《友 side》
翌日、E組全員で松方さんが経営している保育施設、『わかばパーク』へと向かった。
保育士「みんなー!園長先生はお怪我しちゃってしばらくお仕事出来ないの」
子供「えーっ!」
子供「園長先生かわいそ〜」
保育士「代わりにね、このお兄ちゃんお姉ちゃん達が何でもしてくれるって!」
子供「はーい!」
思ったよりも子供いるな……しかもほとんどの子が元気いっぱいだ。
狭間「全く……何で私ら無関係の生徒まで連帯責任かねぇ…」
子供「まじょだ〜」
子供「まじょ〜」
狭間…子供にまじょ呼ばわりされてる…。
寺坂「面目ねぇ…」
狭間「すっごい噛みつかれてるよ」
子供まで寺坂に対して敵意抱くのか…。
原「私達ももっちりとビンタされたよ。全員平等に扱わないと不公平だからって」
ちなみに俺もされた。なんか変な感触だった。
岡島「ごめんよ…」
神崎「気にしないで。他人に怪我とか予測出来なかった私達も悪いし」
狭間「そーね。私にも監督責任あるかもね。こいつら面白サーカス団の調教師として」
吉田・村松「あぁ?」
竹林「ま、勉強なんて家でこっそりやればいい。
竹林………。
友「パンツ一丁じゃなきゃいい事言ってくれてるんだが」
不破「中々やんちゃな子が多いみたいだね……」
さくら「……で?何やってくれるわけおたくら。大挙して押しかけてくれちゃって…。減った酸素分の仕事くらいは出来るんでしょうね……?」
一同(中々とんがった子もいらっしゃる!!)
男の子A「やべぇ…さくら姐さんがご機嫌斜めだ」
男の子B「ああ…」
男の子A「殺されるぞ…この兄さん達」
男の子B「入所5年の最年長者…」
男の子A「学校の支配を拒み続ける事実に2年…」
男の子A・B「エリートニートのさくら姐さんに……」
吉田「お前ら急にスイッチ入ったな!」
村松「カッコ良く言ってるけど不登校だろ要するに!」
とんがった女の子…さくらちゃんは近くのほうきを手に取った。
さくら「まずは働く根性あんのかどうか試してやろーじゃないの!」
さくらちゃんは渚に攻撃………しようとしたが床が抜けた。
男の子A「あーあ。そこの床痛んでるって言ってたのに」
男の子B「悲しきかな。暴力では真の勝利は掴めない」
吉田「お前らのキャラの方が掴めねーぞ」
新「…修繕はしないんですか?この建物…老朽化がかなり……」
保育士「お金が無いのよ。うちの園長、待機児童や不登校児がいれば片っ端から格安で預かってるから。職員すら満足に雇えず本人が一番働いてるわ」
一同「………!」
松方さんは大量の荷物を運んでいたという。
かなり大きな戦力を潰してしまったというわけか……。
前原「30人で2週間か…。なんか色々出来んじゃね?」
原「できるできる!」
磯貝「よし皆!手分けしてあの人の代役(かわり)を務めよう!まずは作戦会議だ」
前原「おう!あのじーさんの骨の倍額仕事してやる!」
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それから俺たちは働きまくった。
茅野、カルマ、寺坂、奥田は子供たちを楽しませるための劇を披露。
……一方的に寺坂がカルマにやられてるだけのように見えるけど。
新や、中村、渚、竹林達は子供達に勉強を教えてくれている。
さくらちゃんは渚が担当してる。
優月、倉橋、矢田達女子は子供たちと遊んでいる。
前原「…で、俺ら力仕事班は?」
友「今千葉ちゃんが設計図面仕上げてる。烏間先生の部下の鵜飼さんに助言貰ってるよ。あの人建築士の資格もってるんだって」
前原「中々心強い味方だな!」
すると、女の子の声が聞こえてくる。
女の子「おーい!猫ちゃん!」
後ろを振り返ると……どうやら猫が木に登って降りられなくなってしまったようだ。
寺坂「ベタな騒動起こしやがって」
木村「俺が行くよ。岡島、棒倒しのアレな」
岡島「オッケー!今度は下の安全見とかねーと!」
体育祭の時の磯貝とイトナのように、木村が助走をつけ、岡島を踏み台にして木の上へと飛び乗った。
そのまま猫の元へと伝っていき、なんとか捕まえたようだ。
あ、めっちゃ引っかかれてる。
他にも、沢山…初めてのことをした。
学校でやらない勉強をしていくうちに…あっという間に二週間が過ぎていった。
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殺「さて、私の生徒は良い働きをしましたかねぇ」
松方さん「フン。何十人いようが烏合の衆だ。ガキの重みで木造平屋が潰れて無ければ上出来だが……ん?
なんということでしょう!!」
そこあったのは今までの小さな木造平屋ではなく、大きな多目的施設……!!
新(ナレーション)『E組の裏山から間伐した木と廃材を集めて作られた家……。窮屈で貧弱だった保育施設が広くて頑丈な多目的施設に!』
松方さん「なんと…たった二週間で……」
新『コンピュータの計算で強度も完璧。崩れそうな母屋ごと新しい柱で補強しました』
保育士「まるで鳶職人みたいでしたよこの子達。休まず機敏に飛び回って…」
新『二階の部屋は二部屋に分かれ、ひとつは図書館。子供たちが勉強や読書に集中できます』
松方さん「……だだっ広いな」
千葉「時間と資材が限られてたんで単純な構造に」
矢田「近所を回って読まなくなった子供向けの本もらったの」
倉橋「私のも〜!」
うーん…千葉ちゃん流石だ。
新『そしてもう一室は室内遊技場。ネットやマットを入念に敷き、安全性を確保。雨に濡れない室内なので…腐食や錆びで遊具が脆くなりません』
松方さん(……こやつら…!!)
吉田「あの回転遊具、覚えといてな」
磯貝「さ、次は職員室兼ガレージへ」
松方さん「……ガレージ?」
友「そう。このリフォームの目玉です」
新『なんということでしょう。倒れて前輪が曲がってしまった園長の自転車を技術班が改造。安全性が高く、大積載量の電動アシスト付き三輪自転車に!』
律「上の部屋の回転遊具が充電器と繋がっています。走行分の大半は遊具をこげば賄える計算です」
新『つまり、沢山の子供たちが沢山遊ぶほど……園長先生が助かる仕組み…!』
松方さん「…う、上手く出来すぎとる!お前ら手際が良すぎて逆にちょっと気持ち悪い!」
……それはちょっとわかる気がする。
新『園長先生の思い出のこもった古い入れ歯は自転車のベル再利用!』
松方さん「そんな匠の気遣いいらんし!」
松方さん「第一、ここで最も重要な労働は建築じゃない。子供たちと心と心を通わせる事だ。いくらモノを充実させても、お前たちが子供達の心に寄り添えていなかったのなら……この2週間を働いたとは認めんぞ」
その時、さくらちゃんの声が聞こえてきた。
さくら「おーい渚!!じゃーん!なんとクラス2番!」
さくらちゃんが持っていたのは算数のテストだった。95点と中々の高得点だ。
渚「おーすごい!頑張ったね!」
さくら「お前の言う通りやったよ!算数の時間だけ不意打ちで出席して…解き終わったら速攻で帰った!」
渚「いじめっ子もテストの最中じゃ手の出しようがなかったでしょ」
さくら「うん。先生以外誰にも行く事言ってなかったしね!」
渚「自分の一番得意な一撃を、相手の体勢が整う前に叩き込む。これが
さくら「……だ、だったら…これからもたまには教えろよな…」
渚「…もちろん!」
さくら「!!」パッ
前原「……怖い男だ」
片岡「本人も無自覚でやってるのが恐ろしい…」
皆が渚の怖さに気付き始めた……。
松方さん「…クソガキ共…文句のひとつも出てこんわ」
さくら「あ!園長おかえり!見てよコレ!」
松方さん「もとよりお前らの秘密なんぞ興味は無い。ワシの頭は自分の仕事で一杯だからな。お前らもさっさと学校に戻らんか。大事な仕事があるんだろ?」
一同「……はい!」
こうして俺たちは起こした事故の賠償責任を自分達でなんとか果たし、二週間の特別授業は幕を下ろした。
…だけどそれは中間テストの前日だった。
2週間も授業を受けずにテストに臨むだなんて…この学校じゃ裸でバトルをするに等しい。
結果は惨敗。
前にも増して猛勉強したA組に蹴散らされ、E組の大半はトップ圏内から弾き出された。
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《新 side》
皆…結果に落胆している。
当然だろう。前回より大幅に順位を下げてしまったのだから。
渚・岡島・杉野「はぁ……」
潮田渚
総合 54位(31→54)
岡島大河
総合 76位(50→76)
杉野友人
総合 65位(41→65)
その時、五英傑が話しかけてきた。
小山「拍子抜けだったなぁ?」
荒木「やっぱり前回のはまぐれだったようだね〜」
瀬尾「棒倒しで潰すまでも無かったな〜」
浅野学秀
合計点数 493点
総合 1位
うわうぜぇこいつら。
でも、杉野も渚も岡島も言い返せない。
小山「言葉も出ないねぇ。まぁ当然か」
榊原「この学校では成績が全て。下の者は上に対して発言権は無いからね……」
榊原がそう言った直後、五英傑の後ろから声が聞こえてくる。
カルマ「へーえ…。じゃ、アンタらは俺に何も言えないわけね……」
カルマ…!
殺(……E組の中に2人だけ、2週間のハンデなどとのともしない生徒がいる)
カルマ「まーどうせうちの担任は、『1位じゃないからダメですねぇ』とかぬかすだろうけど……」
赤羽業
合計点数 492点
総合 2位
殺(一学期中間のクラストップの再現。だが、前回とは少し違うはずですよ…)
カルマ「ね〜新もそう思うっしょ?」
新「…そうだな。『カルマ君に負けるとはまだまだですねぇ』とか言ってきそうだよ…」
真弓新
合計点数 491点
総合 3位
カルマ「…気付いてないの?今回本気でやったの、俺と新だけだよ。他の皆はお前らのために手加減してた。お前らも毎回敗けてちゃ立場が無いだろうからって」
瀬尾「…な、なに……!」
カルマ「…でも次は
2ヶ月後の二学期期末……そこで全ての決着つけようよ」
浅野「………上等だ」
渚(…カルマ君、僕らの事フォローしてくれたんだ)
殺(敗北を経験したからこそ出てくる、敗者を気遣う言葉。カルマ君は一足先に、弱者に寄り添う事を覚えた。失敗も挫折も成長の源。今回の事は、また皆を強くする───)
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《友 side》
俺たちは全員で職員室へと向かった。
磯貝「迷惑かけてすいませんでした。烏間先生」
烏間「これも仕事だ。気にしなくていい。……君らはどうだ?今回の事は暗殺にも勉強にも大きなロスになったと思うが…そこから何か学べたか?」
渚「……強くなるのは自分のためだと思ってました。殺す力を身に付けるのは名誉とお金のため。学力を身に付けるのは成績のため。でも…身につけたその力は、他人のためにも使えるんだって思い出しました。殺す力を身につければ、地球を救える。学力を身につければ、誰かを助けられる…」
岡島「もう下手な使い方しないっス。多分」
前原「気をつけるよ…。色々」
今回の件を通して、クラス全体で成長出来たと思う。
また一歩…前身出来たんじゃないかな。
烏間「……考えはよくわかった。だが『今の君ら』では高度訓練は再開できんな」
岡島「えっ…!?」
烏間「何せこの有様だ」
烏間先生が取りだしたのは体育で使うジャージ……だがボロボロだ。
岡島「股が破れたジャージ……俺のだ」
友「なんだろう。岡島のってだけで卑猥に見えてくる」
岡島「何でだよ!」
てか何で股破れてんだよ。何したんだ。
烏間「ハードになる訓練と暗殺に…もはや学校のジャージの強度では耐えられん。ボロボロになれば親御さんにも怪しまれるし、第一君らの安全を守れない。
新たに支給された…E組専用ジャージ。
烏間「先に言っておくぞ。それより強い体育着は地球上に存在しない」
これで、また暗殺の幅が広がる…!!