書きたい時に書いて、出したい時に出すので気長にお待ちください。
《友 side》
椚ヶ丘中学校の秋の行事……といえば、
毎年恒例、椚ヶ丘学園祭だ。
ここの学園祭は他の学校とは違い、ガチの商売合戦となる。
収益がトップだったクラスは商業的な実績として就活でアピール出来るほど。
そんな学園祭だが、総七から聞いた話によると…
ここでもA組 VS E組の話題でもちきりになっているそう。
三村「本校舎じゃかなり盛り上がってるんだ。勝てないまでも、何かE組はやるんじゃないかと」
殺「………勝ちに行くしかないでしょう」クルッ
友・新「カッコ良くねーからなその振り向き!!」
目と口に団子指しながらカッコつけてんじゃねぇ!!
殺「今までもA組をライバルに勝負することでより君たちは成長してきた。この対決…暗殺と勉強以外のひとつの集大成になりそうです」
渚「集大成……?」
殺「そう。君たちがここでやってきた事が正しければ…必ず勝機は見えてきます」
やってきた事……?
どういうことだろう…?
吉田「つったって…勝つ方法はよ」
狭間「店系は300円まで。イベント系は600円までが単価の上限って決められてる。材料費300円以下のチープな飯食べに……誰が1kmの山道登ってくるかしら」
友「状況はかなり厳しいな……」
新「それだけじゃない……。A組……というより浅野は…色んな企業とスポンサー契約結んだらしい」
倉橋「流石理事長の息子……」
磯貝「相変わらず強敵だな…」
友「あいつらの集客力もかなり高いだろうし……。今回はほんとに無理ゲーに近いぞ」
殺「……浅野君は正しい。必要なのはお得感です。安い予算でそれ以上の価値を産み出せれば客は来ます。E組におけるその価値とは……例えばこれ」
殺せんせーが手に持ってるのは……その辺によく落ちているどんぐりだ。
新「それ…どんぐりだよね…?」
殺「裏山にいくらでも落ちています。色々種類はありますが…実が大きく、アクの少ないこの『マテバシイ』が最適です。皆で拾って来てください。君たちの機動力なら一時間あれば山中から集めてこれるはずです」
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というわけで…俺と優月とイトナの3人でどんぐりを探している訳だが…
友「思った以上に落ちてるな…マテバシイ」
不破「普段あまり気にしてなかったけど…相当な量が拾えそうだね。あ、あっちの方にもある!」
友「じゃあ…俺はこっちの方見てくる……ってイトナ?なにやってんの」
イトナが草むらをじっと見つめてる……。
どんぐりか?はたまた………虫じゃないだろうな。
友「お…おーいイトナ…?何見てんだ?」
イトナ「……見ろ。エロ本落ちてた」
友「どんぐり探せ!!!!」
イトナ「読むか?」
友「読まない!!岡島か殺せんせーにでもあげとけ!!」
イトナ「いや。俺が回収する。そして寺坂の家に置く」
友「寺坂に迷惑かかるわ!!!」
なんでこんな時にまでエロ本なんだ……。
不破「友君、イトナ君、そっちどんぐりあった?」
友「あー……優月は来ない方が…」
イトナ「エロ本が落ちてた」
不破「ふぇっ…!?/////」
やっぱりこうなった……。
………かわいい。
不破「ちょ…ちょっと…!真面目に探そ!わ、私ちょっと遠くの方見てくるから!////」
友「あ…俺も行くよ。おいイトナ行くぞ」
イトナ「ああ」
友「おい、エロ本は持っていくな」
イトナ「仕方ない。帰りに拾っていこう」
友「拾わなくていい!」
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皆が裏山中を探したおかげでかなりのどんぐりが集まった。
前原「そんで…このどんぐりどうすんだ?」
殺「まず……水につけて浮いたものは捨てます。そして殻を割って渋皮を除き…中身を荒めに砕いたら……布袋にいれ、川の水に晒して一週間ほどアクを抜きます。その後3日ほど校庭で天日干しし…更に細かくひいてどんぐり粉の完成。これが小麦粉代わりに使えます。そして出来上がった物がこちらになります」
友・三村「料理番組か!!」
殺「客を呼べる食べものといえばラーメン!!これを使ってラーメンを作りませんか?」
村松「ラーメン……だと?」
さすがラーメン屋の息子の村松。
ラーメンという言葉にすぐ反応する。
村松はどんぐりの粉をひと舐めするが、すぐに苦い顔をした。
村松「……ちょい厳しいな。味も香りも面白ぇけど粘りが足りねー。滑らかな食感をこの粉で出すには大量の『つなぎ』が必要だ。普通は卵でつなぐんだが…結局その分材料費かかるぜ」
うーん…。コメントが本職だ。ほぼ料理しない俺は全然ついていけない。なんだ『つなぎ』って。
殺「それもあります。このツル、『むかご』という小さなジャガイモみたいなのが目印です。この根元を慎重に掘っていくと……」
殺せんせーはザクザクとシャベルで掘っていく。
すると……。
杉野「うおおっ…!とろろ芋だ!」
殺「正しくは『自然薯』です。天然物は店で買えば数千円します。とろろにすると香りも粘りも栽培ものとは段違い。つなぎとして申し分ないでしょう」
村松「おお……!」
殺「自然の山にはどこにでも生えている。標的を捕らえる時の観察眼でこのツルを探しましょう」
殺せんせーの一声で、みんなが自然薯を探しに行く。
まさかこんな高級食材が近くの山でタダで手に入るとは…!
磯貝「ああ…俺中学でたら自然薯掘りになろっかな~…」
片岡「磯貝君!?タダで得た高級食材に将来設計を見誤ってる!!」
悠馬がバグってしまった……。
自然薯という高級食材は悠馬には刺激が強すぎたか…。
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しばらくすると、みんなが大量に自然薯を取ってきていた。
こんなに大量に自然薯が積み上がってるの初めて見たぞ…。
殺「これで麺の材料の大半が無料。残った資金を贅沢にスープ作りにつぎこめます」
村松「なるほどね…。だったらラーメンよりつけ麺がいい。この食材の野性的な香りは濃いつけ汁の方が相性がいいし、スープが少なく済む分利益率も高ぇ」
すごいな…。最初はどうなるかと思ったのに…段々見えてきている。
村松「でも具はどーすんだよ」
原「メニューもつけ麺だけじゃ寂しくない?」ウズウズ
殺「それも今皆さんが探しています」
殺せんせーがそういった時、丁度寺坂と竹林が帰ってきた。
寺坂「戻ったぞ。見ろ、プールにわんさか住み着いてたぜ」
寺坂が見せてきたのは、ざるの上に大量にのった魚やエビだった。
倉橋「ヤマメ、イワナ、オイカワ……あ、テナガエビもおいしいんだ~」
竹林「控えめに獲ってもサイドメニューには充分な量だ。激安で出して客寄せに使う手もあるね」
木村「おーい、殺せんせー。適当にそこらの木の実獲ってきたけど…」
矢田「クリやカキやクルミはともかく…これとか食べれるの?」
矢田が手に持っているのはいかにも毒々しい粒が幾つかついた木の実だ。
見た目は毒ありそうだけど……。
殺「ヤマブドウですねぇ。甘酸っぱくて美味しいですよ。砂糖で微調整すれば立派なジュースの出来上がりです。ですが、こっちの芯の色が桃色の方は有毒のヤマゴボウなので気をつけて」
ヤマブドウにヤマゴボウ…見た目も名前も似てて分かんねぇけど片方は美味しくて片方は有毒って……。木の実怖っ。
殺「そっちのアケビはゼリー状の果実をそのままスプーンで、皮も味噌炒めにすると大人の味です」
カルマ「おーい、殺せんせー」
カルマがどっかの草むらから大量のキノコを持って出てきた。アイツいつの間にあんな集めたんだ…?
カルマ「そのキノコ鑑定してよ。猛毒のキノコ混ざってたら俺が預かるよ。俺が責任持って捨てとくからさ」
渚「何に使うのカルマ君…」
カルマの笑顔が輝いてんな…
カルマ「この毒々しいやつなんか明らかに…」ワクワク
殺「それが?とんでもない。西洋では『皇帝のキノコ』と称されるタマゴタケです。濃厚な美味はバター炒めで。人工栽培がまだ出来ない希少食材です」
カルマ「ふーーーーーん」
うわ…明らかに期待はずれな顔してる…。
そんな毒キノコ欲しかったのか…。
殺「ただし、毒キノコのベニテングタケと良く似るので要注意。この中の半分くらいは毒キノコですが…」ポイポイ
殺せんせーは毒キノコを捨てていく。
そして後ろでカルマが拾っている。
マジで何に使う気なんだあいつ…。
殺「……でもねカルマ君。中にはとんでもない価値ある物が潜んでいる」
殺せんせーが触手で持ち上げたのは……
高級食材…『マツタケ』……!!
突然の高級食材にE組の面々は思わず、その輝かしさに目を伏せてしまう。
悠馬に至ってはどこかへ飛んで行った。
殺「これらを店で買ってフルコースを作れば、一人前三千円は下らない。ところが、この山奥ではほとんどが当たり前に手に入る。ハンデどころか最大の強みです。この食材は君たちと同じ。山奥に隠れて誰もその威力に気付いていない」
寺坂「隠し武器で客を攻撃か。まぁ殺し屋的な店だわな」
殺「殺すつもりで売りましょう。山の幸(君達)の数々の刃を!!」
そして11月中旬の土曜、日曜。
学園祭戦争が幕を開けた!!