真弓兄弟の暗殺教室   作:Ncwe?

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第66話 間違う時間

《新 side》

 

殺「さぁさ皆さん!二週間後は二学期の中間ですよ!!いよいよA組を越える時が来たのです!熱く行きましょう!!熱く!!熱く!!」

 

新「暑苦しい!!」

 

浅野の体育祭の罠もかわしきり、

俺たちは全力で中間テストに集中出来る。

なんか1名休んでるけど()

 

……一方で、

どこか皆落ち着かない様子だった。

殺せないまま…

勉強の時間だけが過ぎていく。

 

焦りの10月。

殺せんせーの暗殺期限まで、あと5ヶ月!

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一方その頃───

 

《友 side》

 

……あれから大分良くなってきた。

 

勉強も捗るようになってきている。

 

とりあえず今日病院に行って診察してもらおう。

一日でも早く復帰したいからね。

 

殺「友君!」

 

……ん?窓からなんかタコの声が……

 

友「ってなんでいんの!?」

 

殺せんせーが窓に張り付いてた…。気持ち悪い。

 

 

殺「体調はどうですか!」

 

友「え…あ、ああ。この通り大丈夫だよ。今日病院に行ってもう行って良さそうか見てもらおうかなと…」

 

殺「なるほど!では行きますか!」

 

…へ?

 

友「行くって…?」

 

殺「病院です!マッハで連れて行ってあげましょう!」

 

友「は?ちょ、待って?」

 

殺せんせーは触手で俺を掴み、自分の服の中へ入れる。

 

友「嘘!?マジで連れていく気かよぉ!!」

 

殺「ゴー!!!!」ビュン

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そして、殺せんせーはガチで病院まで連れて行ってくれた。

診察結果を待っている間、救急車の音がした。

 

ま、病院なんだから当たり前なんだけどね。

 

 

 

 

診察が終わり、病院を出るとそこには烏間先生がいた。

周囲には防衛省の人と思われる人達もいる。

 

烏間「……!友君…」

 

友「烏間先生…?なんですかこれ…こんな人集まって……」

 

烏間「…実は────」

 

 

 

友「えっ……?老人に怪我を…?」

 

E組数名が街中でフリーランニングの練習をして、老人に衝突、怪我を負わせてしまったと言う。

 

烏間「ともかく、君は帰って…」

 

友「……いや、僕も残ります」

 

烏間「………!わかった…」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数十分前───

 

《不破 side》

 

岡島君に連れられて、私たちE組数人はE組の山の端っこに来ていた。

 

不破「ここは……?」

 

岡島「すげー通学路を開拓したんだ。ここからフリーランニングで建物の屋根を伝ってくとな、ほとんど地面に降りずに隣駅の前まで到達出来る!ただ通学するだけで訓練になる。今日から皆でここを行こうぜ!」

 

倉橋「え〜……危なくない?もし落ちたら…」

 

片岡「そーだよ…。烏間先生も裏山以外でやるなって言ってたでしょ?」

 

うーん……。危険な気はするけど、でも暗殺のスキル高めたいし……。友君の事を守れるくらい強くなりたいって思いもあるし……。

 

岡島「へーきだって!行ってみたけど難しい場所はひとつも無かった!鍛えてきた今の俺らなら楽勝だって!」

 

磯貝「うーん…」

 

前原「いいじゃねーか磯貝!勉強を邪魔せず暗殺力も向上出来る!2本の刃を同時に磨く!殺せんせーの理想とするところだろ!」

 

杉野「……良いかもな!」

 

渚「うん」

 

 

岡島「よっしゃ!先導するぜついてこい!」

 

前原「おう!」

 

中村「不破ちゃん、私達も行くよ!」

 

不破「う、うん…!」

 

 

岡島君を先頭に、木村君、前原君、寺坂君、吉田君、村松君、岡野さん、千葉君、速水さん、渚君、杉野君、三村君、菅谷君、矢田さん、片岡さん、磯貝君、中村さん、そして私の18人がフリーランニングで駆け抜けていく。

 

でも、確かに今の私たちなら楽勝な気がする…!

 

前原「うは!きもちー!」

 

三村「楽勝だな!」

 

岡島「だろ?体育祭でわかったろ!?もう俺ら、一般生徒とは段違いなのよ!」

 

棒倒しでE組は、訓練の日々で身につけた力でヒーローになった。本校舎生徒も少しずつ私達E組の事を認め始めてる……。

 

どんどん出来る事が増えている……!

これなら暗殺だって…!!

 

 

木村「よっしゃ一番乗りゴー………ル…!?」

 

岡島「えっ…!?」

 

その時、ガシャンとすごい音がした。

 

不破「え……?!」

 

下を見ると、お爺さんが横たわっており、岡島君や木村君達がお爺さんを見て呆然としている。

 

音と現場の状況から察するに……

 

一番乗りで下に降りた岡島君と木村君が、丁度路地裏を自転車で通っていたお爺さんに衝突してしまった……。

 

 

花屋「い、今の音何があった!?……た、大変だ!救急車を……!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

病院に着くと、既に烏間先生達がいた。

 

そして……友君も。

 

 

友君は何も言わずに壁に寄っかかっている。

 

私達も……誰も、何も話さなかった。

 

 

烏間「……右大腿骨の亀裂骨折だそうだ。君らに驚きバランスを崩して転んだ拍子にヒビが入った。程度は軽いので二週間ほどで歩けるそうだが、何せ君らのことは国家機密だ。口止めと示談の交渉をしている。頑固そうな老人だったが、部下が必死に説得中だ」

 

……とんでもない事をしてしまった…。

 

その時、後ろから寒気が…。

殺せんせーだ…。

 

顔は真っ黒になっている…。

怒っている……。

 

 

磯貝「こ…殺せんせー……」

 

岡島「だ、だってまさか…あんな小道に荷物いっぱいのチャリに乗ったじーさんいるとは思わねーだろ!」

 

岡野「そーだよ……」

 

矢田「もちろん悪い事したとは思ってるけど……」

 

中村「自分の力磨くためにやってたんだし…」

 

寺坂「地球を救う重圧と焦りが…テメーにわかんのかよ」

 

 

……私は何も言えなかった。

ただ…俯くことしか出来なかった。

 

その瞬間……頬に衝撃が走った。

 

殺せんせーが…私達をビンタしたんだ。

 

 

殺「……生徒への危害と報告しますか…烏間先生?」

 

烏間「……今回だけは見なかった事にする。暗殺期限まで時間が無い。危険を承知で高度な訓練を取り入れたが…やはり君らには早すぎたのかもしれん。俺の責任だ」

 

烏間先生はそう言うと、病院の中へと歩いていく。

 

 

一同「……ごめんなさい」

 

私を含めて、皆…小さな声で言った。

 

殺「……君たちは、強くなりすぎたのかもしれない。そのために、身につけた力に酔い、弱い者の立場に立って考えることを忘れてしまった。それでは本校舎の生徒と変わりません」

 

叩かれると痛くて悔しい……だけど、返せる言葉がひとつも無かった。

 

これが…『間違う』ってことなんだ…。

 

殺「……話は変わりますが、今日からテスト当日まで丁度二週間…クラス全員のテスト勉強を禁止します」

 

一同「!?」

 

ど、どういうこと…!?

 

殺「罰ではない。テストより優先すべき勉強をするだけです。教え忘れた先生にも責任がある。まずは被害者を穏便に説得します」

 

そう言って、殺せんせーはマッハでどこかへ行ってしまった。

 

 

また、皆何も話さず……沈黙が続いた。

 

その時、今まで一言も発さなかった友君が口を開いた。

 

友「……『力』や『強さ』ってのはさ、使い方を間違えると凶器にもなってしまう物だ。間違った使い方をしていても、自分ではそれが正しい使い方をしていると思い込んでしまっている。それが『間違い』であると自分だけで気付くのは難しいんだ…。

俺も、『自分を犠牲にしてでも皆を守る』って考えは間違いだって、自分では気付けなかった。皆に気付かされたんだ。

……今回、皆は『力』、『強さ』の使い方を間違えたかもしれない。でもさ、良かったんじゃないかな。結果的に…今の自分達が間違っているって事に気付けたんだから。

人間…皆間違えるんだよ。間違えない人なんていない。大切なのは、間違いだと気付いて、反省して、次へ繋げる事だと思うよ」

 

 

不破「…友君……ごめん…なさい」

 

無意識に…言葉が出た。

皆も、私に続いて口々に謝罪を言う。

 

 

友「……謝る相手…違うだろ?俺でも、先生達でもない」

 

友君は病院内へと歩いていき、途中で振り返った。

 

友「ほら行くよ。こうなったら連帯責任だ。俺も一緒に謝りに行く。さ、早く」

 

 

不破「……う、うん…!」

 

友君に続いて、私達も病院内へと入っていく。

 

そして、怪我を負ってしまった『松方さん』の病室へと入った。

 

殺「おや来ましたか皆さん……。保育施設を経営している松方さんです。まずはしっかり謝りましょう」

 

一同「……ごめんなさい…」

 

皆頭を下げて謝る。友君も…深く頭を下げていた。

 

 

殺「プロの殺し屋である以上、君たちは責任のある1人前の人間だ。訓練中の過失には君達自身が責任を持つべきです。治療費ばかりは烏間先生に払ってもらう外ありませんが……慰謝料と仕事を休む分の損害は、君達が支払いましょう」

 

 

前原「……支払うって…どうやって?」

 

殺「要するにタダ働きです。この人の職場をクラス全員で完璧に手伝いなさい。二週間後、松方さんが歩けるようになった時点で、賠償分の働きぶりが認められれば、今回ので事は公表しないでくれるそうです」

 

 

松方さん「……ワシのところは大変だぞ。保育所から学童保育まで手広くやっとる。お前たちにつとまればいいがな……」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

あの後、皆それぞれ解散した。

 

私も…誰かと帰る気力は無かったから、1人で帰ろうとした。

 

友「優月!」

 

帰ろうとした時、友君に呼び止められた。

 

友「……そんな暗い顔すんなよ。間違える事なんて誰でもあるって言ったろ?」

 

不破「……でも…」

 

友「……焦るのは分かるよ。俺だって、あの場にいたら一緒にやってただろうし」

 

不破「………」

 

友君は…私を元気付けるために優しい言葉をかけてくれてるけど、私にとっては…それが辛かった。

 

辛さに耐えかねて…涙が零れてしまう。

 

友「ちょ…優月…!?」

 

不破「ごめん…私……」

 

友「……大丈夫だって。俺が間違えた時、皆が教えてくれた。次は…俺の番ってだけの話だからさ」

 

不破「うん……」

 

 

友「ほら涙拭いて。家まで送るからさ」

 

不破「ありがと…友君…」

 

友「……当然だろ?彼氏なんだからさ」

 

友君は私を抱きしめた。

 

私は…凄く嬉しかった。

 

そして誓った。もう間違えたりしないって。

 

きっと…今回の件で皆が思っている。

 

 

殺せんせーと友君の言葉のお陰で…。

 

 

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