《新 side》
イトナが何やかんやあって正式にE組のクラスメイトになって一日。
放課後、俺と渚がイトナの席に向かうと、イトナは何かを作っていた。
渚「い、イトナ君……?」
新「それ、何作ってんの?」
イトナ「見ての通り、ラジコンの戦車だ。昨日一日あのタコに勉強漬けにされてストレスが溜まった。腹が立ったから…こいつで殺してやる。寺坂が馬鹿面で俺に言った」
寺坂「アァ!?」
イトナ「『100回失敗してもいい』と。だから
渚「殺しに行く…って」
杉野「でもこれ…なんかスゲーハイテクだぞ!?」
並の中学生が作るもんじゃない…。
電子工作のレベルが高すぎる…!
磯貝「すごいなイトナ…。自分で考えて改造してるのか」
イトナ「親父の工場で基本的な電子工作は大体覚えた。こんなのは寺坂以外誰でもできる」
イトナ…触手を持ってた頃と全然違う……!
毒舌は変わらないけど。
気付けばイトナの周りにはほとんどの男子が集まっていた。(兄貴とカルマ以外)
イトナ(……触手が俺に聞いてきた。『どうなりたいのか』を。『強くなりたい』と答えたら、それしか考えられなくなった。ただ朦朧として、戦って勝つ事しか。
『最初は細い糸でいい。徐々に紡いで強く成れ。それが『糸成』…お前の名前に込めた願いだ』
なんで忘れてたのかな。自分のルーツを)
イトナはラジコン戦車を走らせた。
そして、置いてあった缶ジュースに向かってBB弾を発砲した。見事に全弾命中し、缶は倒れた。
菅谷「すげぇ…。走ってる時も撃つ時もほとんど音がしねぇ」
千葉「こいつは使えるな…」
イトナ「電子制御を多用する事で、ギアの駆動音を抑えている。ガン・カメラはスマホの物を流用した。銃の照準と連動しつつ、コントローラーに映像を送る」
前原「お〜!スパイっぽい!」
イトナ「それと…。もう1つお前らに教えてやる。狙うべき理想の一点。シロから聞いた
殺せんせーの急所…!?
イトナ「やつには“心臓”がある。位置はネクタイの真下。そこに当たれば一発で絶命出来るそうだ」
一発で……!?
前原「お、そろそろ職員室だな」
三村「でも…殺せんせーいないな」
村松「チッ。出かけた後か」
岡島「しゃーねぇ。試運転兼ねてそこら辺偵察しようぜ」
その時、女子の声が聞こえてきた。
『校庭まで競走ね〜!』
『あ、ずる〜い!』
そして、戦車の上を通り過ぎて言った。
男子のほとんどは…カメラに釘付けになっていた。
岡島「……見えたか?」
前原「いや、カメラが追いつかなかった……!」
三村「視野が狭すぎるんだ…!」
あれ?なんか皆さっきまでと様子が……。
村松「カメラ、もっとデカくて高性能なやつにしたらどーよ?」
イトナ「重量がかさむ。機動力が落ち、標的の補足が難しくなる」
竹林「……ならば。カメラのレンズを魚眼にしたらどうだろうか」
一同「竹林…!!」
─参謀─ 竹林孝太郎
竹林「送られた画像をCPUを通して歪み補正すれば、小さいレンズでも広い視野を確保できる」
岡島「……わかった。視野角の大きい小型魚眼レンズは俺が調達する」
─カメラ整備─ 岡島大河
竹林「律!歪み補正のプログラムは組めるか?」
律「はい!用途はよくわかりませんがお任せください!」
前原「録画機能も必要だな」
岡島「ああ。効率的な改良の分析には不可欠だ」
下着ドロにはドン引きしてたくせに……。
前原「これも全て暗殺のためだ!
戦車は勢いよく飛び出し……
段差で転がってしまった。
木村「……復帰させてくる!」
─高起動復元士─ 木村正義
竹林「段差に強い足回りも必要じゃないか?」
吉田「俺が開発する。駆動系や金属加工には覚えがある」
─駆動系設計補助─ 吉田大成
村松「車体の色が薄いカーキなのも目立ちすぎるな」
岡島「戦場に紛れる色だからな。学校の景色に紛れないと標的に気付かれる」
菅谷「引き受けた。学校迷彩、俺が塗ろう」
─偽装効果担当─ 菅谷創介
前原「ラジコンは人間とはサイズが違う…。快適に走り回れるよう俺が歩いて地図を作ろう」
─ロードマップ制作─ 前原陽斗
岡島「よし、明日朝集まって試運転だ」
一同「おう!」
磯貝「……みんな、エロのことになると我を忘れるんだな」
渚「ほんとにゲスいね…」
新「これ…一応暗殺に使うんだよな…?」
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翌日──
女子のスカートの中を覗くために男子が集まった。
俺、渚、磯貝、千葉辺りは巻き込まれただけだが。
岡島、前原、吉田はそれぞれの役割を果たし、菅谷は完璧な学校迷彩を戦車に施してきた。
なんでこんなにも仕事が早いんだこいつら。
村松「お前ら、腹が減っちゃ
─糧食補給班─ 村松拓哉
岡島「よっしゃ!早速走らせるぞ!!」
磯貝「お前ら、一応言っとくが暗殺のための戦車だからな?」
岡島「わかってるって!」
渚「……なんでこういう時は誰も遅刻しないんだろ」
竹林「………律が起動する前に終わらせる必要がある。彼女を傷つけたくない」
渚「……う…うん…」
戦車は校庭の中を走っていく。
ロードマップのお陰でかなり走りやすそうだ。
その時、カメラの向こうから声が聞こえてきた。
『ん…?なんだこれ』
今の声……兄貴!?
三村「おい…今の」
岡島「ああ…!友の声だ。一体なぜだ…!?」
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《友 side》
今日、俺はいつもより早く学校に来て、時計型麻酔銃を優月に披露していた。殺せんせーに麻酔が効くかを試したいので、バレないように校舎裏でこっそりとね。
友「どーよこれ!『時計型麻酔銃』!!イトナと奥田に頼んで作ってもらったんだ!」
不破「凄い……!!ほんとに麻酔針出るの?」
友「おう!」
そう言って俺は時計を構え、スイッチを押す。
時計から麻酔針が打ち出され、近くの木に刺さった。
友「ほら!ちゃんと発射される!」
不破「凄い!探偵には必須の道具じゃん!」
友「そうだろ〜……ん?なんだこれ」
振り向くとそこには…小さな戦車があった。
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《新 side》
いつもより早く出ていったと思ったら……。
前原「お、おい…まずくねーか」
兄貴は戦車を持ち上げた。
友『戦車?イトナかな……こっち側に来ないでくれよ?麻酔銃の練習するんだから』
兄貴は戦車を少し遠いところへ移動させ、再び麻酔銃の練習をし始めた。
岡島「…な、何とか無事で済んだな」
菅谷「ああ…」
前原「じゃあ…校舎裏方面じゃなくて森の方面に行ってみるか」
三村「なぁイトナ。こんだけ皆で改良に参加するんだ。機体に開発ネームでも付けたらどうよ?」
イトナ「……考えておく」
寺坂「おい!慎重に近付かねーとまた転ぶぞ!どけ、俺が替わる!」
イトナ(……最初から、ここから始めれば良かったのかな……)
前原「おいまたぶつかったじゃん!寺坂下手すぎ!」
寺坂「んだとォ!」
岡島「………ん?何だこの影」
戦車の目の前には……ニホンカワウソがいた。
前原「バケモンだぁぁぁ!!!!」
菅谷「に、逃げろ!!」
寺坂「いや撃て…!!」
戦車はカワウソに向かって発砲するが、全く効いていない。
木村「ダメだ!銃の威力が全然足りねぇ!」
岡島「ここも要改造だ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんとか木村が回収しに行ったものの…戦車はボロボロになっていた。
岡島「次からはドライバーとガンナーを分担しないとな…射撃は頼むぞ。千葉」
千葉「お……おう」
─搭載砲手─ 千葉龍之介
イトナ「開発には
イトナは機体に、マジックペンで『糸成Ⅰ』と書いた。
イトナ「糸成一号は失敗作だ。だが、ここから紡いで強くする。100回失敗してもいい。最後には必ず殺す。よろしくな。おまえら」
前原「おうよ!」
殺意が結ぶみんなの絆。また楽しくなりそうだ。
岡島「よっしゃ!三月までにはこいつで女子全員のスカートの中を偵察するぜ!」
渚「趣旨が変わってるよ岡島君……」
片岡「スカートの中がなんですって…?」
岡島の後ろには、既に女子が複数名登校していた。
勿論、今の岡島の発言は聞かれている。
岡島「か、片岡ァ!?」
岡野「聞いてたわよ」
矢田「男子サイテー」
片岡「ちょっと…これ誰が言い出しっぺ?」
イトナ「岡島」
岡島「おい!!」
律「おはようございます!あ、岡島さん!歪み補正のプログラム出来てますよ!」
岡島「ちょ……!待ってくれ!俺だけじゃない!なぁ前原!」
前原「いや知らん。俺を巻き込むな(棒)」
岡島「汚ぇぞ!!」
磯貝「いいや。皆観念するんだな」
片岡「どっちみち…あんたら全員共犯ね?」
矢田・岡野「男子サイテー……」
岡島「い、いやこれは……!!」
友「岡島……」
岡島「ゆ、友……!?」
兄貴までやってきた。しかもちょっとキレてる。
友「女子全員ってさぁ…優月も含まれてんのかなぁ……?」ギロリ
姉貴のスカートが狙われてると知って粛清しようとしてんのか…。
さすが…恋人思いですこと。
不破「友君……同情の余地は無いよ」
友「おう。この時計型麻酔銃の出番だな」
岡島「ま、麻酔ィ!?」
友「えい」プシュッ
岡島「うぉっ……ふにゃぁ……」zzz
その後、岡島はしばらく熟睡した。
その後、兄貴は教室にやってきた殺せんせーに麻酔銃を撃ち、殺せんせーは避けることなく麻酔針を受けたが一切効かなかった。