二年生になった。心機一転勉強に打ち込もうかと思ったがいざやろうとしたときに気づいた。勉強の仕方がよくわからない。何を持ってして勉強と言えるのか。先生は前、復習をキチっとしろ、と言っていたが復習をすることが勉強なのだろうか。じゃあ、復習とは何を持ってして復習と言えるのか。いや、それぐらいわかりそうなものだが、分かりそうでわからないものである。勉強とはなんと抽象的なものかと思った。
これがいいわけなことぐらいわかっている。本音は、ただ面倒なだけなのだと。何も変わらずに時間が過ぎていく。
ある日、とあるチームがⅢ号戦車からⅣ号戦車に変わっていた。成績が上がったらしい。そいつらはどこか得意そうで、正直苦手だった。見下してくるし。
今日、新しい一年生が入ってくるらしい。噂だと、あの西住まほの妹が来るとかなんとか。いつも思うが、そういう噂はどこから聞いてくるのだろうか。そもそもそんな噂どこから始まったのか。不思議だ。結果として噂通り、妹が入ってきた。妹だ、と言うやつの姿を見てみると雰囲気は姉と違いかなり柔らかいが姿は確かに似ている。普段、いかつい顔した姉の方も妹の前だと笑うらしい。
気づけば、もう全国大会の時期。思うがこの全国大会、時期が早すぎないだろうか。始業式から約1ヶ月で大会。あれか。いわゆる新人大会という位置づけだろうか。いやしかし、この全国大会以降にそんな大きな大会はなかったと思うが。…ただたんに自分が怠けて大会を知っていないからかもしれない。
今年も例年通り出場するのは三年生全員、二年生の中位、一年生の上位の特に精鋭。私達?中位でもない自分たちが何故出られると?…まあいい。どうせ出られもしないと分かっているのだからどうとも思わないし、気にしない。強いて言えば、今回の隊長はあの西住まほ。副隊長がなんとその妹、ということだろか。まさか一年生が副隊長をするとは…。あの西住まほの妹とというのであれば納得は行く。
全国大会。例のごとく選手以外にも履修者は全員会場に行って応援する。自分には至極面倒なことだが学校を休めるのであればまあいいや。やはりわが校黒森峰は作業のように決勝戦に進んだ。決勝の相手はプラウダ高校らしい。…プラウダ高校か。…ああ、名前は聞いたことある。名前は…それ以上のことは知らない。何気なしにチームに「プラウダ高校って戦車何使ってるんだろうね。」と、聞いたらこいつまじか…みたいな顔で「こいつまじか…。」と言われた。
何だ、なにか悪いか。知らないのだから仕方がないだろう。「なんで知らないの?すごい有名校なのに。」と言われたが、有名校だろうが何だろうが知らないのだ。知らないものに有名も無名も関係ない。『知らない』というのは万物に対して平等だ。だから関係ない。チームはやれやれ、といった感じで教えてくれた。ロシアの戦車を使うらしい。
ふーん。ロシアの戦車ってなんだろうなぁ。
多少好奇心が湧いた。だから一応今回は少し真面目に見ようと思う。
始まった。先程モニターで相手のチームを見たが…ちっさかったなぁ。思わずちっさ、とつぶやいてしまった。戦局は意外にも難局しているようで、なかなか決着がつかない。何やら周りが盛り上がったり、危機を感じているかのような反応をするが、私には何がどうなっているのかよくわからない。雨が降り出した。幸いにも応援席には屋根があった。が、結構強い雨だ。戦場も同じように強い雨が降っているらしい。すると敵弾が味方戦車の手前に落ちたと同時に、その地面が崩落。戦車は崖下の川に落ちてしまった。会場が動揺に包まれた。早く中止しろという者、敵フラッグ車が目の前にいるからさっさとやってしまえという者。いろんなやつの声が入り乱れた。すごくうるさかった。
結果として、フラッグ車に乗っていた副隊長が川に飛び込んだ。そのせいで、フラッグ車が攻撃を受け行動不能。幸いにも死者は出なかったが黒森峰女学園が十連覇を逃した。試合後、教官は十連覇を逃したことについて激怒しやがった。何故、自分たちにも怒る。やめろ、私は怒号が大の苦手なんだ。と言うか。死者が出なかったからいいではないか。何故人の命が助かったことを喜ばずに試合に負けたことを怒る。
馬鹿なのか?
今日の帰り、誰もがそんなことを言いながら帰った。
全国大会が終われば、あとの日常なんて作業みたいなものだ。ただ、進路の授業に感してはそうも行かない。クラスのみんなはスラスラと目の前の進路に関するプリントを埋めていくが、そもそも大学のことなど一ミリも知らない私は未だに空白だ。その授業はなんとか、大学をまとめているサイトから適当に抜き出して切り抜けた。最近腹痛が起こるようになった。
文化祭が始まる。黒森峰は戦車道が全てじゃない。他の部活動もある。実は戦車道だって部活動の一つだ。特殊な立場にあるだけで。だから文化祭は戦車道で出す。文化祭で戦車道履修者がやることなんてただ実際に戦車を動かしてみるとかそんなところだ。一般の人に色んな役職を体験してもらう。私も時間帯を決められてそのときはスタッフとして動いた。それさえ終われば、私達のチーム自由だ。私は一人でブラブラしていた。他は私を除いて四人で動いているらしい。
先も言ったように戦車道も部活動の一部。チームはそれぞれのクラスから選出される。だからチームのメンバーがみんな同じクラスの人になるとは限らない。私のチームは私以外の四人が同じクラス。だからその四人は仲良しこよしだ。私はよく一人だ。同じチームなのだから話しかけようとするが、どう話しかければいいのかわからない。案外話しかければ普通に返してくれるので自分のことを仲間外れにしているわけではないのはわかっているが、どうにも話しかけるのには勇気がいる。だから話しかけるときはちゃんと、話しかける言葉を選び、どんな感じで話しかけるのかを決め、ある程度の反応、返答を予想してから一定の勇気を持って話しかける。自分がコミュ障なのはわかっている。
なんやかんやで、二年生も終わろうとしている。今は、授業で志望理由書なるものを書かされている。これを書かなければ進級できないそうだ。私はこの十ヶ月の間になんとか、一応目指す大学を探し上げたので特に困る様子もなく書いている。ただ、大学に入る理由とそこで何をしたいのか、というのが難しすぎる。私は、そんなだいそれた理由で大学を目指しているわけではない。この学校がそういう方針だったから合わせているだけだ。しかし、これを書ききらなければ進級はできない。ない頭を回して文章をひねり出す。
なんとか書ききった。進学もできた。