浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「はい号令」
「創立、灰、オリゴ糖ございました~」
「ったくこいつらは……」
一号が仲間になった次の日。
取り敢えず仲間全員にその事を伝えてから、菫の所に行こうとしていたのだが。
――まずい事になりましたわね。
そう心で呟きながら、昨日の会話を思い出す。
※※※
一号が仲間になって束の間、美咲は彼に忠告を受けた。
「すまんが美咲、この事は他の者達には伝えないようにした方が良い」
「どうしてですの?」
「当然だ。俺をきちんと理解しているのはお前だけだ。恐らく俺の言った事など、誰も信用しない。遥は特にな」
「……」
「それに菫が実験体を使って遥やヴィーダ、そしてお前や俺を排除しようとしていたのは、自分がやっている事を誰にも知られない為だ。正体を知った時点で、彼女は恐らく容赦なくお前を消す。それでも本当に仲間に伝えるのか?」
「流石にそこまでのリスクに、皆さんを巻き込むわけにはいきませんわね……」
「勿論美咲、お前だってそうだ。お前が狙われたのは、お前にその力があると認められた故だ。恐らく真実を知らなかった、という事にしておけば逃げられる。そのベルトと引き換えにはなるが、お前は平穏な日々を取り戻せるかも知れない」
「……! それだけはダメですわ! 例え危険な戦いでも、私はどんな手を使っても生きて帰りますわ!」
美咲の言葉に、一号は安心した顔を見せる。
「すまない……。本当にこの危険にお前を巻き込んで良いのか、もう一度確認していたのだ」
「今更この戦いから退けませんわ。私の仲間やライバル、それに大事なお供にまで手を出していた菫先生を、これ以上野放しには出来ませんもの」
※※※
という会話を、就寝前に二人で交わした。
故に遥やヴィーダは愚か、成音や優香もこの事実を知らない。
「取り敢えず、まずは菫先生を探さないとですわ」
「美咲っち!」
「うわあっ!」
急に優香に声を掛けられる。
「一緒に帰る系?」
「す、すみませんが今日は先生に用がありますの」
「誰先生系?」
「それは言えませんわ」
「ふーん、じゃあ何を聞く系?」
「もっと言えませんわ」
「ほうほう……あ、分かった系」
――あれ、もしかしてバレ……。
「逆ナンの達人の三組担任に、ナンパの仕方聞く系?」
「ズコーッ!」
昭和みたいなノリで倒れる美咲。
「それならウチの遊び相手紹介する系」
「だから違いますの! 進路の話ですわ進路」
「でも優香っち未だに学年二位系じゃん?」
「うっ、そうですわね……」
学年一位を取れていない美咲では、今のところ推薦枠を貰えない。
「就職でもする系?」
「私が一般企業に収まる器だと思いますの?」
「おー、もしかして政治家にでもなる系?」
「私は総理大臣でも足りないくらいですわ」
「大きく出た系じゃん」
「とにかく、私は総理大臣より上に立つ為にどうすべきか進路相談に行きますから、先に成音さんと帰ってなさいな」
「おっ系!」
「今のはOKのKと系を掛けたギャグですの?」
「ギャグ説明したら面白くない系……」
「大丈夫ですわ。滑ってましたわ」
「大丈夫じゃない系!」
「とにかく行きますわ」
※※※
取り敢えず優香を撒き、職員室へ。
「失礼しますわ」
「なんだ六角。書類の提出期限なら延ばさないぞ」
「ほっといてくださいな」
生徒会の顧問をあしらう。
「菫先生はおりませんの?」
「戸間先生なら、多分四階の奥の部屋じゃないか? あの空き教室で何かしてるみたいだけど、不気味で近付く気が失せるんだよな」
「分かりましたわ」
職員室を出る美咲。
言われた通り三階の奥の教室へと向かい、中を確認する。
「明人さん……」
明人が眠らされている。
裕太――二号や蒲生の姿はない。
それに肝心の菫の姿も。
「いつか助けますわ」
「誰を助けるって?」
「……!」
美咲は振り返る。
そこには、白衣を纏う戸間菫の姿があった。
次回予告
初「優香の奴、ついにダジャレまで言い始めたな」
美咲「滑ってましたけどね」