真弓兄弟の暗殺教室   作:Ncwe?

33 / 87
第32話 ビジョンの時間

《友 side》

 

翌日、寺坂は昼になっても登校して来なかった。

 

殺せんせーは──

 

殺「ぐすっ…ぐすっ…」

 

何故か泣いていた……。

 

イリーナ「…なによ。さっきから意味も無く涙流して」

 

殺「……いいえ。鼻なので涙じゃなくて鼻水です…目はこっち」

 

イリーナ「まぎらわしい!!」

 

目と鼻が近くにある上に小さいため非常に分かりづらい。

 

殺「どうも昨日から体の調子が少し変です……。夏風邪ですかねぇ…」

 

超生物も夏風邪引くんだ……。

 

寺坂「…」ガララ

 

すると、教室の扉が開いた。寺坂だ。

 

殺「おお寺坂君!!今日は登校しないのかと心配でした!」

 

先生…鼻水飛び散ってるんですけど。

 

殺「昨日君がキレた事ならご心配なく!もう皆気にしてませんよ!ね?ね?」ブチョォオォ

 

不破「う…うん…」

 

友「汁まみれになっていく寺坂の顔の方が気になるよ…」

 

新「食事中なんですけど…」

 

殺「昨日1日考えましたがやはり本人と話すべきです。悩みがあるなら後で聞かせてもらえませんか?」

 

寺坂「………おいタコ。そろそろ本気でブッ殺してやンよ。放課後プールへ来い。弱点なんだってなぁ?水が。てめーらも全員手伝え!俺がこいつを水ン中に叩き落としてやッからよ!!」

 

寺坂は皆を見渡すが、誰一人答えない。

無理もないだろう。

 

前原「……寺坂。お前、ずっと皆の暗殺には協力して来なかったよな。それをいきなりお前の都合で命令されて……皆が皆ハイやりますって言うと思うか?」

 

陽斗の言う通りだ。恐らく1人も手伝うやつはいないだろう。

 

寺坂「ケッ。別にいいぜ来なくても。そん時は俺が賞金100億独り占めだ」ピシャッ

 

そう言って寺坂は教室を出ていってしまった。

 

吉田「なんなんだよあいつ……」

 

村松「もう正直ついてけねーわ」

 

倉橋「私行かなーい」

 

岡野「…同じく」

 

千葉「俺も今回はパスかな」

 

俺も勿論行かない。というかプール使う作戦って時点でやる気がない。

『トラウマ』を思い出したくないからだ。

 

殺「皆行きましょうよぉ」

 

は?足が動かない…!?

 

杉野「うわ!?粘液に固められて逃げられねぇ!!」

 

友「気持ち悪!!」

 

殺「折角寺坂君が私を殺る気になったんです。皆で一緒に暗殺して気持ち良く仲直りです」ドロドロ

 

一同「まずあんたが気持ち悪い!!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《渚 side》

 

渚「寺坂君!」

 

新「寺坂!」

 

僕は新君と教室を出ていった寺坂君を追った。

 

なんか…教室から凄い悲鳴が聞こえるけど………。

 

 

渚「本気で殺るつもりなの?」

 

寺坂「んだ渚、新。当たり前じゃねーか」

 

渚「だったら、ちゃんと皆に具体的な計画話した方が……」

新「1回しくじったら、同じ手は使えないんだぞ」

 

寺坂「……うるせぇよ。弱くて群れるばっかの奴らが…本気で殺すビジョンも無いくせによ。俺はテメーらとは違う。楽して殺るビジョンを持ってんだよ」

 

寺坂君は『計画』に自信を持ってる様子だったけど、『自分』に自信を持ってるようには見えなくて…

 

喋る言葉もなんだか借り物のようで…

チグハグさに胸騒ぎがした…

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《新 side》

 

寺坂「よーし!そうだ!そんな感じでプール全体に散らばっとけ!」

 

俺たちは寺坂の言う通りにプールに入っている。

 

兄貴は勿論いない。ついでにカルマも。

 

竹林「疑問だね僕は……。君に他人を泳がせる器量なんてあるのかい?」

 

寺坂「うるせー竹林!とっとと入れ!」ドン

 

寺坂は竹林を蹴り飛ばしてプールへと突き落とす。

 

木村「すっかり暴君だぜ…寺坂の奴」

 

三村「ああ。あれじゃ一年二年の頃と同じだ。学年中の嫌われ者。浮きすぎなんだよ…この学校じゃ」

 

寺坂が皆に指示していると、いつの間にか殺せんせーが寺坂の背後に立っていた。

 

殺「なるほど。先生を水に落として皆に刺させる計画ですか。それで君はどうやって先生を落とすんです?ピストル一丁では先生を一歩すら動かせませんよ?」

 

寺坂「……覚悟は出来たかモンスター」

 

殺「勿論出来てます。鼻水も止まったし」

 

寺坂は殺せんせーにピストルを突きつける。

 

寺坂「…ずっとテメーが嫌いだったよ。消えて欲しくてしょうがなかった」

 

殺「ええ知ってます。暗殺(この)後でゆっくり2人で話しましょう」

 

凄いナメてる……。

 

寺坂(ナメやがって……!来い……『イトナ』!!)

 

寺坂はピストルの引き金を引く。

すると、プールの水を塞き止めていた堰が爆発し、俺たちは水で流されてしまった……!

 

 

寺坂「え……お…おい…!ウソ…だろ…!?」

 

渚「うわっぷ……!」

 

磯貝「ヤバい…流され……っ!」

 

殺(何者かがプールの堰を爆破した!誰が何のために!?それより早く全員を引き上げねば!この先は険しい岩場!溺れるか落下するかで死んでしまう!)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《友 side》

 

今の爆発音は……プールの方から!!

 

寺坂…。いや、多分だけど寺坂は何者かに踊らされていただけだ……!

 

……!川が氾濫してる…!?

 

さっきの爆発音は…プールの堰を破壊した音か!!

 

皆が危ない…!!

寺坂は皆をプールに入れるって言ってた!

つまり、水と共に皆も流されて……!!

 

……!あそこの岩に誰か捕まってる……!

 

 

不破「うっ…や、やばい……流され……」

 

……不破!!

 

早く助けに行かないと…!

 

でも…水……が…。

 

ドクン…

 

水………が……。

 

ドクン…

 

もう…失い…たくない…。

 

ドクン…

 

失う…のは…もう……いやだ……。

 

ドクン…

 

でも…足が…動かな……。

 

 

不破「もう…限…界……手が……」

 

不破は岩を掴んでいた手を離してしまった…。

 

不破「だめ……誰か……」

 

 

 

 

 

 

友「不破ッ!!!!」

 

不破「……友…君…?」

 

俺は…とっさに水に飛び込んで右手で不破の手を、左手でさっきまで不破が掴んでいた岩を掴んだ。

 

水が怖い……でも、

 

失うのはもっと怖い……!!

 

友「……死なせはしないッ…!絶対……!」

 

不破「友君…!水が…苦手…なんじゃ……」

 

友「……不破…の…ため…だ……」

 

まずい…俺も体力の限界が来ている。

 

いや、体力というより、『精神』の……

 

ビュン!!

 

友「……!!」

不破「わっ……!」

 

俺と不破の体にふやけた触手が巻き付き、触手は猛スピードで俺らを陸へと運んだ。

 

殺せんせー……来るのが…遅せぇ…よ……。

 

俺の意識は、ここで途絶えてしまった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。