浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
美咲はその先にあるものに、ただただ唖然としていた。
「あ、貴方は……」
「ああ、あれは二号じゃない。福沢裕太だ……」
黒いフードを身につけ、ベルトを装着している青年を見て、一号はそう告げる。
――裕太さん……どうして?
「一号、お前は俺が殺す……絶対に……!」
歯を剥き出して、裕太は一号に怒りを向けた。
その両目からは涙が流れている。
※※※
時間はそれより二日前に戻る。
遥の退院が決まり、美咲達は学校帰りに病院へと向かった。
「ママ、タイイン! タイイン!」
ヴィーダが飛び跳ねながら、病院の敷地内へ。
それを見ていた成音が笑いながら言う。
「病院内は走っちゃダメよ!」
「ワカッテル!」
とは言いながらも、ヴィーダは飛び跳ね続ける。
「ヴィーダっち、嬉しそう系」
「そうですわね」
「それにしても、また随分怪我したわね会長」
先まで突っ込まれなかったが、成音が思い出したように言う。
「色々あったのですわ」
少し目を逸らしながら美咲は答える。
二人はまだ見逃してもらえる可能性がある。
だから話すわけにはいかない。
「会長?」
成音が疑いの眼を向けるが、美咲に話を逸らされた。
「それより、成音さんはヴィーダさんとは上手くいってますの?」
「そうね。そこそこ仲良く暮らしてるわよ」
成音は遠くで跳ねるヴィーダに視線を向けた。
「成音さん、変わりましたわね」
美咲が穏やかに笑うと、成音が照れながら言う。
「そ、そう? あたしはあたしよ。何も変わってないわ」
「あら、最初の貴女は少し嫌そうでしたわよ」
「そ、そんな事ないわよ!」
成音が急に恥ずかしそうに言う。
「照れてる系照れてる系」
「う、うるさいうるさいうるさい!」
※※※
着いた頃には退院の手続きが終わった遥が、私服姿で子供達を眺めていた。
「ママ!」
「……ヴィーダ」
自分に向かって飛ぶヴィーダを、遥が受け止める。
「ママァ……」
嬉し涙を流すヴィーダ。
遥がよしよしとその頭を撫でてから、美咲達三人の姿を見て、穏やかな母親の表情から一人の科学者の顔に変わる。
「遥さん」
「私がこれからする事は決めている」
少しばかり俯くが、もう一度顔を上げた。
「あの子の為に、お前達や蘇我高校の生徒達を巻き込んで、ヴィーダを生み出してまでしたかった事。それを今度は、お前達を支える形で成し遂げたい」
「……」
「良いか?」
遥が少しばかり躊躇いながら、手を差し出す。
美咲は迷わずその手を握る。
「当たり前ですわ」
「六角美咲……」
「これから、よろしくお願いしますわ!」
美咲は笑顔で、遥にそう告げた。