真弓兄弟の暗殺教室   作:Ncwe?

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第33話 水遊びの時間

《不破 side》

 

友君と殺せんせーのお陰で何とか流されずにすんだ……。

 

不破「はぁ…はぁ…友君…ありが……と……?」

 

友君は、私の前でぐったりと倒れている。

 

不破「嘘……でしょ…?友君…?ねぇ!友君…!」

 

何度も揺さぶるが起きない。

幸い呼吸はしているから死んではいないようだ。

 

不破「どうしよう……。ここに置いてけないし…。誰もいないし…。」

 

私は、あの時の事を思い出した。

 

初めて休日に友君と会った時のこと。

 

剣術道場に連れて行ってもらって、悪い人たちが来て、そのせいで私が足を怪我してしまったこと。

 

そしてその後、友君が私をおぶって家まで送ってくれたこと…。

 

不破「…やらなきゃ。私が…!」

 

私は友君を背中におぶる。

 

皆がどこにいるのか分からないけど……。

 

その時、微かだけど殺せんせーの声がした。

 

私はそっちに向かった。

友君をおぶってるし、さっきので疲れてるからかなり遅いけど…。

諦めずに前へ進んだ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《新 side》

 

殺せんせーは俺達を何とか救った。

 

だが、そのせいで水をかなり吸っている。

 

その時…殺せんせーの足に、白い触手が結びついた。

 

杉野「おい…あれって…!」

 

新「……知ってるのか?」

 

渚「…うん。新君の前に来た…転校生暗殺者……!」

 

転校生……。

 

そうか…『堀部糸成』!

そして、その保護者の…名前は確か『シロ』…!

 

殺せんせーは触手によって、水の中に叩きつけられる。

 

 

シロ「はい。計算通り。久しぶりだね。殺せんせー」

 

殺「………!」

 

シロ「ちなみに、君が吸ったのはただの水じゃない。触手の動きを弱める成分が入っている。寺坂君にプール上流から薬剤を混入させておいた。前にも増して積み重ねた数々の計算……。他にもあるが、戦えばすぐ分かるよ」

 

イトナ「…さぁ兄さん。どっちが強いか…。改めて決めよう」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《寺坂 side》

 

俺は、自分が強いと思ってた。

 

ろくにケンカもした事は無いが、ガタイと声がデカいだけで大概の事は有利に運んだ。

 

クラス内の弱そうな奴にターゲットを決めて支配下に置く……。

 

小学校じゃそれだけで一定の地位を保っていられた。

 

たまたま勉強も出来たんで、私立の進学校に行く事にした。深く考えず、いつもの調子で楽勝だと思ってた。

 

 

だけど……この学校じゃ…その生き方は通じなかった。

 

俺の持っていた安物の武器は、ここじゃ一切役立たないと悟った。しかも、多分これから一生そうなんだと。

 

本校舎の連中みたく、先々を見据えて努力するやつが、大人になって俺みたいな無計画な奴を支配するんだ。

 

落ちこぼれのE組に落ちて、同じような目的の無い連中と楽に暮らせると思ってたら、そこでも違った。

 

いきなりモンスターがやってきて、クラスにデカい目的を与えちまった。

 

取り残された俺はここでも、目的があって計算高い奴に操られて使われていた。

 

寺坂「………クソッ!!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《新 side》

 

イトナは触手を使い、殺せんせーに攻撃を仕掛け続ける。

 

殺(早い…!重い…!前よりも遥かに…!)

 

シロ「触手の数を減らし、その分パワーとスピードを集中させた。単純な子供でも操りやすい。……片や君は全身濡れてますます動きが鈍ってきた。『心臓』を破壊するのも時間の問題だ」

 

殺せんせーはかなり水で膨らんでる…!

水を含むとああなるのか…!

 

岡島「マジかよ…。あの爆破はあの2人が仕組んでただなんて……」

 

片岡「でも押されすぎな気がする……。あの程度の水のハンデは何とかなるんじゃ?」

 

寺坂「……水だけのせいじゃねー」

 

磯貝「寺坂…!」

 

寺坂「力を発揮できねーのは、お前らを助けたからよ。見ろ。タコの頭上」

 

殺せんせーとイトナの攻防の上では、

 

影に捕まる村松、吉田、そして木の枝に捕まる原がいた。

 

新「助け上げた場所が…触手の射程範囲内に…!」

 

寺坂「ああ。原はヘヴィでふとましいから危険だぞ…。あいつらの安全に気を配るから尚一層集中出来ない……あのシロの奴ならそこまで計算してるだろうさ…。恐ろしいやつだよ……」

 

前原「呑気に言ってんじゃねーよ寺坂!!原たち、あれマジで危険だぞ!お前ひょっとして…今回の事全部奴らに操られてたのかよ!?」

 

寺坂「……フン。あーそうだよ!目標もビジョンも無ぇ短絡的な奴は…頭の良い奴に操られる運命なんだよ……。だがよ、操られる相手ぐらいは選びてぇ!奴らはもう懲り懲りだ。賞金持ってかれるのもやっぱり気に入らねぇ!……だからカルマ!テメーが俺を操ってみろや!」

 

寺坂はカルマの胸をドンと叩いて話し続ける。

 

寺坂「その狡猾なオツムで俺に作戦与えてみろ!完璧に実行してあそこにいるのを助けてやらァ!」

 

カルマ「良いけど…実行出来んの?俺の作戦……死ぬかもよ?」

 

寺坂「やってやんよ……。こちとら実績持ってる実行犯だぜ?どんな作戦だ?言ってみろ」

 

カルマ「え、まだ思いついてないけど」

 

一同「思いついて無いのかよ!!」

 

さっきの言い方既に思いついてるやつの言い方だろ!

 

 

 

カルマ「………思いついた!原さんは助けずにほっとこう!」

 

一同「……………は?」

 

寺坂「おいカルマ…ふざけてんのか!?原が一番危ねーだろうが!!ふとましいから身動き取れねーし!ヘヴィだから枝も折れそうだ!」

 

うん…多分それ全部原に聞こえてるぞ…?

 

カルマ「……寺坂、昨日の同じシャツ着てんだろ?」

 

寺坂「……あ、ああ」

 

マジかよ……汚ねぇ…

 

カルマ「ズボラだよなー。やっぱお前悪巧みとか向いてないわー。…でもな。お前は頭はバカでと体力と実行力持ってるから……お前を軸に作戦立てるの面白いんだ。俺を信じて動いてよ……。悪いようにはならないから」

 

寺坂「…………バカは余計だ。いいから早く指示よこせ!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

寺坂はカルマの指示通りにイトナ達の方へと向かう。

 

シロ「さて…足元の触手も水を吸って動かなくなってきたね。トドメにかかろうイトナ。邪魔な触手を全て落とし、その上で心臓を……」

 

寺坂「おいシロ!イトナ!!」

 

シロ「寺坂君か……。近くに来たら危ないよ」

 

寺坂「よくも俺を騙してくれたな…!」

 

シロ「まぁそう怒るなよ。ちょっとクラスメイトを巻き込んじゃっただけじゃないか。E組で浮いてた君にとっちゃ丁度いいだろ」

 

寺坂「うるせぇ!てめーらは許さねぇ!」

 

寺坂は自分の来ているシャツを脱ぎ、自分の前に出す。

 

寺坂「イトナ!テメェ俺とタイマン張れや!!」

 

殺「止めなさい寺坂君!君が勝てる相手じゃない!」プクー

 

寺坂「すっこんでろふくれダコ!!」

 

シロ「……クス…。布キレ1枚でイトナの触手を防ごうとは…健気だねぇ。……黙らせろイトナ。殺せんせーに気をつけながら…ね。」

 

 

 

渚「カルマ君…!」

 

カルマ「いーんだよ。死にゃしない。あのシロは俺達生

徒を殺すのが目的じゃない。生きてるからこそ殺せんせーの集中を削げるんだ。原さんも一見超危険だけど、イトナの攻撃の的になる事はないだろう。例え下に落ちても……殺せんせーは見捨てないのは体験済みだし……だから寺坂にも言っといたよ……」

 

寺坂はイトナの触手による攻撃を食らう。

 

カルマ「気絶する程度の触手は喰らうけど、逆に言えばスピードやパワーもその程度。死ぬ気で喰らいつけって……」

 

寺坂は…まだ耐えている……。

自分のシャツでイトナの触手をガッチリと掴んでいる。

 

シロ「よく耐えたねぇ…。ではイトナ。もう1発あげなさい。背後のタコに気をつけながら……」

 

イトナ「……くしゅん!」

 

シロ「……!?」

 

イトナはくしゃみを連発し、鼻水も出ている。

 

カルマ「寺坂のシャツが昨日と同じってことは…昨日寺坂が教室に撒いた変なスプレー、アレの成分を至近距離でたっぷり浴びたシャツってことだ。それって、殺せんせーの粘液ダダ漏れにした成分でしょ?イトナだってタダで済むはずがない。……で、イトナに一瞬でも隙を作れば、原さんはタコが勝手に助けてくれる」

 

カルマの言う通り、原は殺せんせーによって救出されている。

 

寺坂「…吉田!村松!お前らはそこから飛び降りれんだろ!!」

 

吉田・村松「はぁ!?」

 

寺坂「水だよ水!!デケーの頼むぜ!!」

 

村松「マジかよ……!」

 

吉田「しょーがねーなぁ…!」

 

カルマ「殺せんせーと弱点一緒なんだよね?じゃあ同じことやり返せばいいわけだ」

 

俺たちはイトナに水をかけまくる。

落ちた衝撃の水しぶきだけじゃなく、手やその辺のビニール袋に水を入れたりして、どんどん水を吸わせる。

 

イトナ「………!」

 

カルマ「大分水吸っちゃったね……。殺せんせーと同じ水を…。あんたらのハンデが少なくなった」

 

シロ「……!!」

 

カルマ「で、どーすんの?俺らも賞金持ってかれんの嫌だし、そもそも皆あんたの作戦で死にかけてるし、ついでに寺坂もボコられてるし。まだ続けるなら…こっちも全力で水遊びさせてもらうけど?」

 

 

 

 

シロ「……してやられたな。丁寧に積み上げた戦略が…。たかが生徒の作戦と実行でメチャメチャにされてしまった。……ここは引こう。触手の制御細胞は感情に大きく左右される危険なシロモノ。この子らを皆殺しにでもしようものなら……。反物質臓がどう暴走するかわからん。帰るよ。イトナ」

 

イトナ「………ッ!!」

 

シロ「イトナ!!」

 

 

 

殺「どうです?皆で楽しそうな学級でしょう。そろそろちゃんとクラスに来ませんか?」

 

イトナ「……フン」バッ

 

イトナはシロとともにどこかへと去っていった……。

 

 

杉野「ふぃーっ…。なんとか追っ払えたな」

 

岡野「良かったね殺せんせー。私達のお陰で命拾いして」

 

殺「ヌルフフフ。勿論感謝してます。まだまだ奥の手はりましたがね」

 

原「そーいや寺坂君…。さっき私の事を散々言ってたね?ヘヴィだとか…ふとましいとか…」

 

寺坂「い…いやあれは……!」

 

原「言い訳無用!動けるデブの恐ろしさを見せてあげるわ!」

 

 

カルマ「あーあ。ほんと無神経だよな寺坂は。そんなんだから人の手のひらで転がされんだよ…」

 

寺坂「うるせー!カルマ!テメーも1人高いところから見てんじゃねー!」

 

寺坂はカルマを水へと引きずり落とした。

 

よくやった寺坂。

 

カルマ「はぁ!?何すんだよ上司に向かって!」

 

寺坂「誰が上司だ!!触手を生身で受けさせるイカれた上司がどこにいる!?大体テメーはサボり魔のくせにオイシイ場面は持って行きやがって!!」

 

片岡「あーそれ私も思ってた…」

 

カルマ「だからってすぶ濡れにする事ないだろ!」

 

殺「寺坂君は高いところから計画を練るのに向いていない。彼の良さは現場でこそ発揮されます。体力と実行力で自身も輝き、現場の皆も輝かせる。実行部隊として成長が楽しみな暗殺者(アサシン)です」

 

寺坂が、かなり乱暴だけどクラスに馴染んできた。

でも、この中の数人は気付いていた。

クラスの『人数が足りない』ことに……。

 

 

中村「………ねぇ。殺せんせー、全員ちゃんと助けたんだよね?」

 

殺「ええ勿論…。律さんを除く28人全員……!」

 

殺せんせーも気付いたようだ。

 

中村「…じゃあ、なんで不破ちゃんがいないの…!?」

 

渚「……!」

 

片岡「……殺せんせー、不破さんの事助けたんですよね?!」

 

殺「ええ…!友君と一緒に助けたはずですが…!」

 

えっ……!

 

新「兄貴と……!?兄貴、水に入ってたんですか!?」

 

殺「ええ……。不破さんの事を助けようしていましたが…」

 

新「……やばいな……『あの時』の光景がフラッシュバックされちまう……!」

 

倉橋「あの時…?」

 

新「…とりあえず、2人を探して…!」

 

 

 

 

不破「大丈夫……だよ……」

 

一同「!!」

 

一同が振り返ると、兄貴をおぶった不破が草むらから出てきた。

 

不破「殺せんせー……友君を…保健室に」

 

殺「……わかりました」ビュン

 

殺せんせーは兄貴を抱え、教室へマッハで飛んで行った。

 

中村「不破ちゃん…!良かった…無事で……」

 

不破「ごめんね…皆。心配かけて…はは…ちょっと私…疲れて…きちゃった…」バタン

 

中村「不破ちゃん!」

 

新「不破……!」

 

殺「ただいま戻りました…!不破さんも一緒に保健室に送ります!」ビュン

 

 

渚「……新君。友君に何があったのか、教えてよ」

 

磯貝「俺と友、結構付き合い長いけどさ。あまり詳しくは知らないんだよ。だから、教えてくれないか?」

 

新「……ごめん。俺からは教えることは出来ない。でも、あいつが…バカ兄貴が起きたら、説得してやる。皆に話すように…な」

 

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