真弓兄弟の暗殺教室   作:Ncwe?

72 / 87
第71話 『死神』の時間-3時間目

《烏間 side》

 

死神(……思っていたより化け物だった。これだけ迅速にトラップを破られては足止めにならない。操作室を占拠して水を流す前に追いつかれる。まぁ檻の中の標的に脱出の動きは見られないし…仕方ない。止まって迎え撃つか)

 

 

 

先へ進もうとすると、尋常じゃない殺気を感じた。

恐らく…死神がいる。

 

死神「殺気の察知も完璧か…正直見くびってたよ烏間先生」

 

烏間「まるでトラップの見本市だった。多彩なもんだな」

 

死神「人殺しの技術(スキル)を身につけたらね…。片っ端から使いたくなるのが殺し屋の性さ」

 

すると、後ろから銃を撃たれた。

頬に掠ったが、少し血が出た程度…。

そして銃を撃った主は…。

 

死神「…ちゃんと当てなよ。イリーナ」

 

イリーナ「ごめんね…。次はちゃんと当てるわ」

 

烏間「……死ぬぞ。イリーナ」

 

イリーナ「死ぬなんて覚悟の上よ。アンタには理解出来ないだろうけど……死神(カレ)は分かってくれた。『僕とお前は同じだ』って…」

 

死神「そうだね。昔話をしてあげたっけ。テロが絶えない貧困のスラムに生まれ、命なんてすぐ消えるあやふやな世界。信頼出来るのは金と、己が技術(スキル)と、『殺せば人は死ぬ』という事だけ」

 

烏間「…………」

 

死神「イリーナなら僕の気持ちを分かってくれる。例え…僕が君を捨て石に使おうとね」

 

 

死神がリモコンを押すと上の天井が崩れてきた。

 

咄嗟の判断で何とか瓦礫に埋もれる事は無かったが…足止めされてしまった。

 

死神「生きてるとは流石だな。だが閉じ込めた。恐らく、君やタコ単独だったらこのトラップも抜けただろう。彼女は…そんな怪物を惑わすためだけに雇った」

 

後ろを振り向くと、イリーナが瓦礫の下敷きになっていた。それに、気を失っているようだ。

 

烏間「………!」

 

死神「可愛らしい位迷ってたよね彼女。かつての仲間を巻き込んでいいものか。その迷いは伝染する。君も彼女を攻撃すべきか迷った。結果君は…彼女を気にして反応が遅れた。これで当分追ってこれまい。遠慮なく最後の仕上げに入るとしよう」

 

烏間「くっ…!」

 

殺『烏間先生!』

 

スマホから奴の声がした。おそらく、モニターで見ていたのだろう。

 

殺『モニターを見ていたら爆発したように映りましたが…大丈夫ですか!?イリーナ先生も!』

 

烏間「……俺はいいが、あいつは瓦礫の下敷きだ」

 

一同『……!!』

 

烏間「だが構っている暇はない。道を塞ぐ瓦礫をどかして死神を追う」

 

倉橋『ダメ!!どうして助けないの烏間先生!!』

 

烏間「……倉橋。彼女なりに結果を求めて死神と組んだその結果だ。責めもしないし助けもしない。一人前のプロならば自己責任だ」

 

倉橋『プロだとかどーでもいーよ!十五の私がなんだけど…ビッチ先生まだ二十歳だよ!?』

 

矢田『うん。経験豊富な大人なのに、ちょいちょい私達より子供っぽいよね』

 

倉橋『多分…安心の無い環境の中で育ったから、ビッチ先生はさ…大人になる途中で大人の欠片をいくつか拾い忘れたんだよ』

 

烏間「……!」

 

矢田『助けてあげて。私達生徒が間違えた時も許してくれるように…』

 

中村『ビッチ先生の事も…』

 

烏間「…だが、時間のロスで君らが死ぬぞ」

 

友『大丈夫!死神は多分目的を果たせずに戻ってきます!』

 

磯貝『だから、烏間先生はそこにいてください』

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

イリーナ(……私の村は内戦に巻き込まれた。そして、私以外全滅した。私は民兵の1人を殺して脱出した。その時、師匠(センセイ)と出会って、殺し屋になることを決意した。そして、1人…また1人と殺すごとに、血の温度を感じなくなってゆき、穢れた温もりを思い出す事は減っていった。冷たい血の海が私の日常。裏切られて死ぬくらいが丁度いい。終われてよかった。陽の当たる世界で…温もりを思い出してしまう前に…)

 

烏間「……おい」

 

イリーナ「えっ…?」

 

烏間「……さっさと出てこい。重いもんは背負ってやる」

 

イリーナ「……!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

《友 side》

 

不破「……そろそろ、死神は操作室に着いたかな」

 

友「恐らくな。死神は操作室に着いてから水を流す前に標的を確認するはず…その時、俺たちが『いない』ことに気付くはずだ」

 

その時、『床に置いてあった』首輪が爆発した。

 

友「……爆発したってことは、推理通り…ここの映像見たようだね」

 

三村「焦った死神は烏間先生の所へ戻って来るはず。結果がわかるまでこのまま我慢だ」

 

寺坂「……ぐぐ…きついな……」

 

殺「それにしても…よくこんな手を考えましたねぇ三村君……」

 

 

中村「保護色になって壁と同化…これで本当に騙せてんの?」

 

三村「多分ね。光の加減もバッチリだ」

 

片岡「全く。ラジコン盗撮の主犯共が大活躍とはね…」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

少し前──

 

三村「ビッチ先生が投げつけてった首輪……。俺らのと同型だよな。どうだイトナ?」

 

イトナ「…通信(リモコン)回線は起爆命令と鍵解除の2ch(チャンネル)だけだ。簡単な構造だから乱暴に外しても起爆しないし奴にもバレない」

 

三村「…だそうで。殺せんせー頼むよ」

 

殺「お安い御用です。死神も首輪も解析されるのは想定外でしょう」

 

友「……さて、次は手錠だね。監視カメラに映らないようにこっそり外さないと」

 

殺「勿論です」

 

三村「岡島、監視カメラは?」

 

岡島「強めの魚眼だな。忙しい時でも一目見れば部屋全部がチェックできる。それと檻の外…絶対に壊されない位置にひとつ。この2つに死角は無いけど…お前の読み通り『正確に見えない』場所がある。例えば…『ココ』とかな。外のカメラからは遠いし、魚眼の端は大きく歪む。モニターを見る限り魚眼補正もしてないし…盗撮するなら高い機材使わなきゃ!」

 

うーん…カメラの知識をエロに使わなきゃ岡島も素直に凄いと思えるのに…。

 

三村「その見えづらい所に上手く紛れる。菅谷に迷彩を塗ってもらって、横に10人、縦に3人…一番下は男子で…」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

菅谷「マジ使えるよ。超体育着の暗殺迷彩。壁の色そっくりに変えれるぜ」

 

岡野「カメラに衣装……。まるで映像作品の段取りだったね」

 

前原「三村こーいうの好きだよね」

 

友「新……。大丈夫か?俺と優月を上に乗せてるけど…」

 

不破「お…重くない…?」

 

新「う…うん。兄貴も姉貴も軽いから何とかね…それより、殺せんせーはどうしてんの?」

 

不破「先生は普通に保護色になれるから…」

 

友「俺らの隙間を自然に埋めてるんだよ」

 

中村「てことは…今素っ裸なんだよね…」

 

殺「恥ずかしい…恥ずかしい…」

 

友「赤くなるなよバレるから…!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・¹

一方その頃──

《烏間 side》

 

烏間「左腕は骨折の疑いがあるな。とりあえず応急処置で固定する。他に痛む所はあるか?」

 

イリーナ「ぐっ…」

 

烏間「おい!鼻血が…!」

 

イリーナ「いや……あんたが良い体すぎて興奮した…」

 

烏間「脳に異常かと思ったが…お前の場合それが正常だな……。

お前に嵌められてもなお…生徒達はお前の身を案じていた。それを聞いて…プロの枠にこだわっていた俺の方が小さく見えた。思いやりが欠けていた。すまない」

 

イリーナ「………」

 

その時、壁の向こうから殺気を感じた。

 

烏間「……………戻ってきたな。生徒たちが言った通りだ。イリーナ。お前が育った世界とは違うかもしらん。だが、俺と生徒がいる教室(世界)には…お前が必要だ」

 

 

 

ドゴォッ…!

 

壁が爆発して、そこから死神が出てくる。

 

死神「………イリーナ。烏間は?」

 

イリーナ「………別の道を探しに行ったわ。酷いじゃない死神。私ごと爆破するなんて」

 

死神「……いやあごめんよ!ああでもしないと目的が達成出来なくてね!」

 

イリーナ「……」

 

死神「僕らの世界は騙し騙されの世界だろ?文句あるなら…今度は確実に殺してやるよ?」

 

イリーナ「…別にいいわ。私も、すぐ男を乗り換えるビッチだから」

 

死神「…えっ……」

 

死神の背後を烏間先生がとり、死神をがっしりと捕まえる。

 

死神「な…なに……!?」

 

烏間「自分の技術(スキル)を過信せずに…信頼出来る仲間を作るべきだったな。この場所じゃどんな小細工されるかわからない。スッキリした場所へ移ろう」

 

死神(こ…こいつ正気か!?)

 

烏間先生は死神と共に飛び降りた。

下には下水路がある。

 

烏間「おもったんだが…お前そんなに大した殺し屋か?」

 

2人は下水路の水に着地して、バシャッと大きな音が鳴った。

 

烏間「受身の技術(スキル)はさすがだな。一つ一つの技術(スキル)の凄さで強引に結果は出せるだろうが…生徒達には踊らされ、イリーナにも騙された。ツメも脇も甘すぎる。ブランクでもあったのか…?」

 

死神「………」

 

死神は何かを投げ捨てた。

 

それは……人の顔の皮だった。

 

死神「黙って聞いてりゃ言ってくれるね…」

 

烏間「……おまえ…!なんだその顔は…!」

 

死神「顔の皮は剥いで捨てたよ。変装の技術(スキル)を極める上で邪魔でしかない。全てを犠牲に磨き上げた死神の技術(スキル)!お前も殺して顔の皮も頂こうか!」

 

烏間「…この教室(世界)から退出願おう。お前は生徒の教育に悪すぎる!」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。