東方寒停録   作:missing0326

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玄武の沢はいいところ①

慧音にツケられてから3ヶ月。春告精も現れ初め、いい感じに暖かくなって来た。なのにも関わらず、幻想郷縁起が効いたのか最近出不精な気がするので、少し出掛ける事にした。

という訳で、現在妖怪の山を歩いて進行中である。

別にハイキングが趣味とか観光しに来たそういう訳ではない。私と趣を共にする盟友、河城にとりに会いに行く為だ。

ちなみに歩いているのは、私が飛べないからだ。

いや、飛べないのは普通だと思う。そもそも人間が生身で飛ぶのがおかしいのだ。と思ったが、この前会った人間の友人は普通に飛んでいた。解せぬ。

 

そしてここ、玄武の沢は妖怪の山の麓にある小さな谷川だ。

妖獣や悪戯好きな妖精等が出没するため、危険度はまあまあ。飛ぶことも結界を張ることも出来ない私のような人間には中々ハードな場所だ。

という訳で、今回は武器を持ってきた。この前の猪狩りに使った特殊火縄銃である。こいつは素早く装填が出来るため、群れで出て来やすい弱小妖怪には丁度いい。

まあ、使わないのが1番良いのだが、掃除面倒だし。

 

とか言ってたら妖獣に遭遇してしまった。

じゃあ、ちょいと実地試験といきますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河原で銃を掃除中。

銃の掃除は嫌いじゃないが、めんどくさい。

やっぱりあの程度の妖獣ならナイフを使えばよかったかなと思いながら銃身内部の煤を取る。

現在使っている黒色火薬は性質上、煤がかなり発生する。

やはり紫に頼んで無煙火薬を調達してもらおうか?

流石に厳しいか、と一人で思考を巡らせていると

 

「なんかもの凄い音がしたんですけど、また貴女の仕業ですか?」

 

と、声がした。どうやら考え事に熱中し過ぎて、そこの烏天狗の接近に気づかなかったらしい。

 

「さあ、野鉄砲じゃないか?」

「野鉄砲は硝煙の匂いは出せませんよ。」

 

そうナイスな返しをするのは、射命丸文。

近頃、新聞記者というのを始めたらしい。しかも結構ゴシップ方面。

昔は切れたナイフどころか目の無い台風みたいだった文がこうなるとは、平和とは恐ろしい。

 

「で、こんな朝早くからこんなとこに何しに来たんですか?

妖怪の山制圧とか、天魔様の屋敷襲撃とかですか!?」

 

文はいつからこうなってしまったんだ...?

昔、文に憧れて哨戒隊長まで出世した白狼天狗がいたが、彼女が不憫でしょうがない。

あと、当たり前だが私は妖怪の山制圧とかそういう事はしないし、したことも無い。

領域侵犯は別だが。

 

「阿呆、んな訳あるか。にとりの所に行くだけだ」

「またですか」

 

つまらなそうにする文。お前は一体私に何を求めているんだ。

 

「じゃあ、なんか良いネタ持ってないですか?」

 

んなものない、と言おうとしたがピッタリなネタがあったのを思い出した。

 

「あるぞ、いいネタ」

「ホントですか!」

 

ポケットから手帖を取り出し、即取材体制に入る文。

その素早さは昔から変わらないようで、全くもって素早さの無駄使いだと思う。

 

「博麗大結界は知ってるよな?」

「そりゃあ知ってますよ。私も少し関わってますしね、なんでも八雲との関係上、ある程度フリーな私が山の代表として...ブツブツ」

 

何やら触れちゃいけない系の琴線に触れたらしい。どうやら気に入らない事が沢山あるみたいだ。

 

まあ、今の山の情勢は不安定。そんな中でのこの結界騒動である。山としては今回の件に協力したい所なのだが、八雲との確執もあり下手に手を出せない。

なんでもここで借りを作られて、そこにつけ込まれるのはまずいとか。そのため今回は義勇軍のようなものを出し計画が成功するようには動くが、山はあくまでも不干渉。という立場を取りたいそうだ。

 

まあ、簡単に言えば山は独立したままでいたいので、八雲の下につく気は無い。という事だ。

きっと鬼に支配されていた頃のトラウマでもあるのだろう。

そして、その義勇軍の代表担当者に文が任命されたそうだ。

理由は簡単、立場が軽くて能力が高いからである。

 

...なんでそんな事知ってるかって?

この前、花見の時に酔っ払った文が話していたからだ。

それでいいのか、天狗社会。

 

 

「...失礼。でも、アレが出来るのは結構先じゃ無いんですか?」

「うーん、それがだな」

「延期ですか?」

「いや、あと5年で出来る」

「は?」

 

文がフリーズする。

 

「おーい、文? あーやー?」

 

 

 

 

少女再起動中...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あやややや、失礼しました。」

「すまない、こうも動揺するとは」

 

あれからしばらく経っても復活しなかったのだが、川の水をかけたら復活した。

あと、その口癖はいかがなものだろうか。

 

「いや、色々とやらないといけない事が増えちゃって、これからの予定を考えていたら、ねぇ」

「口調が戻ってるぞ」

「あやや、いけないですねぇ」

 

今の文はあの口調が気に入っているらしい。私からすれば、こっちの口調の方が馴染みがあって良いのだが。

 

「まあ、ネタも頂いたことですし、1枚記事を作ってから、仕事に取り掛かるとします。という訳で、詳細を教えてください!」

 

 

 

なんか取材が始まった。

今日は玄武の沢で1泊コースかもしれない。

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