その二つは似て異なる。
不老不死と蓬莱の薬。
この二つもまた、似て異なるものである。
「・・・慧音。」
ここは人里・寺子屋「慧音の自室」
そこには、一枚の布団が敷かれ一人の男が寝ていた。
「どうした、妹紅?」
私の親友の半妖はこちらに眼を向けることなく返事を返した。
「吉直は・・・どう?」
「問題はないのだが・・・」
「だが・・・?」
「疲労が溜まっていたみたいで今日は起きそうにないな。」
「そう・・・」
「妹紅。」
「・・・・・・。」
慧音が私の名を呼んだ。
私は・・・慧音に合わせる顔はない。
話す資格なんてない。
「・・・・・」
私が何も語らないでいると、慧音は私の前まで来た
「全く・・・困ったやつだな・・・」
怒られる。
そう思って身をすくませたが・・・やってきたのは温もりだった。
「妹紅が気に病む必要はないんだ。」
「うん・・・」
私は生返事しか返せなかったが、しばらく慧音の温もりに甘んじていた。
しばらくして・・・
「それじゃあ、私は残していた仕事をしてくるから吉直のことを頼んだよ。」
「うん。分かったよ。」
そうして、慧音は部屋を出て行った。
慧音が出て行ってからも私は言い知れぬ罪悪感を感じていた。
私が最後に使った『インペリシャブルシューティング』。
あれは、私のスペルの中でも上位に位置する強力なものだ。
博麗の巫女、普通の魔法使いといった異変解決者たちや、「アイツ」に使うには十分な威力を誇るが・・・吉直のようなスペルカードバトル初心者に使えば・・・命を奪ってしまう可能性だってある。
私は・・・あの時、吉直の命の危険性なんて考えてなかった。
ただ・・・純粋に勝負を楽しみたいと思ってしまった。
なんて・・・自分勝手なのだろう。
なんて・・・馬鹿なのだろう。
何で・・・どうして・・・私の人生は・・・坂道ばかりなのだろう。
裕福な家に生まれ・・・何も不自由なく生きてきた。
そう・・・蓬莱山輝夜が現れるまでは・・・。
輝夜が現れてから・・・私の人生は狂ってしまった。
それは父上が輝夜に求婚を申し込んでからだ。
その当時は一夫多妻が認められていたため、妻帯者である父上は輝夜に求婚した。
輝夜の求婚者はその容姿についての尾ひれなどが付いたためか多かった。
しかし、父上は最後の5人に残った。
悲劇が起きたのはそのあとだった。
輝夜はその5人に難題を出し、父上には蓬莱玉の枝を要求した。
父上は藤原家の全財産を注ぎ込み職人たちに造らせた。
そして、完成した玉の枝を輝夜のもとに持って行った。
「普通」の人ならここで玉の枝を渡して、目出度く結婚となっていただろう。
しかし、父上は油断していた。
あと一歩というところで・・・職人たちが報酬を要求しにきて・・・
結婚は破談となり、藤原家の権威も失墜した。
父上は蒸発し、母上は、寝込みがちになった。
私は、その日から生きることに躍起になっていたが、
あるとき「蓬莱の薬」についての話を耳にした。
それさえあれば・・・輝夜に復讐できると思い・・・
今の富士山まで行った。
そこで、蓬莱の薬を奪い取り、飲んだ。
これで輝夜に復讐できると思っていたが・・・
私を待っていたのは不幸だった。
母上は・・・帰ってきた私を見るなり・・・
「近寄るな・・・この化け物!!」
と言って石を投げつけてきた。
私は辛くなって逃げ出した。
そして、走った。遠くへ、遠くへ・・・逃げ続けた。
気が付くと・・・隣にはきれいな青髪の少女がいた。
私はその子と幻想郷まで来た。
幻想郷に来て・・・だれも失わせないと誓った。
でも、今、目の前でその誓いが破られようとしている。
私は・・・誰かを失うのが怖い。その思いを他人にさせないためなのに・・・・・
「眼を・・・目をさましてよぉ・・・」
何で・・・?
私は気が付くとそうつぶやき涙を流していた。
「眼を・・・開けて・・・声を・・・聴かせて・・・」
私は、眼を開けてくれない彼の体を抱きしめ泣いた。
「・・・馬鹿・・・だな・・・」
不意に髪をなでられた。
慧音の手とは違う。でも、不思議と安心してしまう。
「俺は・・・死なねえよ・・・。」
「吉・・・直ぉ・・・」
「はは・・・会ったばかりなのに・・・」
嬉しかった。慧音が助けた見ず知らずの人なのに・・・
「泣き虫な子だな・・・」
彼は苦笑を浮かべながら髪を撫でてくれた。
それは、不思議と心を落ち着けてくれる優しさを持っていた。
お久しぶりです。
大学のレポートに追われて更新できなかった+文才が進化しない残念系作者八意です。
今回は妹紅回で過去を大幅に省略してしまった回になってしまい申し訳ありません。
そしていつになったら永琳がでるのやら分かりません。
しかもその前に慧音と妹紅にフラグが建ってしまいそうです・・・
恐ろしい・・・・・。
次回もレポートとかの影響で更新が遅くなりそうですが・・・それでもよろしければ次もよろしくお願いします。