄貴。どうせボマー一人じゃ俺に勝てない」
「……」
黒フードもドライバーを装着。
「「変身(ですわ)!」」
『『COMPLETE』』
美咲は仮面ライダーボマーへ、黒フードはサック怪人へと変身する。
「表に出なさいな」
「そうしよう」
※※※
ボマー達は外へ。
「はあ、兄貴を脅すのが目的だったのに……まさか兄貴と戦う羽目になるとはなあ」
サック怪人に指さす黒いボマー。
「貴方が戦う必要はありませんの。こいつは私の仲間とライバルを侮辱した……それだけで私が戦う理由は十分ですわ」
「言うねえ……なら望み通り一対一にしてやるよ」
黒いボマーがその場から消え、ボマーの背後へ。
「ぐあッ!」
サック怪人の腹に向かって拳を叩き込み、変身を解除させた。
「なんですって……」
「見えなかっただろ? これが俺の実力さ」
「けほっ……」
「アンタも思い知っただろ? 未完成の時点で、俺はアンタより上。つまりもうアンタは必要ないのさ」
黒いボマーが黒フードを蹴り飛ばす。
「この……ッ!」
ボマーはボムビットを飛ばす。
「へえ、ボムビットか。俺もそれ出来るって事忘れてない?」
ボマーのボムビットよりも多い、十二本のボムビットがボマーのものを相殺。
そして残りがボマーを襲う。
「きゃあッ!」
ボマーは死亡し、美咲として復元。
「羨ましいねえ。俺にもその能力があれば、もっと派手にやるんだけどな……」
「な、なんて強さですの……」
「さてさて、もう少し遊びたい所だが……これ以上は命令違反になっちまう。悪いが帰らせてもらう」
「ま、待ちなさいの……」
「兄貴。せいぜい残り少ない人生を楽しむんだな」
ボムビットを美咲達の方にばら撒き、爆風に紛れて黒いボマーは消えていく。
「……」
美咲は黒いボマーが去っていった爆風の奥を見据えていた。
次回予告
初「黒いボマーの見た目の描写少ねえけど、どんななんだ?」
美咲「体は女性っぽいのに、声質は男でしたわ」
初「いやどういう状態なんだよ」
美咲「私に聞かれても分かりませんわよ……」
初「まあ、変身者の見た目が出て来ねえと分かんねえか」