浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第八話

 数時間後。

 蘇我高校科学部部室。

 

「六角美咲……それがボマードライバーを使えた突然変異体の名前か」

 

 遥がアーミードライバーを、科学部部長兼副生徒会長の女子生徒から回収しつつ呟く。

 

「はい。そして恐らくですが、先生が探している例の突然変異体に特徴が近いかも知れないです」

「それは何故だ?」

「量産型とは言え、変身せずとも……アーミー五体の攻撃に気絶せず耐えていたそうです。ボマードライバーだけの力とは思えません」

「確かにそうだな」

 

 異常なまでの打たれ強さは、突然変異体全てに共通する特徴だ。

 だが……ボマードライバーの使用でそこまでの力を出せるなら、遥の幼馴染を殺害した犯人に当てはまるかも知れない。

 

「良いだろう。一旦その六角美咲をターゲットに戦う事にする。今作成中のベルトを完成させるぞ」

「はい」

 

※※※

 

 あの騒動の後、取り敢えず俺は一年達を適当な場所で寝かせ、美咲の頼みでファミレスに来ていた。

 腹減ったから飯奢れ……シンプルにそう頼まれて。

 

「美味しいですわ」

 

 目の前でハンバーグを美味しそうに食べる美咲。

 こういう所は、普通の女の子って感じだ。

 あそこの生徒達に、そんな可愛げは一切ないしな。

 

「……あ、そういえば明日からどうするつもりですの?」

「え?」

 

 なんかちょっと心配されている。

 どういう意味なんだろうか。

 

「だって貴方、相手方が許可したとは言え、もう私に味方したわけですから、蘇我高校にいるのはキツいんじゃありませんの?」

「……」

 

 確かにな。

 

「それにもし蘇我高校全体があの空気なら、貴方自身の身も危険ですし、もうまともに働かずに辞めた方が良いですわよ」

「そうだよね……丁度ストレスで胃もやられてたし……辞めるしか……いや待てよ。そんな事したら……」

「無職になりますわね」

 

 ノーッ!!

 

「ど、どうすんだよ俺……なんであんな事を……」

 

 女の子を助けた挙句、無職になるか死ぬかしか選べないなんて……。

 

「男が女に泣きつくんじゃないですわよ……みっともない……」

「いや……だって俺の人生クソ過ぎて泣けてくる……」

「はあ……。まあ私も一応貴方の行動に助けてもらったわけですし、何かしない事もありませんわよ」

 

 美咲はスマホを取り出す。

 

「どうする気?」

「うちの父が玩具屋で働いてますの。親に頼んで採用させて貰えないか聞いてみますわ」

「え、え?」

「あ、もしもし……」

 

 美咲は父親に頼む。

 通話終了後、スマホをしまい。

 

「取り敢えず面接代わりに家に来い、だそうですわよ」

「あ、うん……ゑ?」

 

※※※

 

 まずい事になってしまった。

 父親に面接目的で会うとは言え、女の子の家に上がらないといけない。

 学生時代、教師になる為に真面目に勉強していて、全然女の子と関われなかった俺にはキツい話だ。

 

「うう……お腹が」

「いちいち緊張してお腹を痛める癖……何とかしなさいの。これからは貴方に私のお供をしてもらうわけですから」

 

 お供……?

 

「いやお供になった覚えないけど」

「私がなれと言ったんですからなるんですの」

 

 なんて強引な。

 

「着きましたわよ」

 

 表札に六角と書かれた、そこそこ裕福そうな家が一軒。

 ついに彼女の家に到着してしまった。

 

「アア……オワッタ……」

「何オタオタしてますの? ビシッと入りなさい」

「は、はい……お邪魔します……」

 

 俺は覚悟を決めてドアを開ける。

 その先では、父親らしき男の人が腕を組んで立っていた。

 

「おう、いらっしゃい」

 

 あれ……?

 

「どうした? 具合でも悪いのか?」

「あ……いえ違います」

 

 何で倉〇てつをがここにいるんだ……?

 

「違いますわ。私の父親の光太郎ですわ」

「旧姓南光た

「ごめんそれ以上は危険な臭いするから言わなくて良いですよ……」

 

 


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