真弓兄弟の暗殺教室   作:Ncwe?

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第27話 才能の時間

《新 side》

 

鷹岡に傷を負わされた兄貴がマッハで保健室に運ばれた……。

だが、さっきの鷹岡の『疫病神』……。

あんなの言われたら…そりゃブチギレる…。俺だってキレかけた。

 

鷹岡「……烏間!そろそろ横槍を入れてくる頃だと思ったぜェ?言ったろ烏間…?これは暴力じゃない。教育なんだ。暴力でお前とやり合う気は無い……。やるなら…あくまで教師としてだ!」

 

どういう事だ……?

 

鷹岡「お前らもまだ俺を認めてないだろう…。父ちゃんもこのままじゃ不本意だ…。そこでこうしよう!こいつで決めるんだ!」

 

磯貝「……ナイフ?」

 

鷹岡「烏間。お前が育てたこいつらの中でイチオシの生徒をひとり選べ。そいつが俺と闘い、1度でもナイフを当てられたら……お前の教育は俺より優れていたのだと認めよう……。その時はお前に訓練に全部任せて出てってやる!男に二言はねぇ!」

 

それを聞いて一部の生徒がやる気になる。

当然だ。クラス全員が出ていって欲しいと思ってるんだから。

 

鷹岡「だが……使うナイフは対先生(これ)じゃない。殺す相手人間(オレ)がなんだ……使う刃物も…本物じゃなくちゃなァ!!」

 

鷹岡が手にしているのは……本物のナイフ…!

皆の顔が一気に青ざめた……。

 

烏間「よせっ!彼らは人間を殺す訓練も用意もしていない!」

 

鷹岡「安心しな…寸止めでも当たった事にしてやるよ。俺は素手だし、これ以上無いハンデだろ…?さぁ!烏間!ひとり選べよ!嫌なら無条件で俺に降伏だぁ!生徒を見捨てるか!生贄として差し出すか!どっちみち酷い教師だなお前は!!はっははー!!」

 

こんなの無理に決まってる……!

こんなの……烏間先生は……一体誰を……

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《烏間 side》

 

俺は……まだ迷っている。

 

地球を救う暗殺者を育てるには……奴のような容赦のない教育こそ必要ではないのか?

 

……この教育(職場)についてから迷いだらけだ。

 

仮にも鷹岡は精鋭部隊に属した男。訓練3ヶ月の中学生の

(ナイフ)が届くはずがない。

 

その中で1人だけ……

 

わずかに『可能性』がある生徒を……

 

危険にさらしていいものかも迷っている……。

 

烏間「……渚君…。やる気はあるか?」

 

杉野(なっ……)

 

新(なんで渚を………!?)

 

烏間「選ばなくてはならないなら恐らく君だが……返事の前に俺の考え方を聞いて欲しい。地球を救う暗殺任務を依頼した側として…俺は君達とはプロ同士だと思っている。プロとして君達に払うべき最低限の報酬は、当たり前の中学生活を保障する事だと思っている。だから、このナイフは無理に受け取る必要はない。その時は俺が鷹岡に頼んで……『報酬』を維持してもらうよう努力する」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《渚 side》

 

僕は、この人の目が好きだ。

こんなに真っ直ぐ目を見て話してくれる人は家族にもいない。

 

立場上、僕らに隠し事も沢山あるだろう。

 

何で僕を選んだのかもわからない。

 

けどこの先生が渡す(ナイフ)なら信頼できる。

 

それに、神崎さんと前原君、友君のこと…

 

せめて一発返さなきゃ気が済まない。

 

渚「……やります」

 

僕は烏間先生からナイフを受け取った。

 

 

鷹岡「お前の目も曇ったなァ烏間。よりよってそんなチビを選ぶとは」

 

烏間「渚君。鷹岡は素手対ナイフの闘い方も熟知している。全力で振らないとかすりもしないぞ」

 

渚「……はい」

 

烏間「いいか。ナイフを当てるか寸止めすれば君の勝ち。君を素手で制圧すれば鷹岡の勝ち。それが奴の決めたルールだ。だがこの勝負、君と奴の最大の違いはナイフの有無じゃない。わかるか?」

 

渚「……?」

 

 

イリーナ「カラスマの奴…頭が変になったのかしら?なんであそこで渚を出すのよ?」

殺「見てればわかります。烏間先生が出した答えは正しいですよ。あの条件なら、私でも渚君を指名するでしょう。……いずれにせよ、勝負は一瞬で決めるでしょうね」

 

 

菅谷「おい…渚のナイフが当たると思うか…?」

 

木村「無理だよ…烏間先生と訓練してりゃ、嫌でもわかる…」

 

三村「まして…本物のナイフなんて使えるはずが……!」

 

茅野(……渚!)

 

 

 

鷹岡「さぁ……来い!!」

 

 

鷹岡(公開処刑だ…!全力で攻撃を躱してからいたぶり尽くす!生徒全員が俺に恐怖し、俺の教育に従うようにな……)

 

 

僕は、烏間先生の言葉を思い出した。

 

 

『いいか。鷹岡にとってのこの勝負は『戦闘』だ。目的が見せしめだからだ。二度と皆を逆らえなくする為には…攻防ともに自分の強さを見せつける必要がある。対して君は『暗殺』だ。強さを示す必要も無く、ただ1回当てればいい。そこに君の勝機がある。奴は君にしばらくの間に好きに攻撃させるだろう。それらを見切って戦闘技術を誇示してから、じわじわと君を嬲りにかかるはずだ。つまり、反撃の来ない最初の数撃が最大のチャンス。君ならそこを突けると思う』

 

渚「………ッ…!」

 

鷹岡(そろそろ気付いたな…?刃物を持つとはどういう事か…。『本物のナイフで人を刺したら死んじゃうよ……こんなの、本気で使えるわけがない!』と…俺はな、それに気付いて青ざめるド素人の顔が大好きなんだァ…さぁ見せろ…!絶望の顔を…!!)

 

渚「…………」

 

僕は、本物のナイフを手に、

どう動けばいいのか少し迷って…

烏間先生のアドバイスを思い出した。

 

そうだ。闘って勝たなくていい。

 

 

 

───殺せば 勝ちなんだ───

 

 

だから僕は、笑って普通に近付いた。

通学路を歩くみたいに──

普通に─

 

鷹岡先生の腕に僕の体がポンと当たる。

 

そして……ナイフを鷹岡先生に向けて振った。

 

ここで初めて鷹岡先生は気付いたみたいだ。

自分が殺されかけている事に。

 

鷹岡先生はギョッとして体勢を崩した。

 

誰だって殺されかけたらギョッとする。

 

殺せんせーでもそうなんだから。

 

重心が後ろに偏ってたから、

服を引っ張ったら転んだので……

 

 

仕留めに行く。

 

正面からだと防がれるので、

 

背後に回って…確実に……。

 

ピタッ……

 

鷹岡先生の首元に…ナイフが当たった。

 

渚「……捕まえた」

 

一同(……!!!)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《烏間 side》

 

なんて事だ……!

 

予想を遥かに上回った……!!

 

普通の学校生活では、絶対に発掘される事の無い才能!!

 

殺気を隠して近付く才能!

 

殺気で相手を怯ませる才能!

 

『本番』に物怖じしない才能!

 

俺が訓練で感じた寒気は………!

 

あれが訓練じゃなく、本物の暗殺だったら……!!

 

戦闘の才能でも、

暴力の才能でもない!

 

暗殺の才能!!

 

これは…咲かせても良い才能なのか……!?

 

渚「あ…あれ?峰打ちじゃダメなんでしたっけ…?」

 

殺「そこまで!勝負ありですよね?烏間先生。全く!本物のナイフを生徒に持たすなど、正気の沙汰ではありません。怪我でもしたらどうするんですか」

 

…ケガしそうならマッハで助けに入っただろうが。

 

それにしても…

 

杉野「やったじゃん渚!」

 

茅野「ほっとしたよもー!」

 

岡島「大したモンだよ!」

 

磯貝「よくあそこで本気でナイフ振れたよな!」

 

渚「いや、烏間先生に言われた通りやっただけで……鷹岡先生強いから、本気で振らなきゃ驚かす事なら出来ないかなって…………いった!」パチーン

 

前原「………」

 

渚「なんで叩くの前原君!?」

 

前原「あ、悪い。ちょっと信じられなくてさ。でもサンキュな渚!今の暗殺スカッとしたわ!」

 

新「渚……ありがとな!兄貴にも後で伝えとくぜ!お前の活躍!」

 

渚「ちょ、ちょっと……」

 

ああしてると、とても彼が強くは見えない。

 

だからこそ、鷹岡はまんまと油断し反応が遅れた。

 

暗殺者にとっては、『弱そう』な事はむしろ立派や才能なのだ!

 

更に、自然に近付く体運びのセンス。敵の力量を見て急所を狙える思い切りの良さ……。

 

 

暗殺でしか…使えない才能……!

 

 

だが、喜ぶべき事なのか…!?

 

このご時世に暗殺者の才能を伸ばしたとして、E組(ここ)ではともかく、彼の将来にプラスになるのか?

 

考えていると、左肩にぶにゅんとした感覚……

 

殺「今回は随分迷ってばかりいますねぇ。あなたらしくない」

 

烏間「…悪いか」

 

殺「いえいえ。でもね、烏間先生」

 

奴が指を指した先では、鷹岡がいた。

 

渚君に強い殺気を放っている。

 

鷹岡「このガキ…!父親も同然の俺に刃向かって……!まぐれの勝ちがそんなに嬉しいか!もう1回だ!!今度は絶対油断しねぇ!!心も体も全部残らずへし折ってやる…!!」

 

助けに行かねばと向かおうとすると、奴が俺の肩を抑えた…。

それと同時に、渚君が話し出した。

 

渚「…確かに。次やったら絶対に僕が負けます。でも、はっきりしたのは鷹岡先生…。僕らの『担任』は殺せんせーで、僕らの『教官』は烏間先生です。これは、絶対に譲れません。父親を押し付ける鷹岡先生より、プロに徹する烏間先生の方が、僕はあったかく感じます。」

 

……!!

 

渚「本気で僕らを強くしようとしてくれてたのは感謝してます。でもごめんなさい。出ていって下さい」

 

鷹岡「……!!」

 

 

イリーナ「じゃあ私はあんたらのなんなのよ」

 

竹林「僕らのビッチです」

 

イリーナ「殺す…!」

 

 

殺「先生をしてて一番嬉しい瞬間はね、迷いながら自分が与えた教えに……生徒がはっきり答えを出してくれた時です。そして烏間先生……生徒がはっきり出した答えには、先生もはっきり応えなくてはなりませんねぇ…」

 

鷹岡「黙って聞いてりゃあ……ガキの分際でぇっ!!!」

 

鷹岡は渚君に殴りかかった……。

そして、俺は鷹岡を肘打ちで止めた。

 

鷹岡はそのまま地面に倒れた。

 

烏間「…俺の身内が迷惑かけてすまなかった。後の事は心配するな。俺一人で君達の教官を務められるよう、上の交渉する。いざとなれば、銃で脅してでも許可をもらうさ」

 

 

理事長「……交渉の必要はありません」

 

烏間「…!!理事長…!?」

 

まずい…この男の教育理念からすると…

E組を消耗させる鷹岡の続投を望むのか…?

 

理事長「…新任の先生の手腕に興味があったのでね。様子を見に来ました。……でもね鷹岡先生…。あなたの授業はつまらなかった。教育に恐怖は必要です。一流の教育者は恐怖を巧みに使いこなす。が、暴力でしか恐怖を与える事ができないなら、その教師は三流以下だ。解雇通知です。以後…あなたはここで教えることは出来ない。椚ヶ丘中(ここ)の教師の任命権な防衛省(あなた方)には無い。全て、私の支配下だと言うことをお忘れなく」

 

鷹岡「………!」ダッ ダダダ

 

鷹岡はそのまま去ってしまった。

 

木村「鷹岡クビ…」

 

千葉「てことは、今まで通り烏間先生が…!」

 

一同「よっしゃあ!」

 

鷹岡を切ることで誰が支配者かを明確に示した。

どう転ぼうが奴の掌の上と言うことか……。

 

殺「相変わらずあの人の教育には迷いが無いですね…」

烏間「…例えばお前は、『将来は殺し屋になりたい』と彼が言ったら、それでも迷わずに育てるのか?……彼自身は気付いてないが、その才能がある。お前の暗殺に役立つかは疑問だが、人間相手なら有能な殺し屋になれるだろう」

 

殺「……答えに迷うでしょうね。ですが、良い教師は迷うものです。本当に自分はベストの答えを教えているのか……。内心は散々迷いながら、生徒の前では毅然として教えなくてはいけない。決して迷いを悟られぬよう…堂々とね。だからこそカッコいいんです。先生っていう職業は…ね」

 

……俺も。暗殺(この)教室で熱中(ハマ)ってしまっているのかもな。

 

迷いながら人を育てる面白さに…。

 

 

 

 

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