浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
丁度良いタイミングで、二号は科学部の部室からドライバーを盗んで逃げようとしていた福沢裕太……一号に遭遇した。
「お前は……」
「よう、久しぶりだな福沢裕太」
一号が鋭い目で二号を睨む。
「丁度お前を探してた」
笑みを浮かべながら、二号はサックドライバーを装着する。
「悪いけど俺はお前に構ってる暇はないんだ」
「へえ……そうか。でも悪いけど、そんなの聞いてないから」
『SMASH DRIVE READY?』
「変身」
『COMPLETE』
二号はサック怪人へと姿を変える。
「ならこいつで……」
一号がベルトを装着。
「俺とやるってのか……良いけど、暇つぶしくらいにはなってくれよ」
『ムラマサ!』
刀型の端末を取り出し、ボタンを押す。
端末を閉じてから、ポーズを決める。
「変身!」
『失敗!』
「え……うわっ!」
ベルトが一号の身体から弾けるように外れる。
「はあ……暇つぶしどころか、ベルトすら満足に使えないのか」
「くそ……」
「はあ、つまんね」
サック怪人は一号の背後に移動し、肘を一号のうなじに当てた。
「うっ……」
一号が気絶し、うつ伏せに倒れる。
「それじゃあ、仕事開始」
サック怪人は変身を解いてから、右手を一号に向ける。
自身に秘められた突然変異体としての能力を使う。
「福沢裕太の脳波は頂いたぜ」
福沢裕太の脳波を自分の脳内に取り込んでから、二号は自分の着ていた黒フードを脱いで、一号の身体に着せる。
「代わりにこいつでもやるか」
ムラマサドライバーを奪ってから、サックドライバーを代わりに渡す。
「んじゃ、残り少ない人生を楽しんでくれよ。兄貴」
二号は倒れている一号を見下ろして、そこから去る。
※※※
「これが、俺が入れ替わった経緯さ。納得したか?」
美咲と、何よりこの事を覚えていない福沢裕太自身に言う二号。
『おい……ちょっと待てよ。それなら俺は何なんだ、まるで自分の身体が無いみたいじゃないか!』
「よく気付いたな福沢裕太。その通りだ」
交互に人格を入れ替えながら喋る二号。
『え……』
「六角美咲、一号兄さんが殺したのは狩野遥の幼馴染だけじゃない。福沢裕太も……だ」
『どういう事だよ、俺が死んだってどういう……』
「言葉通りの意味だ。一号兄さんがお前を殺し、その死体から脳波を抽出し奪った。その奪った人格が、お前だ」
『……そんな』
青い顔をする福沢裕太。
絶望に満ちた表情だ。
二号の人格に変わった途端、笑みを浮かべてから言う。
「これでどんな馬鹿でも状況くらいは飲み込めただろ。明かさずに殺すつもりだったが仕方ないな」
二号はムラマサドライバーを装着。
「それにちまちま殺すより、派手な喧嘩の方が俺の性にも合うし、むしろバレて俺的にはラッキーだ」
『ムラマサ!』
「変身」
『御意! 出陣! 仮面ライダームラマサ!』
二号は仮面ライダームラマサへ。
「そううまくはやらせませんわ」
美咲や成音もベルトを取り出し、戦おうとするが。
「ヴィーダガタタカウ!」
「ヴィーダ……」「ヴィーダさん」
「フタリハテヲダサナイデ。アイツ……ママキズツケタヤツ……ヴィーダ、タオス!」
ヴィーダが瞳孔を開きながら、グングニルドライバーを装着。
『GUNGNIR ON』
「ヘンシン!」
『CHANGE』
「少しは楽しませてくれよ?」
グングニルとムラマサが、互いに構える。