浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

78 / 311
第七十七話

 

「くっ……ああッ……」

『六角美咲! こいつは俺が止める……今のうちに仕留めろ!』

 

 剣の怪人は明人の制止に抗おうとする。

 

「明人さん……! 分かりました!」

「くそ……動け! 動け!」

 

 端末を取り出し、操作し取り付ける。

 

「明人さん、今終わらせます!」

『FINAL DRIVE!』

「ライダータイフーン!」

 

 ボマーは脚にボムビットを纏いながら駆け出す。

 

「とりゃあああッ!!」

 

 剣の怪人の頭に向かって、全力の回し蹴りを放つ。

 怪人は爆風で大きく吹き飛び、強制的に変身が解ける。

 

「うわあッ!」

 

 明人の姿に戻る怪人。

 ボマーは蘇生するや否や変身を解いて近付く。

 

「明人さん!」

『六角美咲……』

 

 何とかあの人格に抗いながら呟く明人。

 

「大丈夫ですの!?」

 

 傷だらけの明人の身体に触れながら、美咲は問いかける。

 

「まさか、敵である筈の俺を助ける為に戦ってくれるとはな……」

「当たり前ですわ。私の戦うべき相手が苦しんでいる時に助けるなんて」

「だが、非常にお前らしい」

 

 明人は笑う。

 

「六角美咲」

「……はい」

「悪かったな、あの時はお前との決着をつけられなくて」

「良いんですの。私はこうしてまた話せて、安心しましたわ」

「そうか……くっ……」

 

 頭を押さえる明人。

 

「どうやら、これまでみたいだ」

「明人さん!」

「こいつをどうにかして、全てが終われば、またお前と戦う。約束だ」

 

 震える小指をこちらに向ける。

 

「分かりましたわ」

 

 美咲は喜んで小指を差し出してそれに応じる。

 

『感動の再会はそこまでにしてもらおうか』

 

 明人の人格が入れ替わった。

 

「悪いが、今回は退かせてもらうぜ」

 

 気絶している蒲生を回収し、そのまま行こうとする。

 

「蒲生さんを返しなさいな!」

 

 美咲はそう叫ぶが、明人に笑みを浮かべられ。

 

「無駄だ。こいつの洗脳は深い。今返した所で、お前を襲うのがオチだ」

「……ッ!」

「今回お前が勝てたのはラッキーだという事を忘れんなよ。それじゃあ」

 

 そう言い残し、明人は窓ガラスを割ってどこかへ去っていく。

 

「……絶対諦めませんわ」

 

 蒲生の事も、明人の事も。

 絶対に二人を取り戻す。

 

『~♪』

 

 スマホから着信音が鳴る。

 

「成音さんですわね」

 

 美咲はボタンを押し、通話に出る。

 

「もしもし」

『会長、こっちは何とか蘇我高校にいた怪人と病院に来た奴らにワクチンを打ち終わって、元に戻せたんだけど、そっちはどう?』

「倒せはしましたが、逃げられてしまいましたわ。敵が何者かも分からず終いで」

『そう……そういえば、裕太はそっちにいないの?』

「私が逃がしたのですが、そこにもいないんですの?」

『うん。ここにはいないわ』

「そうですの。帰る途中に探してみますわ」

『お願いね』

「はい」

 

 終了ボタンを押す。

 

「裕太さんもしかして迷子に……」

「俺ならここにいるぞ」

「うわあッ!」

 

 美咲の背後に、何食わぬ顔で裕太が立っていた。

 

 




次回予告

美咲「最後の裕太さんは心臓に悪いですわ……」
初「お前も大抵相手の心臓に負荷かけるような行為やるだろ。まあ爆弾外すから結局殺せねえけど」
美咲「うるさいですわ」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。