浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第八十五話

 戦いの後、成音は美咲と別れてヴィーダと共に遥の病室へと向かった。

 どうしても、二号を倒せずに逃がしてしまった事を謝りたい。

 そう告げて走っていくヴィーダを、何とか追いかける。

 

「会長は大丈夫かしら……」

 

 美咲は病院まで一号を運んで行った。

 優香もついていこうとしたが、美咲から一人にして欲しいと言われ、誰もついていかなかった。

 恐らくこの病院のどこかの病室で、彼が美咲の近くで眠っていると思われるが、一号は敵側の人間。

 油断は出来ない。

 

「ナリネ、ハイロ」

 

 あくまで静かに、ヴィーダが病室の扉を開ける。

 遥は扉が開くまで、何かの写真を見ていたようだ。

 それに気付いた遥がヴィーダだと気付いた瞬間に、申し訳ない顔になった。

 

「……」

「ママ……」

 

 成音はそれを静かに見守っていた。

 

「どうした? お前がここに来る必要はない筈だ」

 

 遥は敢えて突き放すような態度で、ヴィーダの目を見ずに言う。

 

「アルヨ」

 

 それでもヴィーダはくじけずに、そう告げる。

 

「ヴィーダ、ママヲキズツケタヤツタオセナカッタ……。ソレ、ヴィーダガマダヨワイカラ」

「……」

「ママゴメンネ……ヴィーダ、ママノヤクニタチタイノニ……」

 

 遥は息を吐いてから言う。

 

「お前がそうする必要はない」

「ナンデ?」

「お前は私の道具だった。けど、今はもう私の為に働く必要がなくなった。今のお前は自分の命さえ守れればそれでいい。わざわざ私の為に戦わなくても良いんだ。私なんかにも関わらず、そこの少女と家族のように暮らせばいい」

 

 罪悪感に満ちた表情で、尚も突き放し続ける。

 

「イヤダヨ」

「……」

「タシカニナリネスキ、コレカラモイッショニイタイ。ケドソレトオナジクライ、ヴィーダハママガスキ」

「……」

「ヴィーダ、コレカラモマママモル。ダッテママハ、ヴィーダノママダカラ」

「私は母親じゃない!」

 

 大きな声で、ヴィーダにそう告げる。

 

「お前はただ、私の卵細胞から生みだされただけの……人形だ。私の復讐心を満たす為の道具だったんだよ。だからお前にわざわざ危険な戦いを強いた! そんな私が、お前の母親になれると思うか?」

 

 そう言って涙を流す。

 ヴィーダも言葉を失う。

 

「なれるわよ」

 

 そんな時に、成音がそう口にする。

 

「……」

「ナリネ……」

「遥さんがそうやって拒絶するのは、それを申し訳なく思うからでしょ? 本当は自分が生み出したヴィーダの事を、娘のように思いたい。そうなんじゃないの?」

「違う……。復讐の為だ……そうでなければ、生み出したりはしない……」

 

 遥が扉が開くまで見ていた写真を、もう一度見て呟く。

 

「コノヒト……ママノダイジナヒト……。ママ、コノヒトノタメ二、ヴィーダウミダシタ?」

「……そうだ。だから」

「ジャアコノヒトハ、ヴィーダノパパダネ」

 

 ヴィーダがそう言う。

 

「ナラ、ナオサラママノタメニタタカウノアキラメラレナイ。パパノタメニウマレタナラ、ヴィーダハソノタメ二タタカイタイ。ダッテ、ヴィーダ、カゾクヤトモダチガダイジダカラ」

「ヴィーダ……」

 

 遥が初めて、ヴィーダに目を向ける。

 そしてくしゃくしゃの顔で、ヴィーダの頭を撫でた。

 

「ママノテ、アッタカイ」

「そうか……私は欲しかったんだな。あいつとの家族が……」

 

 自分の気持ちを吐露する遥。

 成音もその光景を見て、笑みを浮かべる。

 

「よかった」

 

  

 




初「もうちょっとだけ続くんじゃ」
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