フリスクに身体の主導権を奪われてから……いや、取り戻されてから、私は中で外を見ることしかできていなかった。
未だにタマシイは私の手にある。しかし、今ではフリスクが思うままに身体を動かし、虐殺を繰り返していた。
何度殺し続けただろう。何度友人を斬り続けただろう。
裏切り者、なんて。そう思っていたのに、今ではアズにさえ縋りたい。
フリスクはタマシイを取り返すどころか、持っていろと言ってきた。ソウルレスから戻ればLOVEを上げる快楽も、戦いも楽しめなくなるからと。
ソウルレスだった私と同じ、いやそれ以上の悪魔に、フリスクはなってしまった。このモンスターを作ったのは、私だ。
何が裏切り者だ。何がモンスターたちを救うだ。
私がやったのは今なお笑いながらこちらを観測する怪物共よりもさらに許されざる行為だ。
でも何もできない。フリスクの言われるがままに殺し続け、あのコメディアンと戦う時だけ代わる。アレもフリスクを何度も止めようとして、殺され記憶を失う。最悪のループが起きていた。
もう、私は諦めた。二度と皆が笑い合うことなど無い。
そう、思っていた。
『よく決断してくれたな。辛いだろ、今まで積み重ねてきたことを無駄にするっていうのは…だがお前は、後悔して正しいことができた。お前は立派だ。オレが保証するよ』
だが、貴様は違った。真実を知ってもなお、お前はフリスクを、
私は気づけば、コメディアンの腕の中にいた。口から、『助けてくれ』などという言葉が出た。
奴は私を殺さなかった。
いつもと違う展開。もしや何かが変わったのか、地獄のループに希望の光が射し込んだのかと思った。
そう、まるで暗い泥の中から引っ張りあげられるように。
私の身体は外の様子を映す画面から飛び出した手に引っ張られ、鏡が割れるような音と共に色を認識した。
「成功したな」
いつの間にか、私がいるのは暗いセーブ画面ではなく。泣き付いたはずの、サンズの腕の中だった。
「あ…なんで……」
「簡単なことだよ、フリスク」
唖然とするフリスクへ、ガスターが微笑みながら事の次第を話した。
「ケツイ抽出装置は、対象のケツイだけを取り出すものというわけではない。タマシイをも取り出すことができる。君が話した内容を聞いて確信したよ。君はまだソウルレスだね?タマシイはキャラが持っている。であれば、装置の機能を少しばかり弄れば君から引きはがすことが可能だったというわけだ」
「へへへ、つまり今のお前さんはケツイのタマシイを持たない。ロードも何もできなくなったというわけだ」
サンズが腕を上げる。背後に大量のブラスターが展開される。フリスクはその場から逃れようとするが、青い骨が手足を貫いた。
「ちょ、ちょっと待ってよサンズ!こんな、まだ終わりたくない!もっと遊んで、もっと戦いたいんだよ!今回はもう終わりでいいからさ、リセットするから!」
「…言ったろフリスク。オレは、お前にさんざん止まるよう頼み、そして忠告したが、お前は聞く耳を持たなかった。そのツケが回ってきたんだ…ってな」
「……そっか。なら…仕方ないね?」
サンズは見た。絶体絶命の状態でフリスクの口が歪むのを。その手にケツイの光が握られていたのを。
咄嗟にキャラを重力操作でガスターへと押し付けた。
「な、サンズ!?」
「ぐっ、やむを得ないか」
そばで見ていたキャラもケツイの光に気が付いていたのか、ガスターに受け止められながらもサンズに手を伸ばす。しかし、すでにサンズとフリスクは光に飲まれていた。
「なら一泡吹かせれたかな?次のリセットで会おうね、サンズ」
「……はあ、いいぜ。とことん付き合ってやるよ、フリスク」
光は世界を飲み込んでいく。やがて二人の意識は溶け、再びその在り方を遡っていくのだった。
ガスターはキャラを抱え自分の部屋に転移することで、世界の再構成から逃れていた。彼はキャラを離すとすぐさまコードを入力し世界の観測にうつる。
「…何をしているんだ」
「今、世界がどうなっているのかを確認しているんだ。フリスクが行ったのは確かにリセットだった。けれど、ケツイのタマシイを持つ君を手放した状態で、残ったなけなしのケツイを使った強引なリセット。それがどのような結果をもたらしたのか想像もできないのでね。至近距離にいたサンズとフリスクには何かしらの影響があるだろう」
「そんな、二人は無事なのか!?」
キャラの問いかけにガスターが驚いたようにキャラへと振り返った。
「おや…」
「な、なんだっ」
「いや、サンズはともかくフリスクにまで気にかけていることに驚いてね…ああ、質問への返答は『わからない』の一択だ。今こうして世界と繋げようとしているのだけど…」
ガスターがコードを打ち込むと、エラー音とともにコードが赤く染まり消失する。
「どうやら新生した世界には、私が前回に使ったコードは合わないらしい。世界にこの部屋と接続ができない」
「なに!?どうするんだ!」
「フフフ、心配しないでくれ。もしものために緊急で繋げられるコードも用意してある。だがキッチリ整合が取れたものではないから、世界にいられる時間はかなり少ない。なんとか合うコードを見つけなければ」
ガスターが緊急用のコードを打ち込むと、部屋に扉が現れた。キャラはすぐさま扉を開け外へ出ようとしたが、ガスターはキャラの肩を掴んでそれを止めた。
「……何をする」
「なに、一度落ち着きたまへよ。今回は世界がどうなっているのかわからない。慎重に行くべきだ」
「そ、そうか。確かにそうだな」
ゆっくりと扉を開ける。そこはウォーターフェルの暗い岩肌の通路が広がっていたのだった。
「ここ…は……」
地下の奥深くにある花畑。そこにフリスクは倒れていた。
「……あれ?なんでここ……に…」
『ねえ、サンズ。ボクは後悔なんてしてないよ。このループはボクの意思でやっていることなんだ』
「え…あ……」
『ボクは無理やり虐殺を始めさせた。そして、ソウルレスの時のキャラのように増大する数字の感覚を味わって……満たされた』
「違う……」
『そろそろ気付いてよサンズィ?君が止めようとするから、ボクは余計に止まれなくなるんだよ?』
「ちが、違う…!こんなのボクじゃ…!」
『なぜって、殺すからだよ。世界を壊した後にリセットをするんだ。知ってるんでしょ?』
「あ…ああ……」
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
叫び散らかすフリスク。その中に、ケツイのタマシイが輝いていた。
スノーフルの町で、サンズはベッドから起き上がった。
「………………」
頭が痛い。まるで割れるようだ、ホントに割れたら一大事だがな。
「……いいや」
頭に手をやる。どういう訳か、ガスターから力を貰った時にできた割れ目が、まだそこにあった。
きっと、力をもらいグリッチを起こし過ぎたことで何らかのバグが生じたのか?……いや、そんなことはどうでもいい。
サンズはベッドに寝転がった。普段なら渋々仕事に出ている時間だというのに。いつも以上のダラケ具合い。
「……思い出しちまったよ、全部」
ガスターから話は聞いていた。それだけでも信じられないような事だったというのに。
今までのルートを全て思い出してしまった。
「………………」
もう、何もしたくない。諦めていたのに、そこにトドメを刺された。嫌だ、何もかも嫌だ。
『お前が簡単にやられるなんざこれっぽっちも思っていないが……どんな手段を使ってでも、お前を止めてやる』
「ああ、うん。そうだよな。こんな途中で止めちゃあオレらしくないよな、ははは」
ゆっくりとベッド起き上がる。フラフラとした足取りで、外を目ざした。
「へへ…へへへ……」
その眼孔には、狂気に染まった
狂ったように叫んだり笑うのって、PCで閲覧すると大して長くもないものになるんですね。スマホで書いているのでそんな落とし穴に気づけませんでした。
リクエストはこちら
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=275582&uid=345959
誰を出して欲しい?(近々出そうと思ってるキャラのみ記載)
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