秘書官になるまで   作:金糸雀^_^

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 登場人物の性格が一部変わっています。


第1話

私は駆逐艦電。暁型の4番艦です。生まれた時から前世、つまり第二次世界大戦の艦だった頃の記憶があります。なので実際に知らないし教えてもらってないことまで知っているのは少し不思議な感じがします。それにしてもここはどこでしょうか。

 

「新建造艦が完成致しました」

 

生まれてきて一番最初に聞いた言葉はそれでした。目を開けるとそこには白い服を着た初老の男の人と長髪の眼鏡をかけた美人の女の人がいました。

 

女の人「この子は電です」

 

男の人「そんなことは知っている!クソ!また失敗か」

 

私を知っている?それにまたとはいったい……。

 

電「あ、あの……」

 

男の人「うるさい。…取り敢えず待機しておけ。後ほど着任先を通達する」

 

電「は、はい」

 

なんなんですか?この人は。第一印象最悪ですね。

 

女の人「ごめんなさい。気分悪くされましたよね?」

 

電「いえ、大丈夫です」

 

この人はいい人そうですね。

 

女の人「あの人は元帥です。この海軍の総司令で一番偉い人です。偉そうしてる人で覚えたらいいですよ」

 

ものすごい良い笑顔で言われた。あの元帥って人と仲悪そうですね。私がこの人の立場なら間違いなくボイコットしそうです。

 

電「大変そうですね」

 

女の人「ええ、……聞かなかった事にしてくださいね」

 

電「もう元帥と会う事は無さそうなので大丈夫ですよ」

 

女の子「ありがとうございます。まだ自己紹介してませんでしたね。私はここの大本営所属の大淀です」

 

大本営ですか。随分と凄いところですね。

 

電「私は電です。よろしくお願いします」

 

大淀「?意外にしっかりと対応してくれますね」

 

電「?何かおかしいですか?」

 

何か違和感があるって顔ですね。

 

大淀「いえ…、なんでもありません。それでは待機してる間、生活する部屋に案内しますね」

 

電「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めた場所から移動して住居区に向かった。鎮守府は結構広かったので少し距離がありましたが、知識があるだけで初めて見るものばかりだったので意外に楽しかったです。しばらく歩いていると住居区に到着しました。玄関から2階に上がり2階の廊下に移動するとすぐに私の名前の札がある部屋を見つけました。この部屋が私の生活する部屋みたいですね。

 

大淀「ここが今日から生活する部屋です。もう1人入居している方がいらっしゃいますが良い方なので安心してください」

 

もう1人?

 

入り口の横に掛かってる札を確認するが私の名前の札が一枚あるだけでもう1人の住人の名前が無い。

 

電「ここに住んでいる方はなんて言う人ですか?」

 

大淀「電さんです」

 

電「?」

 

大淀「正確に言うと貴方が建造されるより前に建造された電さんですね」

 

電「あぁそう言う事ですか。つまり同じ電、私の先輩の電がここに住んでいるんですね」

 

大淀「そうです。普通は同じ艦娘は別々の部屋にして区別しやすくするのですが、丁度空いてたのがここしか無かったのでごめんなさい」

 

電「大丈夫です」

 

同じ私と生活するのはなんだか奇妙な感じではありますね。

 

大淀「それではもう行きますね。ゆっくりしていて下さい」

 

電「はい」

 

大淀さんがいなくなり1人になりました。近くに誰かいる気配は無いですが、遠くからは喧騒が聞こえて来るので一応人はいるみたいですね。

 

電「入りますか」

 

特に何もしていないがなんとなくゆっくりしたい気分だったので部屋に入る事にしました。部屋に入ると中には誰も居ないです。

 

電「不在ですね」

 

何をして良いのか分からないですね。さすがに自由にし過ぎたら失礼ですよね。

 

部屋の主が不在の為何も出来ずに結局部屋の隅に座る事にしました。少し時間が経つと勢いよくドアが開いて明るい声が室内に響きます。

 

電「ただいまなのです!新しい入居者はどこですか?…はわわ!びっくりしたのです!どうしてそこにいるのです?」

 

なんか変な人が来ましたね。

 

部屋の隅に座ってる私を見つけて驚いていたもう1人の私は不思議そうな顔で私を見ていた。私は取り敢えず挨拶する事にした。

 

電「初めまして先程建造された電です」

 

電「はわわ、は、初めましてなのです!電は電なのです!よろしくなのです!」

 

電「よろしくお願いします」

 

電「電のことは先輩と呼ぶのです!その方が呼びやすいと思うのです!電は貴方のこと後輩ちゃんと呼ぶのです!」

 

電「分かりました。先輩」

 

先輩「はわわ〜〜」

 

先輩と呼ばれてすごく嬉しそうにニコニコしている。多分ただそう呼んで欲しかっただけなんだろうな。それにしても電ってこんなキャラなの?自分で言うのもなんですけど私と随分違いますね。

 

先輩「後輩ちゃんなんか怒ってるのですか?」

 

電「いえ、そんな事ないです」

 

先輩「ん〜?なんだか他の電とは違うみたいなのです。あんまり違いすぎると怖い人達に連れて行かれちゃうのです」

 

電「怖い人達?」

 

先輩「そうなのです!この前黒い服を着た怖い人達が他の子と少し違う子を連れて行っちゃったのを見たのです!」

 

電「怖いですね」

 

もし目の前の先輩が普通の電だったら私は少し変なのかも知れないですね。少し気を付けますか。

 

先輩「それじゃあ、早速食堂と訓練場に案内するのです!普段行くところなので覚えておいた方がいいのです!」

 

電「分かりました。お願いします」

 

先輩「れっつごーなのです!」

 

テンション高いなこの人。

 

 

 

 

 

 

 

先輩「ここが食堂なのです!」

 

電「広いですね」

 

今はお昼前ですか。それでもチラホラと人がいるので食事する以外にも談笑スペースとして使われているみたいですね。

 

先輩「ここの間宮さんのご飯はとっても美味しいのです!」

 

電「そうなのですか?お昼が楽しみですね」

 

先輩「なのです!…あっ!あそこに雷ちゃん達がいるのです!」

 

電「雷……」

 

確か記憶だと姉妹艦でしたね。艦娘の時はどんな人なのでしょうか。

 

先輩「雷ちゃーん!暁ちゃーん!響ちゃーん!」

 

雷「あっ!電!……と電?

 

暁「電が2人⁉︎おばけ⁉︎ぴゃあああ」

 

響「暁、落ち着いて」

 

先輩「紹介するのです!この子は新しく建造された電なのです」

 

電「よろしくお願いします」

 

なんだかみんな見た目相応の精神年齢ですね。響は少し大人びている気はしますね。

 

雷「そうなのね!私は雷よ!かみなりじゃないわ!そこのとこもよろしく頼むわねっ!」

 

電「雷さんですね。よろしくお願いします」

 

私と似ていますね。

 

暁「なんかこの電、変じゃない?」

 

響「そうだね」

 

何かおかしな事言ったかな?

 

暁「なんか電よりレディーっぽい気がする!ってこの子も電か」

 

先輩「酷いのです!」

 

響「無理してかしこまったりしなくていいよ。誰も気にしたりしないから」

 

電「いえ、私は別に無理していませんよ?」

 

雷「もしかして特殊個体?」

 

電「特殊個体ですか?」

 

私が…特殊個体?

 

電「そんなに変ですか?」

 

暁「うん。すごい変」

 

雷「大丈夫!どんな電でも受け入れるわ!」

 

先輩「そうなのです!」

 

響「取り敢えず、もし特殊個体なら皆んなにバレない様にしなきゃね」

 

そういえば他と違う子は連れて行かれちゃうって言ってましたね。幸い皆秘密にしてくれそうでよかったです。

 

響「たぶん君の場合は性格が違うんだろうね。普通個体と違って精神年齢が高いのかな?」

 

電「そうなのですか。ちなみにもし特殊個体だとバレたら私はどうなりますか?」

 

場合によっては逃げなくちゃいけません。無抵抗に捕まるのは嫌ですね。

 

響「大丈夫。誰にも言ったりしないよ。この話が広まったら捕まってしまうからね」

 

雷「そうよ!せっかく仲間が増えたのにすぐに居なくなっちゃうなんて寂しいもの」

 

電「ありがとうございます」

 

響「でも、今のままだとすぐにバレそうだね」

 

暁「電の真似させたらいいじゃない」

 

雷「珍しくいいこと言ったわね」

 

暁「珍しくって何よ!失礼しちゃうわね!」

 

たしかに見た目は同じならあとは言動を変えるだけで擬態出来ますね。

 

電「普段の先輩はどんな感じですか?」

 

暁「よく人にぶつかってるわね」

 

響「戦場だと常に涙目ではわはわ言ってるね」

 

雷「毎朝牛乳を飲んでるわ」

 

先輩「電って普段そんななのです⁉︎」

 

何一つ参考にならない。でもだいたいの性格は分かりますね。

 

電「気弱なドジっ子ってところですか?」

 

響「そんな感じだね」

 

暁「そうね」

 

雷「放っておけないわ!」

 

先輩「むー、大きくなったらしっかりしたお姉さんになるのです!」

 

響「取り敢えず話を戻そう。早速だけどこの電の真似をしてみて」

 

電「は、はわわ…、い、いな…づまなのです?」

 

暁「何で聞いてるのよ」

 

響「表情と相まってすごい違和感だね」

 

雷「大丈夫!もう一回やろう」

 

思ったより難しいですね。

 

先輩「もっと電になりきるのです!」

 

電「もっと電になりきるのです」

 

響「無表情なのがいけないね。もっとふわふわした顔してみて」

 

電「どうやるんですか?」

 

暁「電やってみて」

 

先輩「ふわふわした感じですか?難しいのです」

 

雷「電、笑ってみて」

 

先輩「えへへ〜♪」

 

響「はいこれ」

 

先輩の笑った顔は非常に可愛らしいですね。同じ顔だから出来そう。

 

電「ふふふ♪」

 

暁「なんかよく分からないけどレディーだわ」

 

響「言いたいことはわかるよ」

 

雷「同じ電でも性格が違うと表情とか雰囲気が全然違うわね」

 

先輩「はわわ〜、後輩ちゃん可愛いのです!」

 

電「先輩、どうしてなのですって語尾につけてるのですか?…なのです」

 

先輩「な、内緒なのです!」

 

雷「昔大人の女性になりたくて暁の真似をしたところからこういう喋り方になったのよ」

 

先輩「どうして言っちゃうのですか〜」

 

すごくかわいいです。妹にしたいですね。

 

暁「お腹空いてきたわね」

 

響「丁度お昼時だね」

 

先輩「ごはんなのです♪」

 

雷「ちゃんと手洗ってね」

 

電「間宮さんという人のご飯は美味しいと聞いたので楽しみですね」

 

響「口調もどってるよ」

 

電「なのです」

 

暁「いっそのことなのですだけでいいんじゃない?」

 

電「名案なのです」

 

雷「でも大丈夫なの?」

 

電「やってみます」

 

私はそう言って注文しに間宮さんのところに向かう。

 

間宮「あら電ちゃんお疲れ様。今日は何にする?」

 

電「なのです」

 

私はカレーを指差してにっこりと笑う。

 

間宮「カレーね、分かったわ!ちょっと待っててね」

 

電「なのです!」

 

注文を終えた私は4人の所に戻る。4人は私の姿を見ていたのか全員が拍手をしながら迎えてくれた。

 

暁「凄いわ!」

 

響「ハラショー」

 

雷「ちゃんと出来たわね!」

 

先輩「さすがなのです!」

 

そんなに凄いことしたかな?でも先輩さんを見てると皆んなの心配がわかる気がしないでも無いですね。

 

電「さすがにドジっ子では無いと思っているので」

 

響「言われてみればそうだね」

 

暁「見た目が電だからハラハラしたわ」

 

先輩「失礼なのです〜!」

 

雷「まあまあ、私たちも注文しに行きましょ!」

 

先輩「なのです!」

 

電「席取っておきますね」

 

思ったより電の真似は大変そうですね。

 

 

 

 

 

 

 

お昼ご飯を食べて部屋に戻ってからは特訓すると言われてずっと練習させられていました。1時間ほど経って皆疲れたのか皆んな昼寝をし始めたのでようやく解放されました。

 

電「やっと自由になれたのです」

 

新しいお友達と言うこともあって皆んなテンションが目に見えて高かったような気がしますね。私の為とはいえ気持ちはわからなくもないが

ありがた迷惑です。

 

電「少し散歩でもしますか」

 

そう思い立ち部屋を出てあてもなく歩き始める。今の時間も駆逐艦寮には人影は無い。皆んな何かしらやっているのか単純に人が少ないのでしょうか。

 

電「少し外に出てみましょうか」

 

寮の中に特に変わったところもなく退屈だったので、外に出て辺りをふらふらとしてみますか。

 

玄関から外に出て辺りを見回すが誰もいない。

 

電「誰もいないですね」

 

寮内でもそうでしたが何で誰もいないのですか?皆んな何してるんでしょうか?

 

?「あら?電さんですか?」

 

電「はわ、はわわ」

 

急に後ろから話掛けられた。

 

まずい、ここで第六駆逐隊以外の子と出会ってしまった。取り敢えず違和感ないようにしなくちゃ。

 

?「?…貴方電ですか?」

 

勘が良すぎる!いや、まだ大丈夫でしょうか?

 

電「電は電なのです」

 

この人そもそも駆逐艦じゃない!どうしてここに⁉︎

 

?「それでは私の名前言えますか?」

 

電「………降参です」

 

先輩と面識がある人ですか。しくじりました。

 

赤城「私は赤城です。以後お見知り置きを」

 

容姿は黒髪ロングにミニスカート風に改造された赤色の弓道着を思わせる格好で弽(ゆがけ)や胸当てをつけていますね。赤城という名前から彼女は空母でしょう。

 

電「本日建造された第六駆逐隊の電です」

 

赤城「電にしては少し変わっていますね。特殊個体ですか」

 

電「特殊個体とわかって私をどうしますか?」

 

赤城「うーん。取り敢えず一緒に来てもらえますか?」

 

電「嫌だと言ったらどうします?」

 

赤城「無理矢理連れて行かれるのが好きですか?」

 

赤城は怪しく笑いながら言う。その微笑みに冷や汗が出る。まともに戦って勝てる相手ではありませんね。

 

電「無理矢理連れて行くのでしたら逃げますよ?」

 

赤城「逃げ切れると思いますか?」

 

電「無理ですね。でもここのお偉いさんを殺すことはできるかもしれませんよ?駆逐艦でも機関部さえ装着すれば人間くらい殺れます」

 

赤城「構いませんよ」

 

電「え?」

 

私は赤城が何を言ったのか分からなかった。

 

赤城「私はあの人達が嫌いなのでどうぞやっちゃって下さい」

 

まさかの返答に私は諦めることにしました。精一杯の脅しが意味を成さないなら逃げても無駄です。

 

電「お手上げなのです。どうぞ煮るなり焼くなり好きにして下さい」

 

唯一の抵抗手段も意味を成さないのであれば私にできることはありません。まともに戦って勝てる可能性はゼロです。

 

赤城「それでは着いてきて下さい。後ろから攻撃してもいいですよ?」

 

電「何もする気ありません」

 

私は赤城の後ろをついて歩き出す。赤城は駆逐艦寮から離れて行く為、このまま工廠にでも連れて行かれて解体されるのかと思っていたが、主要施設がある場所からも離れているらしくどんどん人気の無い場所に歩いて行く。

 

どこへ行くのでしょうか?

 

赤城「そう警戒しなくても良いですよ。何もしませんから」

 

電「では、何が目的ですか?」

 

赤城「私、特殊個体は見た事がありますがお話したことは無かったので、お話ししたかったんですよ」

 

電「話?」

 

どうやら実験体にされたりはしないみたいですね。単純に興味があるから連れてきたってところでしょうね。

 

赤城「電さんでいいですか?」

 

電「はい」

 

赤城「電さんは敵を助けたいと思いますか?」

 

電「?……助ける必要があれば」

 

赤城「必要が無ければ助けませんか?」

 

電「当然です。戦場ではちょっとした判断ミスで死にます。助けてもまた敵として立ちはだかる可能性が高いのでなるべくなら沈めます」

 

赤城「……貴方はやはり他の電とは違いますね。普通の電なら敵でも助けたい、戦争はやりたく無いといいますよ」

 

電「大戦時ならまだしも深海棲艦相手であれば多くの人を救う為に沈めるのは当然では?」

 

赤城「そうかもしれませんね。貴方は敵でも助けたいではなく、味方を確実に助けたいって感じですね」

 

電「そうですね」

 

平和の為ならば犠牲は付き物。犠牲が無いのが1番ですが、こればっかりは仕方が無いと思います。敵艦は沈めなきゃこちらがやられます。

 

赤城「そうですか」

 

そこで会話が途切れてしばらく無言で歩く。私は赤城が何もしてこないと判断して少し警戒を解いた。まぁ警戒しても何も出来ないですけどね。

 

赤城「電さん」

 

電「はい?」

 

赤城「お友達になりませんか?」

 

唐突に何を言っているのだろう?真意が見えません。

 

赤城「私、ここで主力として戦っているんですが、戦友はいても親友と呼べる人は居ないんですよ。今日も午後からお休みだったんですが、1人で退屈だったので散歩してました」

 

主力ですか、色々大変そうですね。

 

電「………」

 

赤城「ダメですか?」

 

電「いいですよ。よろしくお願いします」

 

まぁ特に危険は無さそうですね。それにそこまでの重要人物なら有益な情報も入りそうです。

 

赤城「よろしくね」

 

赤城はそう言うと、満面の笑みを浮かべて手を差し出してきた。私はそれに応じて握手をする。

 

赤城「なんだか良いですね」

 

電「あまり実感が湧きませんね」

 

赤城「そうですか?」

 

電「艦としてではなく、人としての行動はまだ何となく慣れませんので」

 

実際まだ建造されてから半日です。その間に食事や会話などをしたが、それらは給油や警笛での合図に置き換えることが出来る。しかし友人を作ると言う行為はそういうので表す事が難しい。だからあまり実感が湧いていないのかもしれませんね。

 

電「やはり艦娘とは不思議な存在ですね」

 

赤城「そうですね。話は変わりますが、電さん」

 

電「なんですか?」

 

赤城は歩くのをやめてこちらに振り返る。そして見る者全てを虜にするような笑顔で近寄ってくる。別の意味で怖いです。

 

赤城「せっかくお友達なったのですから、手を繋ぎませんか?」

 

電「お断りします」

 

赤城「えー」

 

訳がわからないのです。

 

赤城「ダメですか?」

 

電「また今度にしましょう」

 

赤城「約束ですよ?」

 

電「わかりました」

 

いつか忘れるでしょう。

 

赤城「そろそろ戻りましょうか。私はこの後予定があるので」

 

電「そうですか。それでは解散しましょう」

 

もうそろそろ先輩さん達も起きてるかもしれないのでちょうどいいです。

 

赤城「送りますよ」

 

電「そこまで離れていなさそうなので大丈夫です」

 

赤城「そうですか…」

 

目に見えて落ち込んでいますね。でも主力の空母と今日建造された駆逐艦が一緒にいたら何かと噂になりそうなので避けたいですね。

 

赤城「1週間後暇なのでその時また会いませんか?」

 

電「わかりました」

 

流石に断りづらいですね。

 

電「それでは」

 

赤城「はい、1週間後にまた会いましょう」

 

私は駆逐艦寮に向かって歩き出した。程なくして駆逐艦寮について玄関に入り靴を脱いで土汚れを落とす。流石に外に行ってるのがバレたら心配されてしまいますからね。

 

証拠を消し、部屋に向かって歩き出す。あえて最短ルートではなくトイレのある方から部屋に向かう。2階に上がりトイレの前を過ぎる。部屋までは廊下の反対側なので少し遠いですね。そう考えていると私達の部屋のドアが開き、先輩さんが出てきた。先輩さんは辺りを見回した後こっちを見て私の姿を確認すると一目散に走ってくる。

 

先輩「どこ行ってたのですか?起きたら居ないので心配したのです!」

 

電「トイレに行っていました」

 

暁「見つかった⁉︎」

 

雷「だめじゃない!勝手にいなくなっちゃうなんて」

 

後から追いついて来た暁達も心配してたようですね。そんなに危なっかしいですか?

 

響「まぁ見つかって良かった」

 

暁「そうね!」

 

雷「とりあえずおやつにしましょ!」

 

電「なのです!」

 

私が無事と分かるとすぐに元気よく部屋に戻っていく。私はその後を追って行こうとするが、響が隣に来た。

 

響「どこいってたんだい?」

 

電「トイレです」

 

そう言うと響は少し考えてから足元を見る。

 

響「………泥がついてるよ」

 

電「トイレに行ってただけなので付いてるはず無いのです」

 

響「…見間違えだった」

 

私にカマをかけようなんて10年早いのですよ。

 

 

 




 この話は着任した鎮守府で頑張る提督の話の過去編になります。
 電ちゃん視点で進んでいくのでよろしくお願いします。あと着任した鎮守府で頑張る提督の話もよろしくお願いします。
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