浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第八十一話

 

 丁度良いタイミングで、二号は科学部の部室からドライバーを盗んで逃げようとしていた福沢裕太……一号に遭遇した。

 

「お前は……」

「よう、久しぶりだな福沢裕太」

 

 一号が鋭い目で二号を睨む。

 

「丁度お前を探してた」

 

 笑みを浮かべながら、二号はサックドライバーを装着する。

 

「悪いけど俺はお前に構ってる暇はないんだ」

「へえ……そうか。でも悪いけど、そんなの聞いてないから」

『SMASH DRIVE READY?』

「変身」

『COMPLETE』

 

 二号はサック怪人へと姿を変える。

 

「ならこいつで……」

 

 一号がベルトを装着。

 

「俺とやるってのか……良いけど、暇つぶしくらいにはなってくれよ」

『ムラマサ!』

 

 刀型の端末を取り出し、ボタンを押す。

 端末を閉じてから、ポーズを決める。

 

「変身!」

『失敗!』

「え……うわっ!」

 

 ベルトが一号の身体から弾けるように外れる。

 

「はあ……暇つぶしどころか、ベルトすら満足に使えないのか」

「くそ……」

「はあ、つまんね」

 

 サック怪人は一号の背後に移動し、肘を一号のうなじに当てた。

 

「うっ……」

 

 一号が気絶し、うつ伏せに倒れる。

 

「それじゃあ、仕事開始」

 

 サック怪人は変身を解いてから、右手を一号に向ける。

 自身に秘められた突然変異体としての能力を使う。

 

「福沢裕太の脳波は頂いたぜ」

 

 福沢裕太の脳波を自分の脳内に取り込んでから、二号は自分の着ていた黒フードを脱いで、一号の身体に着せる。

 

「代わりにこいつでもやるか」

 

 ムラマサドライバーを奪ってから、サックドライバーを代わりに渡す。

 

「んじゃ、残り少ない人生を楽しんでくれよ。兄貴」

 

 二号は倒れている一号を見下ろして、そこから去る。

 

※※※

 

「これが、俺が入れ替わった経緯さ。納得したか?」

 

 美咲と、何よりこの事を覚えていない福沢裕太自身に言う二号。

 

『おい……ちょっと待てよ。それなら俺は何なんだ、まるで自分の身体が無いみたいじゃないか!』

「よく気付いたな福沢裕太。その通りだ」

 

 交互に人格を入れ替えながら喋る二号。

 

『え……』

「六角美咲、一号兄さんが殺したのは狩野遥の幼馴染だけじゃない。福沢裕太も……だ」

『どういう事だよ、俺が死んだってどういう……』

「言葉通りの意味だ。一号兄さんがお前を殺し、その死体から脳波を抽出し奪った。その奪った人格が、お前だ」

『……そんな』

 

 青い顔をする福沢裕太。

 絶望に満ちた表情だ。

 二号の人格に変わった途端、笑みを浮かべてから言う。

 

「これでどんな馬鹿でも状況くらいは飲み込めただろ。明かさずに殺すつもりだったが仕方ないな」

 

 二号はムラマサドライバーを装着。

 

「それにちまちま殺すより、派手な喧嘩の方が俺の性にも合うし、むしろバレて俺的にはラッキーだ」

『ムラマサ!』

「変身」

『御意! 出陣! 仮面ライダームラマサ!』

 

 二号は仮面ライダームラマサへ。

 

「そううまくはやらせませんわ」

 

 美咲や成音もベルトを取り出し、戦おうとするが。

 

「ヴィーダガタタカウ!」

「ヴィーダ……」「ヴィーダさん」

「フタリハテヲダサナイデ。アイツ……ママキズツケタヤツ……ヴィーダ、タオス!」

 

 ヴィーダが瞳孔を開きながら、グングニルドライバーを装着。

 

『GUNGNIR ON』

「ヘンシン!」

『CHANGE』

「少しは楽しませてくれよ?」

 

 グングニルとムラマサが、互いに構える。

 

 


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