東方夜宴奏   作:八意 暮葉

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上辺だけで語られる言葉はあくまで騙り。

心で語られる言葉は語り。



ならば、心での思いと想いはどのような違いがあるのだろう?


Karte6『語々』

「さて・・・どうしようか・・・」

 

今、俺の腿の辺りには雪のように白い髪をもった少女が寝ている。

 

とても穏やかな顔で寝ているから起こす気は起きなかった。

 

しかし、いつまでも寝かせておくと慧音に迷惑が掛かってしまうのでどうしようか思案していた。

 

慧音は呼んだら来るだろうか・・・。

 

 

 

そのときだった。

 

襖が開いて、銀色の三つ編みを後ろに垂らした女性が姿を見せた。

 

「・・・忘れものを取りに来たのだけれど、お邪魔だったかしら?」

 

 

ニコニコと笑顔を顔に貼り付けたまま言われた。

 

「え!?あ、いや邪魔なんかになってませんよ?」

 

慌てて返答したが、

 

 

「ふふふ、良いのよ。私はおとなしく退散させてもらうわね~」

 

相手に気を遣わせてしまったらしく、却って逆効果になってしまう。

 

「妹紅もスミにおけないわね~」

 

「あの・・・・・」

 

「ん?なにかしら?」

 

「妹紅とはどのような関係ですか?」

 

女性の口から妹紅の名前が出てきたことを耳に入れた俺は、気になって訊ねた。

 

「・・・妹紅が不老不死の蓬莱人であることは知っているかしら?」

 

「いいえ。」

 

「なら、かぐや姫っていうおとぎ話は知っているかしら?」

 

「それなら・・・」

 

彼女が語ろうとしていることは妹紅と関係のあることなのだろうが・・・

 

 

俺にはどうしても関連性が掴めなかった。

 

「かぐや姫・・・いえ、竹取物語の最後を知っているかしら?」

 

「確か・・・帝が不老不死の秘薬を燃やすように命じて富士山で燃やす・・・」

 

「一般の大衆向けに創られたものはそうね。

 

 

 

でも、竹取物語が実在の歴史を捏造して創られたものだったら、

 

 

本当の歴史の最後はどうなっていたと思うかしら?」

 

ようやく、俺にも少しずつだが理解ができるようになった。

 

「不老不死の秘薬を・・・妹紅が飲んだのか・・・」

 

「ご名答ね。そして、あなたたちが不老不死の秘薬と呼んでいるものこそが・・・蓬莱の薬。別名禁忌の秘薬よ。」

 

「なるほどな・・・。でも・・・」

 

妹紅が不老不死になった原因は分かった。

 

だが、俺には引っかかっている疑問があった。

 

「妹紅はどうして蓬莱の薬に手を出したんだ?」

 

「それも・・・竹取物語に隠されているわ。」

 

また・・・か・・・。

 

「なよ竹の輝夜に求婚した人の中に車持の皇子という男がいたのは知っているかしら?」

 

「蓬莱玉の枝を要求されて・・・大恥をかいた奴だったよな?」

 

「ええ。そして、その車持の皇子の正体が『大納言正三位藤原朝臣不比等』なのは御存知かしら?」

 

「知らないが・・・藤原ってまさか!?」

 

「その、まさかよ。藤原不比等は彼女、藤原妹紅の父親よ。」

 

「そうだったのか・・・」

 

俺はよほどの大物と会話していたと改めて実感させられる。

 

「蓬莱玉の枝の一件で不比等は蒸発。遺された家族は貧困に苦しんだわ。」

 

「そこで妹紅はかぐや姫への復讐を決意するのか。」

 

「そういうこと。」

 

そうだったのか・・・。

 

妹紅の明るい笑顔の裏にはそのような辛い過去があったなんて・・・。

 

「うぅ~ん・・・」

 

そう考えていると腿の上で寝ているお姫様が起きようとしていた。

 

「さて、妹紅が起きそうだから私は退散するわね。」

 

女性は忘れ物の小瓶を持って立ち上がった。

 

「あ、名前を教えてくれないか?」

 

よく考えてみたら名前を聞いてなかった。

 

すると、女性は驚いた顔をした後クスリと笑って

 

「永琳。八意永琳、医者よ。

 

それじゃあ、今日は楽しませてもらったわ。ありがとうね、義直くん」

 

といった。

 

これが、俺と永琳の初めての会話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても、どうして俺の名前を知っていたのだろうか。

 




こんばんは、八意です。

ついに、永琳を登場させることができました。

今回も、前回に引き続き過去の話ですが前回と違い主人公が妹紅の過去を知る回になりました。

全くラブコメ的要素はありませんでした。(いつもないのは言わないお約束

それと、蓬莱の薬に別名は本当はありません。(月では禁忌の部類ながらも

次回ものんべんだらりとしたお話になりますが、よろしければ読んでください。
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