《友 side》
翌日、寺坂は昼になっても登校して来なかった。
殺せんせーは──
殺「ぐすっ…ぐすっ…」
何故か泣いていた……。
イリーナ「…なによ。さっきから意味も無く涙流して」
殺「……いいえ。鼻なので涙じゃなくて鼻水です…目はこっち」
イリーナ「まぎらわしい!!」
目と鼻が近くにある上に小さいため非常に分かりづらい。
殺「どうも昨日から体の調子が少し変です……。夏風邪ですかねぇ…」
超生物も夏風邪引くんだ……。
寺坂「…」ガララ
すると、教室の扉が開いた。寺坂だ。
殺「おお寺坂君!!今日は登校しないのかと心配でした!」
先生…鼻水飛び散ってるんですけど。
殺「昨日君がキレた事ならご心配なく!もう皆気にしてませんよ!ね?ね?」ブチョォオォ
不破「う…うん…」
友「汁まみれになっていく寺坂の顔の方が気になるよ…」
新「食事中なんですけど…」
殺「昨日1日考えましたがやはり本人と話すべきです。悩みがあるなら後で聞かせてもらえませんか?」
寺坂「………おいタコ。そろそろ本気でブッ殺してやンよ。放課後プールへ来い。弱点なんだってなぁ?水が。てめーらも全員手伝え!俺がこいつを水ン中に叩き落としてやッからよ!!」
寺坂は皆を見渡すが、誰一人答えない。
無理もないだろう。
前原「……寺坂。お前、ずっと皆の暗殺には協力して来なかったよな。それをいきなりお前の都合で命令されて……皆が皆ハイやりますって言うと思うか?」
陽斗の言う通りだ。恐らく1人も手伝うやつはいないだろう。
寺坂「ケッ。別にいいぜ来なくても。そん時は俺が賞金100億独り占めだ」ピシャッ
そう言って寺坂は教室を出ていってしまった。
吉田「なんなんだよあいつ……」
村松「もう正直ついてけねーわ」
倉橋「私行かなーい」
岡野「…同じく」
千葉「俺も今回はパスかな」
俺も勿論行かない。というかプール使う作戦って時点でやる気がない。
『トラウマ』を思い出したくないからだ。
殺「皆行きましょうよぉ」
は?足が動かない…!?
杉野「うわ!?粘液に固められて逃げられねぇ!!」
友「気持ち悪!!」
殺「折角寺坂君が私を殺る気になったんです。皆で一緒に暗殺して気持ち良く仲直りです」ドロドロ
一同「まずあんたが気持ち悪い!!」
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《渚 side》
渚「寺坂君!」
新「寺坂!」
僕は新君と教室を出ていった寺坂君を追った。
なんか…教室から凄い悲鳴が聞こえるけど………。
渚「本気で殺るつもりなの?」
寺坂「んだ渚、新。当たり前じゃねーか」
渚「だったら、ちゃんと皆に具体的な計画話した方が……」
新「1回しくじったら、同じ手は使えないんだぞ」
寺坂「……うるせぇよ。弱くて群れるばっかの奴らが…本気で殺すビジョンも無いくせによ。俺はテメーらとは違う。楽して殺るビジョンを持ってんだよ」
寺坂君は『計画』に自信を持ってる様子だったけど、『自分』に自信を持ってるようには見えなくて…
喋る言葉もなんだか借り物のようで…
チグハグさに胸騒ぎがした…
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《新 side》
寺坂「よーし!そうだ!そんな感じでプール全体に散らばっとけ!」
俺たちは寺坂の言う通りにプールに入っている。
兄貴は勿論いない。ついでにカルマも。
竹林「疑問だね僕は……。君に他人を泳がせる器量なんてあるのかい?」
寺坂「うるせー竹林!とっとと入れ!」ドン
寺坂は竹林を蹴り飛ばしてプールへと突き落とす。
木村「すっかり暴君だぜ…寺坂の奴」
三村「ああ。あれじゃ一年二年の頃と同じだ。学年中の嫌われ者。浮きすぎなんだよ…この学校じゃ」
寺坂が皆に指示していると、いつの間にか殺せんせーが寺坂の背後に立っていた。
殺「なるほど。先生を水に落として皆に刺させる計画ですか。それで君はどうやって先生を落とすんです?ピストル一丁では先生を一歩すら動かせませんよ?」
寺坂「……覚悟は出来たかモンスター」
殺「勿論出来てます。鼻水も止まったし」
寺坂は殺せんせーにピストルを突きつける。
寺坂「…ずっとテメーが嫌いだったよ。消えて欲しくてしょうがなかった」
殺「ええ知ってます。
凄いナメてる……。
寺坂(ナメやがって……!来い……『イトナ』!!)
寺坂はピストルの引き金を引く。
すると、プールの水を塞き止めていた堰が爆発し、俺たちは水で流されてしまった……!
寺坂「え……お…おい…!ウソ…だろ…!?」
渚「うわっぷ……!」
磯貝「ヤバい…流され……っ!」
殺(何者かがプールの堰を爆破した!誰が何のために!?それより早く全員を引き上げねば!この先は険しい岩場!溺れるか落下するかで死んでしまう!)
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《友 side》
今の爆発音は……プールの方から!!
寺坂…。いや、多分だけど寺坂は何者かに踊らされていただけだ……!
……!川が氾濫してる…!?
さっきの爆発音は…プールの堰を破壊した音か!!
皆が危ない…!!
寺坂は皆をプールに入れるって言ってた!
つまり、水と共に皆も流されて……!!
……!あそこの岩に誰か捕まってる……!
不破「うっ…や、やばい……流され……」
……不破!!
早く助けに行かないと…!
でも…水……が…。
ドクン…
水………が……。
ドクン…
もう…失い…たくない…。
ドクン…
失う…のは…もう……いやだ……。
ドクン…
でも…足が…動かな……。
不破「もう…限…界……手が……」
不破は岩を掴んでいた手を離してしまった…。
不破「だめ……誰か……」
友「不破ッ!!!!」
不破「……友…君…?」
俺は…とっさに水に飛び込んで右手で不破の手を、左手でさっきまで不破が掴んでいた岩を掴んだ。
水が怖い……でも、
失うのはもっと怖い……!!
友「……死なせはしないッ…!絶対……!」
不破「友君…!水が…苦手…なんじゃ……」
友「……不破…の…ため…だ……」
まずい…俺も体力の限界が来ている。
いや、体力というより、『精神』の……
ビュン!!
友「……!!」
不破「わっ……!」
俺と不破の体にふやけた触手が巻き付き、触手は猛スピードで俺らを陸へと運んだ。
殺せんせー……来るのが…遅せぇ…よ……。
俺の意識は、ここで途絶えてしまった。