《烏間 side》
─訓練の中間報告─
4ヶ月目に入るに当たり、
『可能性』がありそうな生徒が増えてきた。
『磯貝悠馬』と『前原陽斗』
運動神経が良く、仲もいい2人のコンビネーション。
2人がかりなら、俺にナイフを当てられるケースが増えてきた。
『赤羽業』
一見のらりくらりとしているが…その目には強い悪戯心が宿っている。どこかで俺に決定的な一撃を加え、赤っ恥をかかそうかなどと考えているが……
そう簡単にいくかな?
『真弓友』
1人だけ対先生ナイフを使わず、対先生日本刀を使っている。剣術道場に通っているため剣の扱いに長けている。模擬暗殺を行う度に新たな動きをしてくるため、裏でもかなり努力をしているのだろう。
『真弓新』
この中では1番暗殺の経験が少なく、まだナイフを当てるまでには至っていないが、アイドル活動をしているため体力があり、アクロバットの技を使って思わぬ動きを見せる。これからが楽しみな生徒だ。
女子は、体操部出身で意表を突いた動きができる『岡野ひなた』と、男子並みの
このあたりが
殺『そして殺せんせー。彼こそ、俺の理想の教師像だ。あんな人格者を殺すなんてとんでもない!』
烏間「人の思考を捏造するな。失せろ
『寺坂竜馬』『吉田大成』『村松拓哉』
こちらは未だに訓練に対して積極性を欠く。3人とも体格は良いだけに……彼らが本気を出せば大きな戦力になるのだが。
全体を見れば、生徒たちの暗殺能力は格段に向上している。この他には目立った生徒はいないものの……
ぬるり。
……!?後ろから強い殺気……!?
バシッ
渚「……うっ……いった…」
烏間「………!すまん。ちょっと強く防ぎすぎた。立てるか?」
渚「あ、平気です…」
杉野「ばっかでー。ちゃんと見てないからだ」
渚「う……見てたんだけどな」
『潮田渚』
小柄ゆえに多少はすばしっこいが、それ以外に特筆すべき身体能力は無い温和な生徒。
……気のせいか?
今感じた得体の知れない気配は……!
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《新 side》
烏間「それまで!今日の体育は終了!」
はぁ…ようやく終わったか…。
ダンスの練習や舞台の稽古よりもキツイぞ……。
木村「いやーしかし当たらん!」
岡島「スキ無さすぎだぜ烏間先生!」
倉橋「烏間せんせ〜!放課後街で皆でお茶してこーよ!」
新「丁度最近新しいお店出来たんですよ〜」
俺は自他ともに認めるかなりのスイーツ好きだ。
この前も1人でスイーツ店に行った。
ちゃんと変装したのにバレたけど……。
烏間「……ああ。誘いは嬉しいが、この後は防衛省からの連絡待ちでな」
三村「私生活でもスキがねーな……」
矢田「っていうより……私達との間にカベっていうか…一定の距離を保ってるような……」
倉橋「厳しいけど優しくて……私たちのこと大切にしてくれてるけど、でもそれってやっぱり……ただの任務だからに過ぎないのかな……」
殺「そんなことありません。確かにあの人は…先生の暗殺のために送り込まれた工作員ですが、彼にもちゃんと素晴らしい教師の血が流れていますよ」
新「………ん?なぁ、あそこにいる男の人、誰だ?」
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《友 side》
烏間先生と入れ替わるように俺らのグラウンドに、
大男が入ってきた。
鷹岡「やっ!俺の名前は鷹岡明!今日から烏間を補佐してここで働く!よろしくなE組の皆!これは、お土産だ!」
彼は持っていた袋を置き、中身を開いた
三村「な、なんだ?ケーキとか飲み物だ…!」
茅野「これ!『ラ・ヘルメス』のエクレアじゃん!」
不破「こっちは『モンチチ』のロールケーキ!」
友「不破もスイーツ好きなのか?」
不破「うん!1度食べてみたかったんだ!このロールケーキ!」
友「なんか意外だな。俺も同じやつ食べよっかな」
不破「うん!凄く美味しいって評判らしいから!」
中村(なんであんな距離近いのに付き合ってないの……。そもそも気付いてるのかどうかさえわかんないし!)
磯貝「いいんですか?こんな高いの…!」
新「大人気洋菓子店の限定品までありますよ!?」
鷹岡「おう食え食え!俺の財布を食うつもりで遠慮無くな!モノで釣ってるなんて思わないでくれよー?お前らと早く仲良くなりたいんだ!それには、皆で囲んでメシ食うのが1番だろ!」
この一言で、皆スイーツを食べだした。色んなスイーツがあるし、ちゃんと水まで用意してある。
矢田「でも、鷹岡先生よくこんな甘いものブランド知ってますね!」
鷹岡「ま、ぶっちゃけラブなんだ。砂糖がよ」
前原「デカい図体して可愛いな……」
新「ちょっ……!殺せんせーそれ俺のモンブランだぞ!!」
殺「にゅ……」
鷹岡「お〜殺せんせーも食え食え!!ま、いずれ殺すけどな!はっはっは!」
木村「同僚なのに烏間先生と随分違うスね」
原「なんか近所の父ちゃんみたいですよ?」
鷹岡「ははは!いいじゃねーか父ちゃんで!同じ教室にいるからには…俺たち、家族みたいなもんだろ?」
友「………」モグモグ
今の一言……。
なんだろう。少し気になる…。
不破「…?どうしたの友君?」
友「……ちょっといいか?不破」
不破「え?」
友「鷹岡先生、ちょっと教室に自分の水筒あるんで取ってきま〜す。不破も一緒に行こ」
不破「えっ、ちょ、ちょっと友君!」
鷹岡「…おう。早く戻ってこいよ」
友「…不破。ごめんな連れ出して。あの鷹岡先生って人……なんか違和感あるんだ」
不破「違和感……?」
友「ああ。皆には言ってなかったんだけど…俺は両親を亡くしてる」
不破「えっ……?」
友「悠馬と陽斗と航輝、あと多分殺せんせーは知ってるけど、他の奴らは知らない。新と二人暮ししてるのも、今の俺には新以外の家族がいないからだ」
不破「…………」
友「もし、俺が両親を亡くしているから、皆が持ってるものが欠けていて、それが原因で違和感を感じてるならいいんだけど、もし両親を亡くしているからこそ感じるものだとしたら…」
不破「…だとしたら……?」
友「あの人は……かなり危険だ」
不破「………!!」
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友「鷹岡先生戻りました〜」
鷹岡「おう!お前らが行ってる間に全部無くなっちまったぞ?だが安心してくれ。また買ってくるからよ!」
友「それはどうも…」
磯貝「明日から体育の授業は鷹岡先生が?」
鷹岡「ああ!烏間の負担を減らすための分業さ!あいつには事務作業に専念してもらう!大丈夫!さっきも言ったが俺達は家族だ!父親の俺を全部信じて任せてくれ!」
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鷹岡「よーし。皆集まったな!赤羽は……サボり魔ってのは聞いてるから仕方ないな。では、今日から新しい体育を始めよう!ちょっと厳しくなると思うが、終わったらまたウマいモン食わしてやるからな!」
中村「そんな事言って、自分が食いたいだけじゃないの?」
鷹岡「まーな……お陰様でこの横幅だ」
上手く皆の心を掴んでる……やっぱり昨日感じた違和感は気のせいだったのか……?
鷹岡「さて!訓練内容の一新に伴ってE組の時間割も変更になった!これを皆に回してくれ!」
菅谷「……時間割?……ってえ…!?」
時間割の内容は非常におぞましいものだった。
月〜金曜日は4時間目から10時間目まで訓練…
土曜日は2時間目から6時間目……
夜9時まで訓練だなんて………こんなの狂ってる!!
皆も…かなり驚いてる…!
鷹岡「このぐらいは当然さ……!この
前原「ちょっ……!待ってくれよ!」
明らかにおかしい時間割に陽斗が訴える……。
だが…こんな狂った時間割作るやつだ…!
抗議した所でどうにもならない……!
でも、こんなの許されてたまるかよ…!!
前原「勉強の時間これだけじゃ成績落ちるよ!遊ぶ時間もねーし…!出来るわけねーよこんなの!!」
『出来るわけない』と陽斗が言った瞬間…
鷹岡は陽斗の髪を掴み、腹に膝蹴りをした…。
前原「が……は…ッ」
鷹岡「出来ないじゃない…『やる』んだよ。言ったろ…?俺達は『家族』で、俺は『父親』だ。世の中に父親の命令を聞かない家族がどこにいる…?」
…………!!
鷹岡は狂った表情で話を続ける。
鷹岡「抜けたい奴は抜けてもいいぞ?その時は俺の権限で新しい生徒を補充する。けどな?俺はそういう事したくないんだ…。お前らは大事な家族なんだから。父親として家族皆で地球の危機を救おうぜ!なっ!」
そう言って、鷹岡は神崎の肩を掴む。
恐怖で支配するつもりかよ……!
鷹岡「な?お前は父ちゃんに着いてきてくれるよな…?」
神崎「は…はい……あの…。私……。私は嫌です。烏間先生の授業を希望します」
神崎……!
直後、バチッと凄まじい音が鳴った。
神崎が鷹岡に叩かれたのだ……!
杉野「神崎さんッ!!」
鷹岡「………お前らまだわかってないようだなぁ…『はい』以外は無いんだよ…。……なんだ?お前ら…その目は。そろそろ自分の立場を理解したらどうだ…?」
鷹岡が次に目をつけたのは……不破だ…!
不破「えっ………」
鷹岡「……なぁ。わかるよなぁ?」
鷹岡は拳を…不破に繰り出した。
ガッ……
無意識に体が動いた…。
鷹岡の拳が不破にあたる直前で止まった。
俺が鷹岡の背中に対先生日本刀を当てたからだ。
鷹岡「………何してんだ…?友……」
友「テメェこそ何してんだ……さっきから…俺の大切な人に……大切な
磯貝「……友!」
新(兄貴…!ブチギレてる……!)
鷹岡「どうやら…お仕置が必要だなァ!!」ドゴッ
友「ぐ……あっ…ッ!テメェだけはッ…許さねぇ……!!」
対先生日本刀を何度も振るうが、鷹岡の強靭な肉体には効いていないようだった。
鷹岡「そんだけかァ…?折角俺が…お前の親の代わりになろうとしたのになァ?『疫病神』クン!」
一同「…!?」
友「……!………許さねぇ…絶対にっ!!!」
そういって俺は精一杯の力を込め刀を振るった。
鷹岡「……ッ!!てめぇっ…!」
さっきよりも鷹岡は確実にダメージを受けた。
が、鷹岡は俺の事をいとも容易く蹴り飛ばした。
友「が…ぁ……ッ」
うずくまる俺に鷹岡が近付いてくる…!
鷹岡「てめぇ……父親に反抗しやがって……トドメの一撃を……」
まずい…このままじゃ…殺られ…
烏間「………そこまでだ。鷹岡。それ以上…生徒達に手荒くするな!暴れないなら…俺が相手を務めてやる…!」
友「烏間……先…生…。来るの…遅くないっすか…」
烏間「君達の担任が、友君の鷹岡に対する気持ちを尊重してやりたいと言ってな。だが結局助けるなら、忠告を聞かずにもっと早く助けるべきだった。すまない」
友「いい…っすよ…。むしろ…久々にあそこまで…キレたから…逆にストレス…発散出来たし…」
不破「友君ッ……!」
殺「友君…あまり喋らない方がいい。保健室へ運びます」ビュッ
不破「…………っ…」