転生オリ主ウマ娘が死んで周りを曇らせる話   作:丹羽にわか

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 昨日は仕事が嫌になって早退してストゼロロング缶2本開けてそのテンションで書いたから今読み返すと……後々直すかもしれない(真顔)

 そんじゃまお詫びとして投稿じゃーい!!

11レースでクラシック編として区切りつけたかったけど無理だったよ。

そして菊花賞は次回!!(たぶん)


第11R 後輩と/雨が降る

Side:オリ主

 

 

 

 

 

 

 阪神レース場の観客席に私はいた。

 ウマ娘用の耳付きの雨合羽を羽織り、小雨ぱらつく中を大勢の観客に囲まれて、パドックでのお披露目を終えたスズカ達が現れるのを待っている。

 

 

「トゥデイさん、足は大丈夫ですか?」

「……問題ない。ありがとう、グラス」

「いえいえ~、私にできる事なら何でも言ってくださいね」

 

 

 ん? 今何でもって(ry

 

 とまあ隣にいるのはつい先日デビュー戦で見事勝利を収めたリギルの後輩にして推しカプの一人、グラスワンダー。

 他のリギルメンバーも来ているが屋内の席にいる。まあ、雨が降る中なので当然だろうし自分もそちらを勧められたのだが、スズカが走るレースなので断ってゴール付近で立ち見している。グラスはその付き添いを名乗り出てくれた。

 

 

「あ、身体冷えますよね。温かい緑茶、魔法瓶に入れて持ってきてるんです。一杯いかがですか?」

「い、いただきます」

 

 

 ……正直かなり過保護というか…なにより距離が近い。

 既に骨折は完治していて今は徐々にトレーニングの負荷を高めている所なのだが、柔軟に付き合ってくれたり、いつの間にか背後に立っていてドリンクやタオルがスッと出てきたりする。これは原作8話のスペに構われているスズカを思い出すが……ちょっと違うような気もする。

 

 まあ、来年スペが入学すれば自然と距離が離れるだろう。離れるよな?

 ちょっと不安が過るが、まあクラスメイトでライバルという存在は『重い』。想いの天秤にかければスペに傾くだろう。

 

 

「スズカさん、調子よさそうでしたね」

「そうだね」

 

 

 グラスから受け取ったお茶をすすりながら頷く。美味しい。

 さて、今日は神戸新聞杯が行われる。原作ではスズカが負けているはずのレースだが、無敗でのクラシック二冠を成し遂げている現状は原作からかけ離れている。それがどう影響してくるのか……私の夢、グラスペに関わる、菊花賞と並んで重要なレースだ。

 

 

「トゥデイさんは、どなたか注目されている方はいらっしゃいますか」

 

 

 グラスが質問してくる。可愛い。

 しかし注目、か。

 

 

「フクキタルさん……かな」

 

 

 ダービーでは2着。今回は2番人気。原作では秋のファン感謝祭で占いをしたりスペと宝塚記念を走っていたりする。

 恐らく史実に存在するウマ娘なのだろうが、その戦績を私は知らない。というかフクキタルに限らずスピカのメンバー以外の殆どのウマ娘の戦績を知らない。マチカネフクキタル、ウマ娘化されているということは凄い競走馬だった筈だ。もしかするとスズカのライバル枠だったのかもしれない。

 

 

「あら」

「ん?」

「……フクキタル“さん”とは、お知り合いですか?」

「? うん」

「なるほど……要注意ですね」

 

 

 グラスがフクキタルと対戦する機会は……ファン投票で選ばれる宝塚記念や有記念だが、スペとグラス達のクラシックは来年だからまだ気が早いのではないだろうか。

 

 そんな事を考えていると、

 

 

「スズカー!!」

「キャー!! スズカサーン!!」

「頼むぞ無敗の三冠!!」

「俺の夢はお前だぁぁぁぁ!!」

 

 

 スズカ達が、コースに現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:サイレンススズカ

 

 

 

 

 

 

 

 小雨が降っている。

 

 

<11レース、菊花賞トライアル神戸新聞杯G2、芝2000メートル。今年は11人が出走します>

<サイレンススズカとの対決を避けて出走を回避したウマ娘も多いですね>

<小雨ではありますが良バ場の発表です>

<さあ続いては4枠4番、2番人気、マチカネフクキタル>

<パドックでも注目を集めています。2着だったダービーと比較してもかなりの仕上がりです。オーラが違いますねえ>

 

 

 チラリと横を見る。

 マチカネフクキタル。日本ダービーでは自分に続いて2着。同級生で友人。

 

 

「すぅ~~はぁ~~」

 

 

 まるで人が変わったような落ち着きと気迫だった。

 ダービーではゲートの中でひたすら呪文を垂れ流しておりそれで他のウマ娘が委縮したりしていたが、今日はその圧倒的なオーラに気圧されている。

 

 強敵。

 

 今のフクキタルはそう言い表すに相応しい相手だった。

 しかし、スズカはそんな思考を首を振って追い出す。

 

 

「(ううん……誰であっても関係ない。私は先頭を走るだけ。トゥデイのライバルだもの……絶対に、負けない)」

 

 

<一番人気は勿論この子。無敗のクラシック二冠、ダービーウマ娘、異次元の逃亡者サイレンススズカ>

<仕上がってますね。それにいい表情をしています。これは期待できそうです>

 

 

 スズカは体勢を整え、

 

 

<さあゲートイン完了。出走の準備が整いました>

 

 

 ゲートが開く。

 

 

<ゲートオープン!! スタートしました!! 11人のウマ娘が第1コーナーに向かいます>

 

 

 スズカは7枠8番と外めの配置だった。これが内枠だった場合は他のウマ娘は警戒故に囲もうとしてきただろう。

 

 

<外からサイレンススズカが行きます。サイレンススズカがやはり先手を取る。サイレンススズカが飛ばしリードは3バ身から4バ身と広がっていく>

<こうなったサイレンススズカは止められません。他のウマ娘にとっては苦しいレースになりそうです>

<2番人気のマチカネフクキタルは最後方、これは正解でしょうか>

<彼女の末脚には目を見張るものがあります。最終直線での追い上げが期待されます>

 

 

 プレッシャーは感じない。ただ誰も前にいないターフを走る。

 先頭の景色。自分だけの世界。そこにはあの小さなウマ娘が居ない。それが少し寂しく感じてしまう。

 

 

<第3コーナーから第4コーナー。順位はほとんど変わりません。先頭はサイレンススズカ>

<最後方マチカネフクキタル、内を少しずつ上がってくる>

 

 

 そして第4コーナーを抜けて直線コースに。

 まだ脚は残っている。もっと速く、一番で駆け抜ける。 

 

 

<最終直線先頭はサイレンススズカ!! これは強い!! リードは後続に4いや5バ身!! これは決まったか!?>

 

 

「(私は負けないから。だからトゥデイ、あなたも)」

 

 

 スズカは勝利を確信しチラリと視線を観客席に向ける。ライバルで、親友で、一番大切な人。トゥデイに、ここまで来てと示そうとして、

 

『ダメだ』

 

 

「え?」

 

 

<おーっとここでマチカネフクキタルがグングン差を詰めてくる!! サイレンススズカを猛追!! これは捉えるか!?>

 

 

「ッ!?」

「……疾ッ!!」

 

 

<その差は2バ身!! 1バ身!!半バ身!! 並ばない躱したマチカネフクキタルゴールイン!!>

 

 

 交錯は一瞬。

 

 

<マチカネフクキタル!! サイレンススズカを捉え1着でゴール!! 神戸新聞杯を制したのはマチカネフクキタル!! なんという末脚!! サイレンススズカの無敗を止めたぞマチカネフクキタル!!>

 

 

 そんな実況を聴きながらゴール板の前を駆け抜けた。

 

 

<サイレンススズカは2着!! 3着は……>

 

 

 ペースを徐々に落として歩き、一歩二歩と進んで立ち止まる。

 

 

「…………」

 

 

 呆然と立ち尽くして掲示板を見るサイレンススズカ。

 何秒と見ても結果は変わらない。審議すらない。

 

 

 

 1着4番マチカネフクキタル、2着8番サイレンススズカ。着差は半バ身。

 

 

 

 

 

 敗北

 

 

 

 

 

 その二文字が、変えられない現実がスズカの頭を埋め尽くす。

 

 

「スズカさん」

 

 

 声がかけられ顔を向ける。

 普段の天真爛漫な雰囲気は何処にもない。まるで抜き身の刀のような気迫を纏ったフクキタルが立っていた。

 

 

「貴女の後ろに、誰が走っていましたか。誰と、走っていましたか」

「……」

 

 

 フクキタル、とスズカは口に出来なかった。

 口にしてはいけなかった。

 

 

「トゥデイさんだけですか。貴女のライバルは」

「……」

「スズカさん。私は……いえ、私『たち』も、貴女のライバルです。貴女に勝とうと走るウマ娘なんです」

「フクキタル……」

「私は、全力でした。肺が破けそうで、脚が千切れそうで、もう無理だなんて思いながら貴女に勝つ為に走りました。貴女はどうでしたか」

「……」

「全力で、全身全霊で、私たちと走りましたか」

 

 

 スズカは何も言えずに俯いた。

 

 

「次の菊花賞……いえ、なんでもありません。では」

 

 

 フクキタルはそう言い残してウィナーズサークルに向かう。

 

 

「私は……」

 

 

 雨が強くなった。冷たい秋雨。

 

 しかし頬を伝うそれは、痛いくらいに熱かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 史実の97年神戸新聞杯の動画見たけどあのフクキタルやばい。一人だけクロックアップしてやがった。


あ、シンデレラグレイ買って読みました。
フジマサマーチのポジション美味しいなあ……ifオグリ√やりてぇなぁ

今のスズカ編完結したら一話完結や前後編とかで各ウマ娘曇らせてぇなあ(人間の屑)

↓で各話タイトルについてアンケートやってるんでよかったらどうぞ

各話にタイトルいる?(第10Rなら『目醒めの朝/夢の重さ』とか)

  • いる
  • いらん
  • テヘラン
  • ┐(´ー∀ー`)┌レーダージュシン

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