もしかして…なんかいつもより長い?
《友 side》
放課後、今日は優月、陽斗、片岡、渚、茅野、岡島の6人ととある喫茶店に来ていた。
茅野「うーむ。イケメンだ」
茅野がイケメンだと評したのは、
磯貝「いらっしゃいませー!あ、いつもどうも原田さん、伊東さん」
客「ゆーまちゃん元気〜?もうコーヒーよりゆーまちゃんが目当てだわこの店!」
磯貝「いやいや、そんなん言ったら店長がグレちゃいますよ。原田さんモカで、伊東さんエスプレッソWでしたよね。本日店長おすすめでシフォンケーキありますけど」
客「じゃあそれ2つ!」
磯貝「まいど!」
友「じつにイケメンだ…うちのリーダーは」
岡島「殺してぇ……」
皆それぞれいいところがある。
でも、E組一番のイケメンはと問えば、皆迷わず悠馬を選ぶだろう。
磯貝「お前ら粘るな…紅茶一杯で」
友「いーじゃんいーじゃん!」
前原「バイトしてんの黙っててやってんだからさ〜」
磯貝「はいはい。ゆすられてやりますよ。出がらしだけど紅茶オマケな」
渚・茅野・不破(イケメンだ……!!)
何よりその人格だろう。
陽斗やカルマのような危なっかしさも無く、友達には優しく、目上の人には礼儀正しく。
全ての能力が
どんな事でもそつなくこなす。
ほら、今も沢山の食器を運んでる。
片岡・岡島(あんなに一度に運べるなんて…イケメンだ!!)
不破「そういえば…磯貝君ってどうしてE組に落ちたんだっけ?成績も素行も悪くないし……」
友「ああ。椚ヶ丘中学校はバイト禁止だからな。それが原因で落ちたんだ。よく考えたらバイト禁止で芸能活動OKってどうなってんだ。設定ミスったな(←作者の本音)」
渚「友君……?」
客「なーに?またお母さん体調崩されたの?」
磯貝「ええまぁ…。うち母子家庭なもんで。俺も少しは家計の足しにならないと。前に一度、学校にバレてちょっと痛い目見ましたけどね」
茅野(イケメンだ!!)
前原「あいつの欠点なんて貧乏くらいだけどさ。それすらイケメンに変えちゃうのよ」
友「私服は激安店のを安く見せず清潔に着こなすしね」
一同(イケメンだ!!)
前原「この前祭りで釣った金魚食わせてくれたんだけど、あいつの金魚料理メチャ美味いし」
一同(イケメンだ!!)
前原「あとあいつがトイレ使った後よ……紙が三角にたたんであった」
片岡・茅野・不破(イケメンだ!!)
岡島「あ、紙なら俺もたたんでるぜ。三角に」
片岡・茅野・不破(汚らわしい!!)
友「見ろよ。あの天性のマダムキラーっぷり」
一同(イケメンだ!!)
渚「あ…僕もよく近所のおばちゃんにおもちゃにされる」
一同(シャンとせい!!)
前原「未だに本校舎の女子からラブレター貰ってるしよ」
一同(イケメンだ!!)
片岡「あ……私もまだもらうなぁ…」
一同(イケない恋だ!!)
殺「イケメンにしか似合わない事があるんですよ…磯貝君や、先生にしか」
一同(イケメ……………何だ貴様!?)
殺せんせー何でいるんだよ!お前教師だろ!?
殺「ここのハニートーストが絶品でねぇ。これに免じて磯貝君のバイトには目を瞑っています」
それでいいのか…?
殺「でも皆さん。彼がいくらイケメンでもさほど腹は立たないでしょ」
片岡「え?」
渚「うん…」
殺「それは何故?」
前原「何故って……だって、単純に良い奴だもんあいつ」
友「それ以外に理由いる?」
一同「うんうん」
その時、店のドアが開いた。
入ってきたのは……あの5人組…。
荒木「おやおやおや…?情報通りバイトをしてる生徒がいるぞ?」
小山「いーけないんだ〜磯貝君」
一同「!!!」
浅野「これで2度目の重大校則違反。見損なったよ磯貝君……」
磯貝「……浅野、この事は黙っててくれないかな?今月いっぱいで必要な金は稼げるからさ…」
浅野「…そうだな。僕も出来ればチャンスをあげたい」
…よからぬ事を企んでいる時の浅野は…本当に理事長そっくりだ。
浅野「ではひとつ条件を出そうか。闘志を示せたら、今回の事は見なかった事にしよう」
磯貝「……闘志?」
浅野「
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
E組教室──
新「体育祭の棒倒し……?」
友「そ。A組に勝ったら目を瞑ってくれるんだと……」
全く……明らかに不公平な条件出しやがる……。
木村「でもさ、俺ら元々ハブられてるから棒倒しには参加しない予定じゃんか」
竹林「第一、A組男子は28人。E組男子は17人。とても公平な闘いには思えないけどね……」
友「浅野は『君らが僕らに挑戦状を叩きつけた事にすればいい。それもまた勇気ある行動として称賛される』だとか言ってたけどさ……」
寺坂「ケッ。
二学期中間の前に潰しておこうって考えなんだろうけど……浅野のやつ、どんだけ俺らを痛めつけたいんだよ…。
杉野「どーすんだよ。受けなきゃ磯貝はまたペナルティだ。もう既にE組には落ちてるし、下手すりゃ退学処分もありえるんじゃね?」
磯貝「いや、やる必要は無いよ皆」
悠馬……!?
磯貝「浅野の事だから何されるか分かったモンじゃないし、俺が播いた種だから、責任は全て俺が持つ。退学上等!暗殺なんて、校舎の外からでも狙えるしな!」
一同「イッ…イケ……………
イケてねーわ全然!!!」
磯貝「ええ!?」
友「何自分に酔ってんだアホ毛貧乏!!」
磯貝「アホ毛貧乏!?」
前原「難しく考えんなよ。A組のガリ勉共に棒倒しで勝ちゃ良いんだろ?楽勝じゃんか!」
陽斗はそう言うと、対先生ナイフを机の上に立てる。
友「そりゃそーだ」
三村「むしろバイトが奴らにバレてラッキーだったね」
俺と航輝はナイフを掴んだ陽斗の手の上に、自分の手を乗せた。
寺坂「日頃の恨み、まとめて返すチャンスじゃねーか」
吉田「倒すどころかへし折ってやろーぜ!」
杉野「なぁイケメン!」
磯貝「……お前ら」
クラス全員がナイフに手を乗せる。
悠馬のために、クラスが一丸となったのだ。
磯貝「よっし…!やるか!!」
一同「おう!!」
殺(……普段の行いですねぇ。イケメンも高い能力も彼の一番の強みではない。決して傲らず、地味な作業も買って出て、自分の事よりクラスの調和を第一に考える。積み重ねて身につけたのが『人徳』。
殺「どうれ。イケメン同士私も一肌脱ぎますかねぇ……」
友「…さて、やる事が決まった所で…気になってる事があるんだ」
前原「気になってること?」
友「ああ。浅野の本心だよ。あいつの事だ。徹底的に俺たちの事を潰しに来るはず。でも、浅野以外のA組の連中にそんな能力があるとは思えない。……もしかしたら、何か作戦があるのかもしれない」
磯貝「作戦か……」
友「イトナ。偵察頼めるか?」
イトナ「………ああ。丁度、2号が完成したところだ……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そして、体育祭当日────
《100m走》
荒木『100m走はA、B、C、D組がリードを許す苦しい展開!!負けるな、我が校のエリート達!』
うーん……いつものアウェイ感。
E組って言えよ。木村頑張って走ってるだろ。
杉野「体育祭でも相変わらずだよな……」
岡野「でもいるじゃん。うちらにも味方が…」
殺「ふぉぉ!!カッコいい木村君!!もっと笑いながら走って!!ほら!ジャスティス!!」
不破「なんでこんな親バカなんだろう…」
友「国家機密が体育祭の応援来ていいのかよ……」
てか
殺「ヌルフフフ。この学校は観客席が近くていいですねぇ。ド迫力を目立たずに観戦できます」
いや大分目立ってるよ。なんで目立ってないと思えるんだよ。
倉橋「でもトラック競技、木村ちゃん以外苦戦してるね〜」
新「2位は取るけど陸上部とかには中々勝てないな」
倉橋「暗殺訓練で自信ついてたんだけどな〜」
烏間「当然だ。100m走を2秒も3秒も縮める訓練はしていない。開けた場所で速く走るのは、それを専門に訓練してきた者が強い。君らも万能ではないということだ」
《パン食い競走》
烏間(だが、訓練の成果は思わぬ所で発揮される。例えば……)
パン食い競走……。
他の生徒は既にパンを食べようと頑張っている。
わぁ滑稽。
こんなもの、
原「…………!!」
原は勢いよくパンに食いついた!
岡島「うぉぉ!原さんやべぇ!!」
三村「足の遅さを帳消しにする正確無比なパン食い!」
烏間(まぁ…ああいうのだ)
荒木『しかしまだだ!完食しないとゴール出来ないルールだぞ!』
ふっ…うちの原を舐めてもらっちゃ困るぜ……?
原は咥えていたパンを……一口で呑み込んだ。
原「………飲み物よ。パンは」
一同(かっけぇ!!)
木村「やったな原さん!」
菅谷「異次元の食いっぷり!」
原「訓練の日々で食欲が増してしまってね。飲み物よ。パンは」
不破「凄いね…。皆意外なところで活躍してる」
友「ああ…。あ、そろそろ俺も行かないとか」
不破「頑張ってね!」
友「おう!」
殺「暗殺で伸ばした基礎体力、バランス力、動体視力、非日常的な競技でこそ発揮される」
《二人三脚》
……凄いな。陽斗と岡野。いがみ合ってるのに息ぴったりだ。
岡野「セクハラ!!」
前原「あぁ!?」
《障害物競走》
生徒「あのチビ、網抜けめっちゃ速え!」
生徒「体に抵抗が無いからだ!」
茅野「………」
茅野…障害物競走速すぎるだろ。
でもなんだろう。凄く可哀想になってくる。
殺「あのように各自の個性も武器になる。棒倒しでどう活かすか、それは君次第ですよ」
磯貝「…………」
《借り物競争》
さて、俺が出場するのは借り物競争。
ルールは、お題通りのものを持ってきて、早い人が1位!というシンプルなもの。
だが、今回の借り物競争は3つお題をクリアしないといけない。
1つ目のお題をクリアしたら2つ目のお題が出てきて、それをクリアしたら3つ目が……。
そして早く3つクリアした人が1位。
ふと、となりA組の女子生徒を見る。
すると……どこかで見た顔だ。
確か、転校生の『古見錦』…!
俺に殺気を向けてた…。
古見「……よろしくね真弓友…」
友「お…おう」
何なんだ…こいつ…?
総七「よ、友」
友「あれ……総七?!」
総七「俺も出ることになったんだよ。頑張ろーぜ」
友「こいつと一緒かよ……」
しばらくすると、スターターピストルが鳴った。
俺はお題の紙を1枚取り、中身を確認した。
『メガネ』
友「メガネ……か。竹林だな」
俺はE組の方へと行って、竹林を探す。
友「竹林ー!メガネプリーズ!」
竹林「メガネ…?それがお題かい?」
友「そゆこと!せんきゅ!」
俺は急いで審査員に紙とメガネを見せて、2つ目のお題をもらう。
審査員から直接渡されるため、E組は必然的に難しいのが来るだろう。
さて、2つ目のお題は……
『わさび』
いや難易度ハードだろ!?
『普通の奴』は持ってないぞ!?
……ま、うちには普通じゃないやつが揃いも揃ってるんだけどさ。
俺は急いでE組の方へ向かい……
友「やっほー!また来たよ!カルマいる?」
不破「カルマ君ならあそこで寺坂君にわさび食べさせようとしてるけど……」
友「おっけー!おいカルマー!そのわさびくれ!」
カルマ「なに?食べるの?」
友「食べねーよ!!借り物競争のお題なんだよ!」
杉野「借り物競争のお題が『わさび』って作ったやつどうかしてんだろ…」
俺は審査員に紙とわさびを見せた。
審査員はまさか持ってくるとは思わなかったんだろう。かなり悔しそうだ。
余程悔しかったのか、次のお題の紙にペンで何かを書き足した。
いや反則じゃね?
まぁ俺が今んとこぶっちぎり1位みたいだけど。
さて、どんな無茶ぶりかな…?
『クラスメイトの女子 お姫様抱っこで持ってくる』
………は?
この審査員…。
俺を羞恥心で殺そうってのか…?
まぁいい。その考え、ぶっ壊してやる!
俺はまたE組の方へと向かった。
友「おーい!優月!」
不破「えっ……私?////」
友「そ、クラスの女子をお姫様抱っこして持ってこいって。じゃ、いくよ」
不破「ふぇっ!?/////」
俺は問答無用で優月をお姫様抱っこして審査員の元へと向かった。
岡島「……すげぇなあいつ。よく出来るよな」
三村「いや、あいつも内心ではパニクってるよ」
前原「ポーカーフェイスは得意だからな…あいつ」
殺「………」パシャパシャパシャ
渚「殺せんせー、後で怒られても知らないよ…?」
カルマ「大丈夫っしょ」パシャパシャパシャ
中村「そーそー」パシャパシャパシャ
渚「皆撮りすぎでしょ!?」
不破「ゆ、友君!?こ、これ全校生徒が見てるんだけど…!///」
友「仕方ないだろ?お題なんだからさ。優月以外の女子選んだ方が良かった?」
不破「えっ…それはその………それは…嫌かな…///」
友「………っ!///」
その顔は
何てことを思ってる内に審査員の前まで着いた。
まさか本当にクラスメイトの女子をお姫様抱っこしてくるとは思わなかったのか、開いた口が塞がらないみたいだ。
友「さ、お題3つクリアしましたよ。クリアでいいですよね?」
審査員「……い、1位……E組……」
荒木『なんという事だ!借り物競争でもE組が勝ってしまったーー!』
『なんという事だ』じゃねーだろ。
不破「ゆ、友君…そろそろ……」
そういえばお姫様抱っこしたまんまだった。流石にこれは俺でも恥ずかしい。
ていうかそうじゃん…。これ下級生含め皆見てたんじゃん。
うわぁ…これハッズ……!!!!!
総七「あいつ…やるじゃん……」ニヤニヤ
なんだろ。総七が腹立つ顔してくる。殴りてぇ…!
前原「カッコよかったぜ友!!」
中村「よっ!王子様!!」
友「やめろぉ!!///」
新「姉貴、顔赤いよ〜」
不破「姉貴って呼ぶのやめてくれる!?///」
うう…案の定E組の席に戻ったら弄られる…。
不破「うう……///」
友「ご、ごめんな優月。お題の為とは言えあんなこと…」
不破「べ、別に大丈夫だよ…!……少し嬉しかったし……///」ボソッ
友「ん?何て?」
不破「な、何でもない!!///」
菅谷「ふつーの体育祭だったら俺らがぶっちぎり優勝だけど…E組はほとんどの団体戦に出る権利ねーからな」
吉田「その分ラストの棒倒しに集中出来るぜ」
村松「おう」
片岡「棒倒しにさえ勝てれば…磯貝君のバイトの事は咎められない。お願いね、男子。腹黒生徒会長をぎゃふんと言わせてやって…」
男子の顔に…特に悠馬に緊張の色が隠せないのは、知ってしまったからだろう。勝負を仕掛けた浅野の本心と、本当の目的を。
《綱引き》
荒木『続いての綱引きはA組対D組!レディー……ゴッ…!?』
開始の合図と同時に、D組の生徒が宙に浮いた。
A組の綱を引く力があまりにも強すぎたのだ。
A組には…普通の生徒ではない、外国人の留学生が4人来ていたのだ。
荒木『A組は幸運に感謝すべきでしょう!たまたま偶然!この4人の外国の友人が研修留学に来ていた事に!』
たまたま偶然とはよく言うぜ……。
明らかに俺らを潰すために呼んだろそいつら…。
イトナ2号のおかげで既に留学生が来ることは偵察済みだったが…ここまで強大とは…!!
しかも、本当なら全部の作戦を聞きたかったけどA組が途中から体育館に移動したせいでそれ以上は探ることが出来なかった……。
磯貝「……殺せんせー、俺にあんな語学力は無い。俺の力じゃ、とても浅野には及ばないんじゃ……」
殺「……そうですねぇ。率直に言えばその通りです。浅野君を一言で言えば『傑物』です。彼ほど完成度の高い15歳は見たことがありません。君が幾ら万能と言えども、社会に出れば君より上はやはりいる。彼のようなね」
磯貝「……どうしよう。俺のせいで、皆が痛めつけられたら」
殺「……でもね、社会において1人の力では限度がある。仲間を率いて戦う力。その点で君は浅野君をも上回れます」
磯貝「……!」
殺「君が
磯貝「………!!」
不破「友君…気をつけてね」
友「……ああ。よし、行こうぜ?
磯貝「…ああ!よっし皆!!いつも通り、殺る気で行くぞ!!」
E組男子「おう!!!」