浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第九十六話

 

「戸間菫……ってうちに赴任してきた教師と同じ名前ね」

 

 成音が眼を細めて呟く。

 

「あいつが教師……どんな人物だった?」

「えっと、青髪に赤い瞳で……人間の進化の研究をしていると言ってたわね。数千分の一の確率で新たな可能性を持った人間が生まれるとか何とか」

「それなら、同一人物で間違いはないな」

「でも問題は、友人であるその人がどういう動機で遥さんを狙っているかよね?」

「分からない……少なくとも、私自身が直接彼女に何かした、という覚えはない。それに彼女は幼稚で負けず嫌いだが、私に勝ちたいからとそんな卑怯な手を使うような奴ではなかった筈だ」

 

 やはり一号の言葉通りだ。

 彼女が犯人だという事実を受け入れさせるのは、遥の言葉を聞く限り難しい。

 今ここで正解だと答えたとしても、それが通る事はないだろう。

 

「うーん……昔はどういう事してたの?」

「昔か……」

 

 少し遥は笑う。

 

「私も菫も、突然変異体の存在を知る者という共通点で友人関係になった。お互い競い合ったりもしたし、学生時代は普通に遊んでたりもした」

「最後に会った時は、どんな会話をしたの?」

「そうだな。もう半年以上前の話になるが、私はあいつの相談を受けた」

 

 何とか思い出しながら遥は続ける。

 

「確か菫に、私の研究資料をくれと頼まれたが……断ったんだ」

「……」

「その時のあいつは、思いつめた顔をしていた。何というか、あいつらしく無かった。だから余計渡せなかった。普段私に勝ちたいと言っていたあいつが、土下座してまで私にそうして欲しいと頼むのが、少し怖く感じた」

 

 遥は俯いて言う。

 

「でもそうなると、それが原因でという可能性もあるわね」

 

 成音が鋭い瞳で告げる。

 

「あの時のあいつは、恐らくスランプでおかしくなっていたんだ。私の言葉で冷静になってくれた筈なんだ……そんな事あるわけが……」

 

 遥はあくまで菫を信じようとする。

 だが成音があくまで冷静な考えで、それに反論する。

 

「ならもし、そのおかしくなっていたのが嘘だったとしたら?」

「え?」

「こういう考え方はどう? 菫先生自身は遥さんの研究成果を使って、遥さん以上の評価が欲しいと望んでいた。遥さんを世間的には菫先生の二番煎じにする事で、遥さんの研究を全て菫先生の手柄にしようとしていた……」

「……」

「でもそれが出来なくて、まずは遥さんの心の支えである幼馴染を殺した。それでも心が折れていない……寧ろその復讐の為に研究を続けようと決心した遥さんを見た菫先生が、遥さんや遥さんの発明品ごとこの世から抹消しようとしている……そう考えると、割と自然よね」

「しかし……」

「遥さん、もしその幼馴染の為に今まで戦ってきたのなら、友人相手でもちゃんと疑わなきゃダメよ。そういうのは、視野を狭めるだけだから」

 

 成音はあくまで厳しい言葉を投げる。

 

「それに、あたしはヴィーダに悲しんで欲しくないの。だから遥さんに死なれるわけにはいかないのよ」

「ナリネ……」

「そ、そうか……」

 

 その言葉を聞いて、遥も少しばかり考えを改めたのか、表情が変わる。

 

「会長はどう思う?」

「わ、私ですの?」

「ええ。アンタの意見も聞いてみたいのよ」

「……」

 

 美咲は黙り込んだ。

 成音の考えこそ正解かどうかは分からないが、菫がこの一連の事件の黒幕なのは、紛れもない事実。

 ただ、このまま話が進んでしまえば間違いなく成音達も命を狙われる。

 

「私は結論を出すのは早いと思いますわ。他の可能性についても、探るべきだと思いますの」

「そう、分かったわ」

「では、今回はここでお開きにしますわよ」

「え、これで終わるの?」

「ええ。私も少し用事を思い出しましたし、キリも良いところで」

「それもそうね」

「取り敢えず、何か分かった事があれば報告しますわよ」

「ああ。私も少し考えてみよう」

 

 遥が立ち上がる。

 

「遥さんはこれからどうするの?」

「取り敢えず一度、蘇我高校に戻ろうと思う」

「大丈夫なんですの?」

「あそこには実験機材やパソコンを置きっぱなしだからな。成音が資料を無事に持ち帰れたのを見るに、中は何もいじられてないのだろう?」

「ええ。何も手が付けられて無かったわ」

「なら、これからの敵に対応出来るアイテムを作ろうと思う」

「対応出来るアイテムですの?」

「ああ。私はあの決戦の時にハイドロフォームカードを手渡したが、あれは本来ボマー用の強化アイテムではないんだ」

 

 美咲はそう言われて少し考える。

 

「もしかして、黒いボマーの事ですの?」

「黒いボマー……まさかお前、見たのか?」

「ええ。私は前に、黒いボマーと会ったんですの」

「……こうしてはいられない」

 

 遥が顔を青くして、美咲に告げた。

 

「あの黒いボマーは危険だ。もし敵側にあのドライバーを取られたのであれば、早急に対処せねばならんな」

 

 

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