東方寒停録   作:missing0326

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八代目のサヴァン

妙に高くついた団子を食べ終えた後、とある用事が人里にあるのを思い出した。

場所は稗田邸。ちょっと調べ物があるのだ。

 

その調べ物とは、ズバリ私の評判である。

広報活動をするにあたって、現在の自分の評価を知るのは必要...だと思う。あと前々から気になっていた。

 

そしてここには、幻想郷縁起という妖怪や人間について記された書物がある。それには、その妖怪に会った時の対処の仕方、出没地、危険度、友好度、クチコミ等が書いてある。

そして、幻想郷縁起には私も載っているらしいので、それを見に行こう、という訳だ。

変な事を書かれてないと良いが...

 

 

 

 

「すみません、当主に用がありまして」

「少々お待ちください」

 

そんなこんなで目的地に到着。玄関にいた使用人に声をかけて、待機中である。

 

「お待たせ致しました。どうぞこちらへ」

 

いつもの侍女さんが出てくる。今日は当たりらしい。

というのも、ここの当主は結構アウトドア派で居ない事が多いからだ。

 

「お邪魔します」

 

しかしこの家はデカい。

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、今日はどのような御用で?」

 

彼女は稗田阿弥、稗田家の八代目当主だ。

 

「ちょっと、幻想郷縁起を見してもらいたくてね」

「幻想郷縁起? 複写版が貸本屋などにあったと思いますが?」

 

金がないから借りられない、とは言えない。私にもプライドはある、ちょっとだけ。

 

「いやな、今回は私の欄に目を通したいんだが、ほら、お前が居ればなんか間違ってた時すぐ直せるだろ?」

「...まあそうですね」

 

我ながらよく分からない言い分である。

 

「はい、どうぞ。これが最新版です」

 

結構分厚い書物を手に取り、確認していく。

結構見た事ある奴が載っている。

慧音は獣人に分類されるのか。

 

お、私の欄があった。

 

...ん?

 

「なあ、阿弥」

「なんですか?」

「なんで私の欄が英雄伝じゃなくて妖怪図鑑の方に載ってるんだ?」

 

英雄伝というのは主に人間が載る項である。

しかし私は何故かそこでなく、妖怪図鑑の方に載っていた。

分類は、妖怪。紫とかルーミアと同じだ。

つまり、よく分からないけどまあ妖怪だろ、という分類である。

 

「え?貴女って妖怪じゃないんですか?」

「私は人間だ」

 

最近で一番傷ついた。

 

「いや、だって貴女の記憶は結構先代の方にもありますよ。1000年くらい前の」

「私はそういうものなんだ。妹紅だってそうだろ?」

 

妹紅は英雄伝の方に載っていた。解せぬ

 

「...本当ですか?」

「慧音や妹紅にでも聞けば答えてくれるぞ。というか、誰か言ってなかったのか?」

「いや、これはまだ校閲のされてない超最新版で、貴女が載ったの今回が初めてなので、なにも」

 

最近まで山に篭ってたからこれに関しては何も言えない。

 

「まあ、そこまで言うのなら書き換えときます」

「頼んだ」

 

さあ、気を取り戻して読んでいこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行き先不明の妖怪

 

冬美 雪嵐 fuyumi seturan

 

 

能力 寒くする程度の能力

危険度 不明

人間友好度 普通

主な活動場所 割とどこでも、最近は人里が多い

 

 

彼女は何の妖怪かは分からない。特に文献も残って無く、関係者からの話でも全く何の妖怪かも分からないのだ。

唯一分かるのは齢千を超える大妖怪で、あまり人と関わらない、という事だけだ。

また、各地で定住と引越しを繰り返しているようで、様々な場所で目撃報告が出ている。

最近まで山篭りをしていたが、最近人里に引越したそうだ。

 

 

・容姿

姿は人間と特に変わり無いが、洋服を着ている。※1(本人曰く、白衣とYシャツ?とジーンズ?というものらしい。私も聞いた事の無いものだ。)

また、他の妖怪と違い、昔にも今と同じ服を着ていたと考えられる。 ※2(約千年前に書かれた幻想郷縁起にも今と同じであろう姿で記載されている。)

身長は高めで、髪色は薄めの青。何故か草履を履いている。

 

 

・能力

寒くする程度の能力は、文字通り周囲の温度を低下させることが出来る、という能力である。

名前だけではそうでも無さそうなこの能力だが、人間や動物にとっては、とても脅威な能力である。

しかしあまり温度を下げると、疲れる上に自分も寒くなるそうなので、あまり能力は使わないそうだ。

 

また、本人は鉄砲に関する知識を有し、それを使用する事を好んでいる。

 

 

・人里との関係

彼女は現在、詳細な場所は避けるが人里の西端に定住している。人付き合いが悪いのか、あまり周囲からの評判は良くない。※3(知らない、分からない、見たことない、あそこ人住んでたの、という感じだった。)

しかし、人里の主要人物である上白沢慧音と仲が良く、自警団の仕事を手伝う事もあるようだ。

 

 

・目撃報告例

 

・この前うちで米と煙管を買っていったよ。しかし服が凄いな、最近の妖怪のセンスは分からないもんだ。(道具屋店主)

 

人里では普通に暮らしているらしい、しかしあの格好はこの和服ばかりの人里では目を引くらしい。

 

 

・この前自警団で臨時で参加した彼女と門番をしたが、何も話さないし、目付きが鋭くて怖かった。(匿名)

 

口数があまり多くないのは、何か考え事でもしてたのだろう、普段は結構話す方だ。

目付きが鋭いのは癖らしい。別に怖がらなくても大丈夫だ。

 

 

・度々領域侵犯して来るのは勘弁して欲しい。上司方と仲がいいのは良いのだが、始末書が増える。(白狼天狗)

 

彼女は結構規律に厳しいので、領域侵犯については知らないだけだろう。また性質上、上役に立つような変人には良く好かれるが、下っ端からは敬遠される事が多いようだ。

 

 

 

・対策

基本的にこっちから手を出さければ攻撃はしてこない。

しかし、その戦闘能力は高いものであると考えられるため、無闇に近づかない事を推奨する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ものすごい人外扱い。なんだ行き先不明って。

評判が良いとは思ってなかったが、ここまでとは、いや。

それに私は人と関わりを持たないわけでは無く、初対面の人と話すのが苦手なだけで、普段口数が少ないのもそのせいだ。

 

というかこの服はそんな変だろうか?

 

「冬美さん、顔が青いですよ?」

「...」

 

しかもなんだ領域侵犯って、私あそこに住んでたし、そんな事聞いた事無いし。

最近白狼天狗達の目線が痛いと思ったが、そういう事とは思わなかった。ってか敬遠って酷くないか?

 

...今私が広報なんてやっても余計な不満を買うだけでは?

 

 

 

うん、広報活動はやめよう。向いてない。

 

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